ユーモアの古典

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 どんなユーモアやお笑いを好むかは人それぞれだし,地域や時代によって笑えるものと笑えないものがあったりもする。それでも多くの人々を魅了する笑いのパフォーマンスというものが時々にあったりするわけである。

 Comedy(コメディ)というと,日本語では「喜劇」になる。日本だとNHKの「コメディーお江戸でござる」がコメディという言葉をタイトルに使って耳馴染みが強いが,吉本新喜劇とかが日本のコメディ(喜劇)集団としては有名だし,テレビの世界では1960年代に放送されたいくつかの番組は,バラエティと言うよりはコメディの番組と言った方がよりしっくりくる。

 英英辞書には,たとえばOxfordだと「professional entertainment」と表現するものもあり,「作り込まれた喜劇」というニュアンスがある。日本では,Conte(コント)つまり「寸劇」が好まれる傾向があるが,コメディといえるものもあれば,バラエティとしかいえないものもあり,どこを基準に線引きするのか,よく分からないのが正直なところである。結果的にはあれこれ混ざった「お笑い」という括りで発展しているのが日本の現状である。

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 日本のコメディ番組(バラエティ番組)を紐解けば,やはりNHKの「お笑い三人組」という番組,クレージーキャッツの「おとなの漫画」,ドリフターズの「8時だョ!全員集合」,ラジオで展開していた「スネークマンショー」,漫才ブームの中での「オレたちひょうきん族」,もちろん吉本新喜劇などが歴史を作り,今日のバラエティ番組やコメディ番組に強い影響を与えた。

 海外のコメディ番組については,日本で紹介されたり,放送されたものが少ないため,私たちにあまり馴染みがないものの,たとえばアメリカであれば「サタデー・ナイト・ライブ」であるとか,深夜のトークショーなどが知られている。

 イギリスにも,ご当地の文化を反映した個性的なコメディ番組がある。それが「モンティ・パイソン」。日本でも一時期放送されたことがあると聞くが,英国のユーモア・センスは,高度のものからドタバタまで非常に独特で,好きな人は好きだし,わかんない人にはわかんないままらしい。もっともいまの日本では「Mr.ビーン」の方がイギリスのコメディとしては有名だろうけれど…。

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 世界的にも様々なコメディ番組に強い影響を与え,今なお多くのファンを獲得している「モンティ・パイソン」が,自ら過去の映像をYouTubeに公開するため新しいチャネルをつくったというのが,ここ最近話題になっている。(モンティパイソン・チャネル

 なんでも,YouTubeが出来てから3年間に,いろんな輩が自分たちのビデオ映像を無断でアップし続けてきたが,これに対抗すべく策を講じることにしたのだという。

 どいつが映像をアップしたのか分かっているし,懲らしめることも出来るが,むしろ自分たちで直接映像を配信することで,いままで劣悪な画質で中途半端にアップされてきた映像を,自分たちの臨む高画質の完全な形で公開することが出来る。しかも,タダで。え?課金なし?そうらしい。

 コンテンツを持っている人たちが腹をくくると,こういう動きになっていくんだなぁ。iTunesで映像販売する選択肢もあるはずだが(「サタデー・ナイト・ライブ」はその路線である),そうせずに,現状を皮肉りながら乗り越えてしまうあたりが,いかにも英国のユーモア精神なのかなと思ったりもする。


 僕は「Always look on the bright side of life」のクリップが気になる。というか,この曲はモンティ・パイソンがオリジナルだったのか。「いつも人生の輝かしい面を見ていよう」という口笛ソングだが,昔の時代の張付け刑という希望のないシチュエーションで歌われるというギャップを表現するあたりがモンティ・パイソンらしい。時代を経て,ある意味では,今日の社会の風刺みたいなところもある。

 この時期にこういう風に面白いものを公開されると,困っちゃうんだよな,見たくなっちゃうから。ああ,研究が…。

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