去りゆく七月に

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 まもなく七月が終わる。

 大学の図書室。そのくたびれた蔵書を見て,せつなくなる。

 かつて学部生時代に新刊として書店に並んで輝いていた本。

 その変化に,時の流れを感じた。


 それでも蔵書は,多くの人の手に取られ,多くを伝えたのだろう。

 同じ時間の中で,自分は何ができたのか。


 せつなさを共有する相手はいない。

 遠ざけてしまった人達のことを想い,離れていこうとする自分を無闇に鼓舞する。

 学術の世界に留まろうとするからには,自分の中に想いがあるはず。

 しかし,それも図書室の蔵書のようにくたびれてしまっているのだろうか。


 自分に才覚がないことは分かっている。

 問題は,それでもなお,前に向かって歩むか歩まないか。

 それだけの話なのだ。


 その一歩ごとに,私は人から離れていこうとする。

 そうしないと,自分の気持ちを支えてはいけないから。

 そうしないと,たぶん前へ進めないから。

 
 
 言葉ばかりが浪費されていく感謝と,ただ一言「ごめん」の想いが

 伝わらないまま,今年も七月が去っていく。


 君は元気だろうか。 君は幸せだろうか。

 

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