NEW Education Expo 2008

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 2008年6月5〜7日にかけてNEW Education Expo in 東京が行なわれた。Expo自体は13回目を数えるが、私が参加するようになったのは一昨年からなので、今年で3回目の参加となった。

 本当は同日にBEATセミナーが東京大学・福武ホールで行なわれていたので、そちらも気にはなったが、公開授業を見たかったのと、後期からの非常勤のネタを集める必要もあったので、Expoを選択。BEATセミナーは、あとから身近な人たちに様子を聞くことにしよう。

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 昨年は何かが間違ってセッションの登壇者になったが、今回は一来場者に戻って気楽な気持ちで最終日に出かけた。Expo自体は年々来場者も増えているようで盛況であった。

 ただ、個人的には不満と不安が募った。私が参加した3年間だけを考えても、トピックスの目新しさはあっても、本質的な状況の進歩はないように思われた。確かに新しい学習指導要領においては、教科の域にまで情報にかかわる文言が入り込み、情報教育や教育の情報化は、いよいよ本格化するように思われている。

 ところが現実には、情報教育や教育の情報化のための環境整備に着手することが、ますます困難な状況になってきているようにも見える(ex.地方分権化)。賑やかだった企業展示ブースは、私の目にはますます混沌として、そこにいる誰も教育市場におけるグランド・ビジョンを描けていないように思われたのである。

 3年間、差し出されたパンフレットを受け取ったり受け取らなかったりを繰り返して集まった、そのパンフの山を比べてみると、ある種の固定化されたパターンとバラバラさ加減に、私は大きな不安を感じざるを得ない。弱者は当然のことながら、強者にとっても、どこまで持ちこたえれば道が開かれるのかが見えないチキンレース状態にある。いや、むしろ小回りが利かなくなっている分だけ、その消耗具合は想像以上なのではないか(ex.学研etc)。

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 それでもこうして毎年、教育関係の大規模なイベントを継続的に開催しているNEW Education Expoの関係者の皆さんには頭が下がる。私は、教育市場が活性化し、教育に貢献してくれる企業がハッピーになってくれることを心底祈っている。

 たとえば、英国ロンドンで毎年行われている世界最大の教育関係展示イベント「BETT」は、世界から教育関連の企業が集まり大変賑やかである。NEW Education Expoが目指している一つの理想だと思うが、ここに集う企業の人たちは「企業人」であると同時に、教育を支援する「貢献者」としてプライドに満ちた姿勢で参加している。またそこに参加するあらゆるレベルの教育関係者もまた教育界を活性化させたいという思いで集う。そして、BETT会場は、異なる立場の人たちがセミナーや展示物を話の肴に教育を語らうサロンの集合体と化すのである。

 私は、ここにNEW Education Expoが次のステージへ飛躍するヒントがあるように思う。いまのExpoには、セミナーや展示物、あるいは教育の未来について参加者同士のみならず、企業の人々と語らう場も余裕もほとんどない。意見交換会は場を移して別途行なわれるが、それは来場者のほとんどを返した後だ。それで語らうべき人々と語らえているだろうか。


 私の懸念は、現時点の規模において、こうした場に集う私たちが教育について語らいを持ちえないとしたら、今後どうやって教育の市場は互恵的な関係を発展させながら大きくなっていけるのか。このままではあまり幸せな未来はないんじゃないかと思えるのである。ともに教育文化をくつる者同士になるのか、それとも消費文化を分担する者同士になるしかないのか。

 ある意味、NEW Education Expoが変わることができるとき、教育市場の新しい在り方が始まると思う。

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