教育支援プログラム

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 教員研修の夏がやってくる。一般の皆さんの頭の中には,牧歌的な時代の学校風景が残っているかも知れないが,あの少年時代の夏休みといった世界に住む先生は居ても少数で,目まぐるしい校務や研修に勤しむのが,今日の先生たちの姿である。

 上手く機能しているかどうかの問題はさておき,この国の教員研修は手厚い,あるいは手厚くなってきた。それが何を意味しているかは,察しのよい皆様ならおわかりと思うが,実施主体が国,都道府県,市町村,学校という単位で並列し,教員に期待される自己研修を取り囲むように,法定研修,基本研修,専門研修,経験年数別研修などなど様々な呼び方の研修が用意され,いろんな意味で大変である。

 これに教員免許更新制導入に伴う研修が加わるわけで,まさにメニューだけ見れば研修花盛りな時代。問題は,こうした研修を充実化させたり,一つ一つを丁寧に深めるための環境(あるいは文化)整備について,あまり世間の関心が向いていないということである。
 本来,教育振興基本計画に盛り込まれるべきは,教員の増員といった人件費より,教員の専門性を高めるための整備費であるべきだったのだが,結局のところ「それは(研修を受けやすくするために)教員増員するってことでしょ?」という短絡的な理解で議論が終わって続かない,いつもの嘆き節である。

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 私は研修事業の取り組みが充実化することに異論はない。ただし,どのように充実化させるかについて,もっと新しいアイデアを取り込んでいくべきだと考える。

 教育関連リソース(資源)とその伝搬環境は,コンピュータとネットのおかげで激変している。そうした変化のメリット部分をもっと活かしていくべきである。そう考えると,「TRAIN」とか「ADAPT」とか教員研修を支援する取り組みを精力的に生み出してきた某センターが来年廃止という理不尽な展開は大変残念なことである。

 民間の力を,今以上に活用することも求められるのだろう。学習塾と学校との連携は,まだ心的な垣根が解消されていない関係ではあるが,手を取りあって教育を支えていくべき重要なパートナーには違いない。特定分野に関しては,民間企業の専門家が講師となる研修もあり得るだろう。あるいは研修という形態を見直しながら関係していく必要もあるかも知れない。

 そう考えたとき,新しい「研修」とは何かについても考えなければならない。賑やかになってきた「ワークショップ」という手法がもっと主軸に据えられるかも知れない。あるいはもっとイノベーティブな研究を推進する活動形態が生み出されるやも知れない。

 果たして,そうした新しい活動形態を活かせる環境設備・道具が,教育センターや学校施設にあるのかどうか。もう一度問い掛けてみる必要があるだろう。私たちは何にお金をかけるべきなのか。それが延いては子どもたちの学びにも影響していくのだということに,もっと想像力を働かせるべきなのである。

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 とある仕事で関わって以来,付かず離れずで眺めていた「インテル教育支援プログラム」という取り組みが,新しいプログラムをリリースしたようである。

 インテル社が全世界に向けて提供している教育支援プログラムは,思考支援型の授業をつくるための学習指導や教科指導に関する研修といえるもの。授業設計手法として諸外国で注目されている「逆向き設計」を取り入れ,実際の単元計画を作る過程を演習する研修プログラムとなっている。意外かも知れないが,これはICT活用が目的の研修ではなく,純然たる学習指導あるいは教職関係の研修なのである。

 教育研究機関に依頼してつくったプログラムだけに,かなり中身が濃い。おかげで36時間を確保しなければならないため,従来のような研修と同列に扱えないのが玉に瑕だった。さすがに,いきなり36時間(6日間)の研修プログラムを企画したり,申し込むのはハードルが高い。


 今回,そうした本体の研修プログラムへと誘うための前座メニューとして「ワークショップメニュー」が登場した次第である。インテルが提供する(ICTをメインとしない)教育支援プログラムとはいったい何なのか?そのような素朴な疑問を解消してもらうためにも,大変よいメニューではないかと思う。

 世界の先生たちが取り組んでいる教育プログラムがどんなものかを体験するという意味でも,あらためて触れていただければと思う。たまに関西風のときあるけどね^_^;。

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