教育とICTに関心ある人達が集まる店

 元麻布のウェイティングバーから声が届かなくなって一年半が経った頃、とあるスナックが開店する。そこは、やたら「教育とICT」に詳しい店長兼マスターと,二人の常連がカウンターに居座っていて,「教育とICT」に関心ある様々な人たちが集うらしい。

 毎週月曜22時。酒を片手に何となしに語る「教育とICT」の四方山話の数々。カウンターに招いたゲストとともに,あっという間の1時間。

 その店の名前は「スナック・ネル」。「教育とICT」の歴史は夜つくられる。

スナック・ネル http://snacknel.edufolder.jp

Facebookグループ https://www.facebook.com/groups/snacknel/ 

YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCzL1wuHX8AMmNk3NUWvANuQ

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 教育とICTに関わる情報はたくさん流通しています。また,このテーマに関わる研究会やイベントも(都会では)頻繁に開催されています。関連する学会はいくつも存在します。

 しかし,こうした様々な情報や動きを一望しながら話し合う場は,思いつく範囲でありません。この界隈の人たちは皆さん忙し過ぎて,ゆっくり語らう機会を持ちたいですね,そうですね,と挨拶するわりには,本当に語らう機会を持てていないのです。

 かといって,研究会やシンポジウムを開いて語らう場をつくっても,形式に縛られて深い話に至るのに時間がかかったりします。

 もう少しざっくばらんに語り合う場はつくれないものか。

 その一つの可能性が動き出します。

 教育ICT業務に長年関わってきた株式会社NEL&Mの田中さんがマスターを務める「スナック・ネル」という公開ビデオチャットが始まります。私はスナックの常連の1人として参加します。

 毎週月曜日の夜10から1時間だけ開店するスナックという設定で,ここを舞台に教育とICTに関する情報を一望しようという試みです。

 なにしろスナックですから,シャツのボタンを一つ外す感じで,お酒を片手に気軽におしゃべりする雰囲気です。私も酔っ払い常連としてかなりゆる〜くしゃべります。

 教育とICTのことなら,このスナックに来ればOKというぐらいの場になればいいなと思っていますので,皆さんも毎週月曜夜10時に来店してみてください。

『教職研修』2014年9月号

 学校管理職の先生方を対象とした雑誌『月刊教職研修』2014年9月号の第2特集「学校タブレット入門――授業は、学校はどう変わるの」の前座原稿を書きました。

 この特集は全くの初心者の方が昨今話題になっているタブレット端末の学校への導入について学ぶ手がかりを提供するためのもので,その最初の入り口原稿を依頼されたのでした。お題は「いま,タブレット授業はどれくらい広まっているのか」と「そもそもタブレットとは?」の2つでした。

 依頼文から依頼主の意図などを読み取ることが最初の難関です。

 入門記事であるので,自分的には正確に事態を書きたいと思うけれど,おそらく細かい話はほとんど理解されないでしょう。そういうことに関心がない人が対象だから。それに字数的にも詳しい話を書くには厳しいのもでした。

 他の執筆者が誰なのかは知らされていませんでしたから(聞けば教えてくれたとは思いますが…),誰の原稿が続いてもふさわしいようにはどうすればいいだろうと頭をひねります。詳細は誰とも知れぬ方々にお願いするつもりで取り掛かるしかありません。

 こういう場合,あえてモヤッとコレとコレとコレ以上…みたいな構成にした方が分かった気になるというものです。国が進めているということ,既に地方が動くフェーズだけど地域によって温度差があること,家庭はすでに渦の中,そして学習指導要領も教育方法に言及し始めてるといったところを盛り込みましたが,一つ一つはだいぶ大雑把です。

 

 タブレットとは?という解説コラムも,乱暴に「タブレット型情報端末」と「タブレット型PC」の2つだけに分けて,タブレット端末そのものは限定された用途のものだと印象づける記事にしました。

 もっと踏み込んで「タブレット端末とパソコンは違うものです」としてもよかったし,その認識の方が問題回避しやすいのではないかと思うのですが,まぁしかし現実にはパソコンの置き換えを狙う人も多いし,確かにタブレット型PCはパソコンだし,この辺は多種多様ですといって丸めることにしました。

 読み側の人間として,こういう原稿は好みませんが,書くにあたっては丸め方をどう工夫するのか試行錯誤する面白さがあるので,嫌いではありません。

 実際に発売されて,他の執筆者が誰であるのか知ると,いやはや私が前座で申し訳ありません…という恐縮した感じになってしまいます。とにかく,タブレットなるものが学校教育とどういう感じなのか知りたい方はご一読を。

20140819 教育免許状更新講習

 今年から職場で行なわれている教育免許状更新講習の担当をすることになりした。学外の仕事でパタパタしていたのが一段落ついた機会にようやく頼まれたという感じです。

 

 更新講習の受講者は170名でしたが,考えてみたらそれほどの規模の授業は長らく担当していなかったので,さて何をしようか悩みました。たった一回80分の授業でできる事は限られてはいますが,できるだけ考える材料を提供したいと思う気持ちが,悩む時間の延長につながります。そこをいつも諦めきれないのが悪い癖です。

 結果的には学ぶことの変化と学びのイノベーションで掲げた学習場面一覧のお話をベースに,最近の時事ネタと出版物の話を織り交ぜました。

 

 木田元というハイデガー研究の第一人者の先生が亡くなられたニュースを紹介し,私たち人間の存在意義のようなものは対話(コミュニケーション)によって探究されることに引っかけて,受講生同士の短いディスカッションをしてもらうことから始めました。

 2日間の更新講習で受講生同士の対話の時間もそれほど確保されていなかったようなので,2日目の一番手として,昨日の学びを周りの4人程度で振り返ってもらうことにしたのです。やはり一方的に話を聞くだけでなく,先生方は他の人たちと話したかったところもあったようで,かなり賑やかでした。一応,全体共有もしました。

 

 そのあとは,知識習得から知識解釈や構築といった学習観の変化について紹介したり,途中『嫌われる勇気』や『弱いつながり』といった最近話題の本についての紹介を通して,それぞれが扱っているテーマについて考え,「学びのイノベーション」でまとめた学習場面の類型をもとに授業づくりを考えたり,ICT活用を実際に見せたりしました。

 

 この時点で対話込みの80分はもう満杯といった感じなのですが,少々無理して詰め込んでしまいました。結果的には時間ピッタリか,数十秒過ぎた程度で終わりましたが,さすがに先生方はピッタリ最後までやるとは追っていなかったらしく,最後は辛そうでした。やはり学ぶ側に立つと時間は遅く過ぎるものなのかも知れません。

 

 講習には試験があるので,筆記の採点も担当しました。正直,それだけの170人分の答案を見るのは大変で,私は回答を思わずちゃんと読んじゃう人なので(普通なのかも知れませんが私は読んで考えちゃう人なので)時間がかかってしまうのも困りもの。多少厳し目に点付けしてしまったかなと,一応皆さん頑張って書いてくださっていました。

 来年も担当する時はもっとハードルを下げる必要があるかなと思うところの講習会担当でした。

ブログシステムの変更

 りんラボのブログシステムをMovable TypeからWordPressに変更しました。

 長らく愛用していたMTでしたが,レンタルサーバー提供の機能をそのまま使っていたため,カスタマイズが難しかっただけではなく,システムのアップデートもできなかったので,いつかは変更しようと考えていました。

 最近,ブログ用のエディタアプリを試す機会があり,りんラボに使ってみようかと思ったら,うまく動作しなかったため,この機会に思い切って変更した次第です。いまやシステムとしてはWordPress全盛ですし,他のブログは先にWordPress化していたので,統一しました。

 ただ,そのために個別記事へのURLが変更になってしまうため,リンク切れを発生させてしまうことが問題なのですが,遅かれ早かれ変更しなければならなかったので,これはご容赦願おうと思います。

教育用メッセージングサービス

 教育用SNS(教育向けのFacebookのようなもの)が様々登場し始めており,持続的な学習活動を支えるツールとして注目されています。

 文部科学省と総務省の新たな連携事業もクラウドサービスの教育利用を前面に出していますので,こうしたサービスがこれから数年の重要トピックスになるのは間違いありません。

 もう一つは,教育用IMサービスがそろそろ目立ってきそうだということ。

 「ClassDojo」という教育用SNSは「ClassDojo Messaging」という機能を今年3月ごろから開始しています。そして米国8月13日にiOS用とAndroid用のアプリをリリースして,スマートフォンから手軽にメッセージングできるようになったようです。

 ClassDojoでは保護者が教育に参加するツールとしてアピールしているようですが,こうしたメッセージング機能を学習者とのコミュニケーションに活用することも直に検討されるでしょう。コミュニケーションツールとしてのLINEの台頭を見ていると,そのことを無視するのは難しいからです。

 多くの教育用SNSが学習者同士のダイレクトメッセージ機能を採用していません。ダイレクトにやりとりできるのは先生とだけです。学習者同士の無用なトラブルを避けるためでもありますし,そもそも学習者のやりとりを共有するのが目的ですから,やりとりはSNS上の平場に書き込むことが基本という考え方です。

 しかし,先生や保護者から見えないところで友だちとコミュニケーションしたいという欲求は普遍的なものですし,教育用SNSを利用する一方でLINEを並走させて本音トークが展開するのも当然起こりえます。

 現状,メッセージングサービスに対して,完全に後手に回った学校教育は対応に苦慮しているといったところですが,今後は,SNSやメッセージングサービスをどう扱って,必要ならどう味方につけるかを考えなければならないのだと思います。

 もっとも,ただでさえ慌ただしい教師の仕事が,保護者とのコミュニケーションにおける「既読」呪縛でさらに悩ましくなるなんてことは避けたいところ。つまり,こうしたツールの利活用以前に私たちのコミュニケーション現況が如何に歪であるのかを認識することから始めなければならないかも知れません。