何で書くか

読むものが膨大に増えて、読まなければならないものより読まなくていいものを読んでいる時間ばかり過ぎて、書く機会はすっかり押されぎみだ。

このまま書く気力も薄らいでしまっては困るが、気がつけば、何で書くかという状況が激変していたことも、放ったらかしにしていた。

何で書くかという問いは、どんな形で書いたものを残すのかという問いでもある。その組み合わせも多様で、今の自分を落ち着かせられる選択肢はどれかは大問題だ。

昔の自分は、「何で書くか」問題をそれなりに落ち着かせていたように思うが、ここ長いことその問題への対応は崩れて乱れて瓦解していたかもしれない。

昨今はFacebookなどのSNS経由で情報が行き交うことも多く、それらを追いかけることも有意義なのではあるが、そこはどうしても情報の重複や余分が入り込み、途切れもないまま膨らんだかと思えば雲散霧消が繰り返されている。

しかも、ある時期からは「いいね」などのフィードバックや関わり合いの程度にもとづいてタイムラインが積極的に編集されるようになってきた。それがポジティブに働いている面もあれば、ネガティブな効果を生むこともあり、総じて私たちは振り回されている傾向にある。

それはこちらが読む情報に限らず、書く情報の伝わり方にも関わっており、要するに、書いたからといって方々の人々に届いているとは限らないということが当たり前に起こっているのである。

皆がFacebookタイムラインだけに頼っている状態だと、アルゴリズム的な村八分が展開していることに気付かないこともありうるわけだ。

一時期は、書いたものが友達のもとに届き、「いいね」等の反応が得られるという点で何かを書くのにうってつけだと思われたFacebookも、いまやすっかり書いても埋もれるだけの場所になりつつある。

にもかかわらず、Facebookはいまだに多くの時間を奪っていくし、そうしてうつつを抜かしているうちに「何で書くか」問題が混沌としてしまった。

こうした駄文を書く場所として、かつてよりずっと維持しているこのブログは、今でも稼働を続けて、今後も継続していくことになるが、もう少し括りを伴った形で書く手段も欲しいところ。

そうしたニーズに、私たちは何を使って対応しているのだろうか。

日本語ワードプロセッサを使って文書ファイルを作成する方法はかなり古典的だが、仕事ではいまでも当たり前の手段だ。

今では、クラウドサービスと組み合わせたノートツールをつかうことが多いだろうか。以前はEvernoteが絶大な人気を博した時期もあったが、様々なツールの登場によってユーザーも分散していったように見える。

電子メールをメモ代わりに使う(自分宛のメール)というビジネスマン・ティップスも、今ではメッセージサービスがそれにとって替わっている。

また、テキストファイルベースで情報を記録するという人々も少なくない。プログラマ界隈ではマークダウン記法と呼ばれる記録ルールも使われている。

具体的なツールや情報の記録形式を列挙するのは別の機会にしたいが、「何で書くか」問題は、それら細かな選択肢に対する人々の好みも絡むため、実に厄介な問題でもある。

それで、私自身の「何で書くか」問題について、自分自身の対応を再構築しなければならないと考えて、ちょっとした試みをすることにした。

「漸次書籍」という名前の電子書籍プロジェクト。ちょっとずつ書き足す形式の電子書籍である。

言ってしまえば、電子書籍の形をしたブログのようなもの。一冊まるまる書き切らなければならないハードルの高さがない分、取っつきやすいかなという感じである。リハビリがてら始めてみようと思う。