20130202 関西大学初等部研究発表会

 関西大学初等部の研究発表会に参加してきました。
 昨年初めて参加し,そこで見た思考スキルを育成する取組みがどのように展開しているのかを確かめたくて今年も参加しました。
 
 思考ツールを活用した授業実践は全国数あれど,それを小学校の全学年を通したカリキュラムに位置づけて扱おうとしているのは関西大学初等部くらいでしょう。そういう意味でも大変注目を集めています。

 今回,思考スキルを学習する「ミューズ学習」と総合的な学習の時間を組み合わせた5年生の実践を見せてもらい,その協議会に参加しました。
 実は,この2時間(ミューズと総合)は「私たちにできる国際貢献」を考えるというテーマで繋がっていました。それゆえ,思考スキル(方法)を扱うミューズ学習の時間で「国際貢献」(内容)に引っ張られてしまうといった課題も見出されるものでした。
 協議会の場は,そのような方法と内容の混乱についての指摘を中心として展開していたのですが,そこから興味深いテーマがあることに気がつきました。
 思考スキルを6年間かけて習得するのが関西大学初等部の特徴ですが,思考スキルの習得,つまり設定された6つの思考ツールの理解と活用習得は6年間かけるほどのことはありません。それ自体は1年生から4年生までの間に達成できるでしょう。
 であれば,5,6年生は思考スキルを高度に使いこなすことが求められることになるわけですが,それは思考ツールを複雑に組み合わせて使うことを意味するのでしょうか。
 私はそこに「他者」の設定が加味されるようになるのだと解釈しました。
 それまで自分や友達同士での理解のために思考ツールを用いて整理したり解釈したり組み立てたりしていたわけですが,それがある程度達成できれば,今度は思考ツールを持たない者とのコミュニケーションを前提とした活動へと進むのではないか。
 確かにこれまでも先生や友達という他者に対して説明をするために思考ツールを利用することは行なわれてきたと思われますが,先生も友達も思考スキルを共に学んだ者同士であり,同じプラットフォームを共有する者として本質的な他者とはいえません。
 むしろ,思考ツールというプラットフォームを共有しない者に対して,思考ツールを使って考えた物事をどう伝えるのか,どうコミュニケーションとるのかということは,高次な他者とのやりとりともいえます。
 もしかしたら,今回のミューズ学習はそのような視点で構成することで,内容に引っ張られることを防げたのではないかとも思えたのです。
 というのも,総合の時間は外部から大学生を招いてグループ毎に活動するという授業が展開されたわけで,大学生と児童達とのコミュニケーションは,そのような高次な他者とのやり取りだと思えるからです。
 ミューズ学習の時に「大学生に思考ツールを使ってどう伝えるのか」という目標が明確化されていれば,内容の議論へと引っ張られることを少しは防げたのではないかと思います。

 こうした具体的な授業づくりに関する課題を着実に解決していくことで,思考スキルの学習の取組みが前進していくことが期待されます。
 思考スキルという捉え方は,特別なものではなく,むしろ世界的には当たり前の学習主題でもあります。もっと広く認知され,当たり前のように取り入れられるようになることを期待したいところです。