Objective-C Mac OS Xプログラミング

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 書名の通り,これは「Objective-C」というプログラミング言語についての本です。この言語はMacのCocoaプログラミングで使われることが主なので,必然的にMac OS Xプログラミングの本になりますが,基本的に言語解説の本です。

 そして,この本には「C」言語の解説にあたる部分はありません。よって,本当にObjective-Cに関しての本です。さらにいえば,Cocoaに関する解説も言語に関わるであろう部分のところまでで,やっぱりObjective-Cに関しての本です。

 Objective-Cの表面上の姿は,非常にシンプルです。ところがそれを実現するための基礎となる考え方や,それにまつわる様々な細かい規則部分を積み重ねていくと,一冊の本になってしまいます。本書はそうした解説の部分と,メソッドを紹介するリファレンス的な部分の両方を持ちます。Objective-Cという言語で作業を進めていく中で,この言語と真正面から向き合ったとき,必要な情報を得られる強い味方の本だと思います。

 この本をすべて消化しないとObjective-C,ひいてはCocoaプログラミングができないかというと,そうではありません。この本は,どちらかといえば冠婚葬祭事典と同じように,何かあったときに引けたら役立つという風に考えてよいと思います。あれば強い味方,なくても,まあナントカ人に聞いて済ますこともできるかも知れません。


 対象となる読者は,C言語を習得済みである人です。さらに簡単なObjective-Cの知識や簡単なCocoaプログラムをすでに他の書物で勉強して組んでみたことがあるという人であれば,本書を読むのに適しているといえます。
 残念ながら,本書を最初に読んでC言語部分を含んだObjective-Cの全体を学ぼうとすることはできません。C言語は別途参考書を利用するなどして学習しておく必要があります。オブジェクト指向に関する知識も事前にあれば心強いです。


 繰り返しの確認になりますが,本書はObjective-Cに関しての本です。Cocoaプログラミングも扱ってはいますが,Interface Builderを使ったグラフィカルなプログラミングなどは解説していません。それゆえに,10.5環境になってもObjective-Cの範囲内であれば,本書の内容は立派に通用します。


 ちなみに本書は,Objective-C (1.0)を対象として書かれています。10.5とともに登場したObjective-C 2.0の内容は含まれていません。しかしあくまで,2.0は1.0を改良したものであり,1.0によるプログラミングは今後も可能です。また,10.5環境がもっと普及すれば,2.0も当たり前のように使われるようになってくると思われます。
 2.0についてはアップルから以下のようなドキュメントが提供されていますので,参考にするとよいでしょう。

Objective-C 2.0プログラミング言語
http://developer.apple.com/jp/documentation/Cocoa/Conceptual/ObjectiveC/

 

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