20181002_Tue

授業日。

「情報科学」は初回ガイダンス。科目名はまるで専門講義のように見えるかも知れないが,実のところコンピュータ周辺に関する基本から応用への知識習得とオフィス系ソフトの次にあたる表現系ソフトの基礎知識と操作技能の演習である。

知識面については『キーワードで学ぶ最新情報トピックス2018』(日経BP)からピックアップをして広範に扱うことにした。これは情報分野における『現代用語の基礎知識』といえる唯一の書であるし,内容も充実している。

実技面は画像や動画という表現系(なんでも表現だといえるからこの分類もおかしな話だけれども…)データの仕組みの理解や加工・編集についての処理を扱う。今どきはスマートフォンのアプリが簡単操作で加工・編集を実現するので,その裏側をベタに覗こうというアプローチだ。

実情を晒せば,パソコン教室の機器環境も古さが際立ち始め,導入されているアプリケーションソフトの更新もないまま,学生の持ってるスマートフォンに数段負けている現状。基本的な原理や処理を理解するという建前は,学習に利用する機器では高度な機能が利用できないから基本的な機能を使って演習を展開するしかない実情に由来している。与えられた条件で頑張ってみるしかない。

その他,学生対応が五月雨式に舞い込む。

20181001_Mon

学会が終わり帰る日。

台風は足早に過ぎ去ろうとしていたが,残念ながら航空会社は午前便の欠航を昨夜のうちに決定。つまり私の乗る予定だった飛行機が飛ばない。

仙台から徳島まで陸路でひたすら移動して帰る1日となった。

腰が痛い。

もっとも,早いうちに陸路の座席予約を完了して確保できたので,立ちっぱなしの移動にならなかったことは幸いと考えるべきか。台風の影響で移動手段の振り替え等を迫られた人々が,発券機や窓口に行列をなして苦労しながら切符を買って,満席となった列車の中で立ったまま乗車。台風の影響は本当に悩ましい。

 

20180928_Fri

いくつか教採結果が判明する日。

教員採用に関する事情は,都道府県や政令指定都市ごとに様々異なっているので,人が足りないという話を聞く一方で,依然として採用試験合格は難しく厳しいところも。

学生たちが挑んでいる教員採用試験のほとんどが狭き門を争うもの。7月,8月,9月と長期にわたって行なわれた試験を,たゆまぬ努力で乗り越えて,見事合格を果たした学生もいれば,途中,悔し涙を流した学生もいたと思う。

幸い,いくつか合格の報を聞く。他の学生たちからも良い知らせが届くといいなと思う。

本日から東北大学で日本教育工学会全国大会が開催されている。

初日の参加は諦め,明日の参加のため午後から仙台へ移動。

徳島から神戸空港経由で仙台空港へ。台風が接近しているので帰りが心配だが,まぁこの辺はいつも運が味方についているので,なんとかなるかなと思っている。

夜8時頃に仙台に着いて,書店に寄り道してから,牛たん焼き定食をいただいた。それから稲垣先生とワインで一献。さて,いろいろ刺激を受けよう。

20180927_Thu

通常の授業日。

新しい内容の教科書へと切り替えることにしたものの,売店への入荷はしばし時間がかかるため,冒頭部分をコピーして配布することにした。各自がネットでピッと購入すれば数日で届くことは可能なのだけれど,このご時世になっても,いろんな人が関わって成立してきた手続きを飛び越すことの方が難しい。

プログラミング教育体験活動に関わってくれている学生たちが,秋の催しについて相談のため来研。独自に附属小学校の児童たちを募集する機会以外にも,大学祭にやって来てくれる子どもたちを対象とした体験機会をつくることも計画してくれている。

ただ,単発的な体験の機会となると「プログラミングを体験する」という側面を堅持するのがとても難しくなるという問題に直面する。

特にフィジカルデバイスのプログラミングは,ロボットやらセンサーやらのフィジカルなものを動く動かすという分かりやすさがある反面,動くことへの興奮がある程度おさまらないとプログラミングの方へ意識を向けさせるのが難しいし,その時間配分も予測が難しい。たとえば,ボール型ロボットを制御するという素材は,関心を掴むという点においてインパクト十分であるが,これを学習素材として料理する幅はそれほど大きくないのが実情である。食べ飽きるのが早いかも知れない。

子どもたちに向けてプログラミングを体験してもらうというねらいは少し諦めて,学生たち自身がこの活動を通してプログラミングというものを体験し馴染んでいくという裏側のねらいに重点を置くような感じになるのかなと思う。

グラハム・ベルが電話を発明して特許を取得したのが1875年と1876年のこと。

その頃の日本というのは,明治8年,9年といった時代で,ご存知文明開化の頃だった。電話もすぐさま輸入されたそうで,さっそく国産品の開発が始まり,逓信省による電話交換業務が始まったのは1890(明治23)年だという。

ところで,明治時代より前はどうだったのか。

気になって『江戸の理系力』(洋泉社)を覗いてみた。

電気にまつわる話だと,平賀源内の「エレキテル」が思い浮かぶ。1770(明和7)年の長崎遊学で壊れていたエレキテルを入手したものの,「当時の日本において電気の知識は皆無に等しかった」らしく,別の歴史年表によると平賀源内がエレキテルを修理したり模造品を完成させるのは1776(安永5)年までかかったらしい。

興味深いのは,大人の科学.netの「江戸の科学者列伝」(学研)等の記述によれば,エレキテルは見世物として使われたに過ぎないようだ。つまり,火花をバチッと出せてインパクトはあったけれども,実用的に使うものではなかったと。どこかの時代のボール型ロボットで似たような話を聞いたような…。

日本における電気の祖は橋本宗吉で,1811年頃に『阿蘭陀(おらんだ)始制エレキテル究理原』という本を書いたことから電気学が始まった,とのこと。

日本の電気の歴史もなかなか奥深い。

20180926_Wed

本日研究日。

午前中はお休みをいただいて職場健康診断を受けた。本来,5月に職場内で行なわれているのだが,毎年恒例の出張のため受けられず,別途自分で受けに行く。

健康診断自体はスムーズに進み,胃検査もバリウムを飲んで検査台の上でクルクル回転しながら終わった。下剤の影響には相変わらず困らされ,幾度とトイレに駆け込んだ。とりあえずこれで儀式は一段落。

職場に戻って,授業に使うプリントや資料の準備。それから,教職履修カルテなどのチェックものを片付ける作業をしていた。

現実はいつも対話から生まれる』(ディスカヴァー21)が出ていた。

社会構成主義の学術書で有名なガーゲン氏がご夫妻で書いた入門書だとか。アクティブラーニングや深い学びに注目が集まっている良いタイミングだと思う。

本書の社会「構築」主義(”constructivism”)と社会「構成」主義(”constructionism”)の二つに触れるくだり(15頁)は,たとえば『作ることで学ぶ』の「構成主義」について触れているところ(4頁)とダブらせると個人の頭の中で起こるのはどっちがどっち?といった混乱も生まれるかも知れない。けれども本書はあくまでも「社会構築主義」や「社会構成主義」の話なので,「構築主義」と「構成主義」を話題にしているものと分けて捉えた方がよさそうだ。

この本の知見が日本のコミュニケーション文化で活きるには一工夫必要な感じがしなくもないが,考え方を学ぶことから始めるのは大事なことだと思う。