合理さに追いつけない

user-pic
0

 日曜日,いろいろ事情あってApple Storeに技術サポートをお願いしにいくことになった。私は根っからのApple好きであることはよく知られた話なのだが,Apple Storeを始めとしたAppleの商売下手は大嫌いなので,頼りにしつつも何があっても驚かない気持ちで出向いた。

 案の定,今回他社製品が絡んだ技術サポートは対象外で受けられないと返答してきた。こういう場合,「そんな理不尽なルールがあるか!対応しろよ」と粘るのが普通の消費者なのかもしれないが,この会社の営業方針と付き合いが長くなると,そうした抗議のエネルギー自体が無駄であることも承知しているので,むしろ現実的な方策を打つことにした。


 「受け付けられないということはわかりました。それで,この技術サポートを受けるための別に可能な選択肢は何ですか,教えてください」とお願いしたのである。

 自分のところでサービスできないということは,事実上,他へたらい回しするということである。だとすれば当然ながら,より良いたらい回し先を紹介するくらいのサービスは十分に提供してもらいたいじゃないか。


 「いま,近辺のリストを印刷してお渡しします」といったところは,先方の定石のようである。問題は,リストを客に渡してからのことである。それで店員はすっかり満足だ。仕事は終わったような気持ちでいる。

 私はリストを眺めて,わざとつぶやいてみた。「えっと,株式会社のサービスが多いですね。日曜日はやってないかなぁ…」店員は,一緒にリストを見つめて,なんの反応もない。

 まったく…,ナントカ・ジーニアスとかコンシェルジェとか聞いて呆れるわ。私がApple Storeに日曜日に駆け込んできた理由とか,できればいまから別の店に出向きたいという気持ちを察して,サービスを生み出そうという気概も空気も感じられない。早くにたらし回しモードに移ったなら,移ったなりに,たらい回し先まで案内し届け終わるまで面倒見るのがApple Storeの本来の哲学じゃないのか?

 他社製品が絡む技術サポートを受け付けないことによる自分たちのサービスの効率化や合理化を推し進めているにもかかわらず,合理化の先,消費者の満足までサービスが届いていないんじゃ,話にならない。こういう中途半端な精神でAppleブランドを背負っている人間が多いから困ってしまう。

--

 結局,日曜日に技術サポートを引き受けてくれたのは,多摩に店舗を構える老舗のマック販売店。マック愛好家の間でも昔から知られたお店であった。結局,Appleという会社と長く付き合い,振り回されて苦労した者同士で助け合ったという感じ。


 サービスとは何か。商売人にとっては永遠の問いであり,問い続けることで生み出し続けるしかない。そうした本質に向かう真摯な問い掛けをせず,上っ面だけの目新しさを追いかけるのに終始しているとしたら,そのうちハリボテみたいな全体が崩れ落ちるに違いない。それは何事においてもそうだと思う。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://con3.com/mt/cgi-bin/mt-tb.cgi/541

コメントする