20140411 学びのイノベーション事業実証研究報告書

 2014年4月11日付けで文部科学省「学びのイノベーション事業 実証研究報告書」が公表されました。文部科学省Webサイト等でPDFが公開され,各地方自治体の教育委員会にも印刷された冊子が送付される予定です。

 学びのイノベーション事業実証研究報告書の公表について(文部科学省)  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/04/1346534.htm

 学びのイノベーション事業実証研究報告書(文部科学省)

 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/030/toushin/1346504.htm

【追記】

 一括ダウンロード版も「教育の情報化」サイトで公開されました。まとまったものが欲しい方はこちらでダウンロードしてください。

 「教育の情報化」学校教育分野ページ

 報告書(概要)は分厚い報告書の各章要点をスライドにまとめてありますので,実証研究のおおよそを知りたい場合には,これを参照するのが手っ取り早いです。

 事業の取組みをご報告する部分と,取組みから今後への示唆を書いた部分とで成り立っています。第2章から第7章には報告と示唆の両方が含まれていて、第8章は今後への示唆をまとめた章といえます。

 「あるべき姿」を示唆しているのか,「考慮すべき事項」を示唆しているのか,解釈や理解はいろいろ可能なのかも知れませんが,まさに解釈と理解の議論を通して望ましい方策を考え実行して欲しいというのが実証研究が取り組まれた意義でした。

 この続きは,読み手や実施者に委ねられているのです。

 国の事業に関わることになった私も,報告書作成の末席を汚して名前を掲載していただいています。第4章「ICTを活用した指導方法の開発」部分の内容整理に関わりました。

 全国の実証校からご報告いただいたICT活用実践の事例を学習場面の側面から分析し,「学習場面に応じたICT活用事例」として類型化する作業を事務局の皆さんとご一緒にしたというわけです。その他,報告書案について発言する機会をいただきました。

 末席とはいえ,名を連ねた以上は今回の報告書について私も片棒を担いだ一人(なんかもっと違う言い方があるような気もしますが…)ですから,いろいろ解説をしなければならない立場ともいえますし,ご批判を受け止める必要のある立場だと思います。

 3年分を一つの報告書に詰め込んでしまったので,盛りだくさんになり,読むのも大変で,突っ込みどころも多いのでしょう。別冊資料編に分けるなど,作成する側の配慮もあるのですが,総花的にならざるを得なかったことは複雑な心境ではあります。

 また,私が関わった「学習場面に応じたICT活用事例」は,「教育の情報化ビジョン」に記載されていた分類やイラストのバージョンアップをするという前提があり,もう少し授業づくりに生かせるパターンランゲージ的な装いを盛り込めないかと思っていたのですが,結果としては類型化枠組みみたいな雰囲気に落ち着きました。

 この作業の中で,「忙しさは罪」であるということを確信した次第で,もう少し早くに時間をとって作業をし提案が出来たら,別のアイデアも出てたかも知れません。

 言い訳はともかく,残された時間の中で,採用されるかどうかは別として,報告書案への意見やアイデアを考えて提出してました。こういう立場に立てる機会はもう多分ないので,悔いだけは残さないように。

 結果,提出文案はほとんど没でしたが,会議での発言を汲み取っていただいたところが,あちこち有るような無いような…そんな感じです。

 一つの報告書といっても,特別支援やデジタル教科書,教育効果や留意事項などセクションによって専門チームが作業をしていたわけで,その他の部分について私が何某かを関係者として語ることは大変難しいのも確かです。

 実証研究報告書を読むということは,関係者の手を離れた以上,多様な読み方があってもよいのだけれど,その背景を探って読まないとすぐに道に迷うことになる,そういうことも念頭に置いていただきたいなと思います。

 多くの関係者の皆さんが,次の取組みに移られ前へ進まれている中,私は,前の取組みを掘り起すべく後ろに進み始めました。

 ご縁をいただき,国の事業に関わることになった経験は,本来私のような未熟者では得られないはずのものでした。表面的なところしか触れていないとはいえ,行政の動き方や民間企業の取組みなど実体験に照らして理解することが出来たのは本当に貴重でした。

 だからこそ,過去のことをもう一度,ひも解いて理解してみたいと思いましたし,それを全体で共有する必要があると考えるに至ったのです。

 私自身は,学びのイノベーション事業に関わった者として,この次に起こる取組みへのお手伝いをすることもしますが,むしろ,それらが過去からの積み重ねの上に位置づくことをちゃんと示せるように歴史を見える化する方へコマを進めたいと思います。頑張らないと。