雑記: 2009年1月アーカイブ

未来とは

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 日本では麻生総理が首相官邸に引っ越したことがニュースになっているが,米国時間の20日火曜日には,第44代アメリカ合衆国大統領にバラク・フセイン・オバマ氏が就任する。就任式(Inauguration)は,大統領選挙が行なわれた翌年の1月20日に行なうのが通例とされている。

 書店には,オバマ氏の自伝や著書はもちろん,演説集や選挙の様子を記録した出版物が集められている。岩崎書店が少年向けのオバマ本を緊急出版したりもしている。小学校の教室や図書室に置かれることを意図した内容だ。日頃,海外ニュースに疎い日本でもこうした動きがあるくらいである。世界中がオバマ氏の大統領就任を今か今かと待ちかまえている。

 それは無理もない。8年間のブッシュ政権は,各任期の最初こそ勢いはあったものの,前時代的なドンパチで富とパワーを得ようとした一部の浅はかさが,世界を混乱に陥れたのだから。そして,大統領のキャラクターのバカさ加減が印象的なだけだった。そういえば,パパ・ブッシュも唇ネタでバカにされたな。

 とにかくそれだけ長い時間のストレスと,現われた新星への期待が掛け合わさっている。この新星は,アフリカ系アメリカ人であり,シカゴ大学で教鞭をとり,そして権威ある『ハーバード・ロー・レビュー』誌の編集長を務め,州議員,上院議員のキャリアを歩んで,いまや合衆国のみならず世界に向けて「変化」を訴えている。そんな彼の語りは人々の心を捉えて放さない。

 当然ながら,多くの人々の期待とは別に,新しい大統領が直面する困難について指摘し,新星の力は及ばないかも知れないとする声もある。人々もマスコミもとりあえず静観する3ヶ月程度のうちに,目に見える成果を出すことができなければ,彼もまた批判の対象になるという。それが仮に半年に伸びようが,確かに新しい大統領のなすべきことは困難を極める。

 だからこそ,ますます新星に対する期待は膨らむ。もしかしたら彼なら変えられるかも知れない。かつてキング牧師が「夢」と語ったことを実現して見せた彼である。この8年間の悪夢からの目覚めがすがすがしいと言えないまでも,少しはホッとできるものであるように,彼なら思わせてくれるのではないか。いや,もしかしたら,夜明けを告げるスピーチとともに,新たな日々を見せてくれるのではないか。

 米国市民はもちろんのこと,世界中が,オバマ新大統領を加えた新しい世界の潮流に期待を寄せている。

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 それにしても,未来とは何だろうか。オバマ氏は,常々,融和や統一を口にする。私たちの未来は,お互いを分け隔てることに慢心するのではなく,共感を通してお互いが協調していく生き方が必要とされる。それは逆に言えば,タイトな関係を維持するコストを払わなければならないということであり,むしろ緊張感が伴うものであると考えるのが妥当であろう。

 もう少し踏み込んで考えるならば,その「緊張感」とは,同時代の者同士のそれというよりも,後世に対する緊張感といった方がよりオバマ氏の考えに沿うように思う。

 オバマ氏がハーバード大学の博士課程に進み,大学講師も勤めた研究・教育歴をもっていることは,今にしてみれば,政界で活躍する布石であるという捉え方にはなろう。しかし,「教育」という次代の人々を育み,知を受け渡そうとする営みに関わったという経験は,何かしら彼自身の根本に強く影響しているように思う。それは彼の娘たち(そして同じように学び夢を見る権利を持つ子どもたち)に対する想いからも垣間見られる。

 彼はこの世界を,次代に受け渡すための責任を果たそうとしているのではないか。


 それは「変化」というよりも,おそらく「選択」の問題になるだろう。月並みな見方だが,それが現実であり,オバマ氏が何を選択して次代に残そうとするのかが問題なのだ。そこに不安がつきまとうのも当然である。あるいは,ある人々にとっては,ブッシュ以上に残忍な大統領としてオバマ氏が立ちはだかるだろう。

 日本がオバマ大統領のアメリカ(あるいはヒラリーのアメリカ外交とでも言おうか)に対等な相手として扱われるかどうかは,日本が適切な選択をする国かどうかにかかっている。少なくとも今現在の日本は,その点に大きな不安を抱えている。


 日本は,未来に対する責任を,しっかり考えられているだろうか。その余裕を一人一人が持ちえているだろうか。

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 第44代アメリカ合衆国大統領が誕生する。

 この大統領の誕生が,歴史的にどれほど重要な意味合いを持つのか。この機会に学び直してみることも重要だろう。そして,この時代に居合わせたことに何かしらの意義を見出すことは,決して無意味なことではない。そこから未来に向けた「夢」を語ることができるのだから。

味噌煮込み

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 コンビニ夕食を食べながらネットをしていたら,味噌煮込みの話題が書いてあった。名古屋人の中には,味噌煮込みにこだわる人が多い。というか,ある味噌煮込み専門店のファンが多いと言うべきか。「山本屋本店」という名古屋の味噌煮込み屋さんは,名古屋の宝だと思う。

 もちろん,味噌煮込み自体は珍しい食べ物ではないから,あちこちで食べられるが,「山本屋本店」の味噌煮込みは,その味噌の味といい,芯が残るか残らないかの麺の硬さといい,絶妙で特別なのである。そして専門店としてお店の雰囲気も素晴らしい。だから,味噌煮込みを食べるとなると,どうしても「山本屋本店」の味噌煮込みを基準に良し悪しを判断してしまう。

 大学近くに味噌煮込み屋があって,ゼミのメンバーで食べに行ったことがある。正直不安だったが,そこの味噌煮込みはなかなか健闘していて及第点だった。変わりダネの味噌煮込みは,及第点の味噌煮込みをベースとしていたので,これも美味しく楽しめた。あ,そうか,今度また行こう。

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 ところで,味噌煮込みの話題で「山本屋本店」を出した以上,もう一つの山本屋である「山本屋総本家」にも触れて,この名古屋の二大味噌煮込みブランドについて整理しておかねばなるまい。

 名古屋人にとっては悩ましい話だが,名古屋には味噌煮込み店として「山本屋本店」と「山本屋総本家」という2つの全く違う味噌煮込みチェーン店が展開している。かつては「どちらが元祖か」という論争も賑やかだったし,「あれ,自分が好きなのは本店だっけ,総本家だっけ」とややこしいことこの上なかった。

 昨今では,味とサービスともに山本屋本店が格上で,山本屋総本家はまあまあという評価が定着している。それに,ネットを検索して驚いたのは,名古屋や愛知に居ながら「2つの山本屋」を知らないという人たちがチラホラいるとのことで,どうも名古屋の二大味噌煮込みブランド自体があんまりこだわりをもって語られなくなってしまったようでもある。

 どっちの創業が早いのかという単純な質問に対する答えには,解釈がいろいろあるため万人が納得する答えはないが,基本的には「山本屋本店」が創業明治40年に始まり,「山本屋総本家」は創業大正14年に始まった,とする説が一般的である。一応,歴史としては「山本屋本店」の方が長いことになる。ただ,本店の方は,現在の会社組織とはつながりが切れている云々がいろいろあって,ストレートに続いてきたという風にはならないようだ。

 ま,お家事情はともかく,名古屋の味噌煮込みといえば「山本屋本店」であって,これを押さえないわけにはいかない。以前は半年に1回は食べに行って贅沢な気分を味わっていたなぁ。また行きたくなってしまった。

仕事の津波

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 やったぁ!論文書き上げ提出できたぁ!と喜んだのも束の間,その間,オートストップしていた仕事やお返事をするために,過去のメールやデータを引っ張り出して整理処理。実はプログラミングで遊んでいる暇がないことに気がついたりする。ああ,奥多摩の温泉に入りに行こうか計画も水泡…温泉の湯煙の如く消えていく〜。

 年末年始の無茶ぶりに比べれば,まだ余裕があるからよいのだが,それでも放ったらかしにしていたことをもう一度再起動するのは,なかなかどうして大変である。でもそれが多分好きなんだろうな,自分。


 今日明日はセンター試験日。大学に入構する際には学生証が必要である。普段は一般の皆さんが自由に出入りできるので,散歩や観光する人々で常に賑やかなキャンパスなのだが,今日は,受験生と関係者のみ。しかも関係者もわざわざ来る人以外は,さすがに休むので,今日のキャンパスは閑散としているというか,実に静か。

 その静かなキャンパスを,自転車でしゃーっと生協まで走っていったりすると,なんか今日は自分だけの大学って感じがして面白い。またいろいろ文献買い込んで散財した。印刷やら何やらで破産寸前なので,資金調達を本気で考えんとなぁ…。

 さて,いよいよ教育ト書きも再始動。残りの時間を頑張りたいと思います。

 年が明けるといろんなトレードショーがあります。まずは私の大好きなMacworld Expo(米国)です。ご存知,アップル社のパソコンやiPod,iPhone関連の展示会ですが,今回はソフトウェアの新版と17インチディスプレイで長時間バッテリーのノートパソコンが発表されました。

 ソフトウェアは,iLifeという写真管理,ビデオ編集,音楽制作ソフトのセット。そのうち,iMovieというビデオ編集ソフトが簡単操作はそのままにさらに高性能化し,Garage Bandという音楽制作ソフトには,有名人がビデオで楽器演奏をレクチャーしてくれる機能がついたりと,教育現場にとっても魅力的な進化を遂げました(もっとも有名人が楽器演奏のレクチャーをしてくれる機能は,英語ですけどね。音楽に言葉はいらないと思えば…)。

 さらにiWorksというワープロ,表計算,プレゼンテーションソフトのセットも進化しました。目玉はiWorks.comというWebサービスと連携して,つくったファイルを閲覧共有できる機能。そしてNumbersという表計算ソフトも着実に改善され,懸案だったグラフ機能が種類も増えて,より正確に描写されるようになりました(これで研究スライドにも使える,よかった…)。

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 ぼちぼち始まるトレードショーは,BETT(英国)という教育関連の展示会です。

 楽しみなのは,電子情報ボードをつくっているSMART社の「SMART Table」ですね。電子情報ボードが浸透した英国で,次に何を売り込むかということを考えたとき,こういう形のデバイスが選択肢になるということです。

 うーん,要するに,一人一人が小さなパソコンを持つという発想は,大事なんだけど,ちょっと古いイメージになるかも知れないということです。まずこういうコラボレーションを支える機器があって,それをサポートする形で個人のマシンがつながっていくということをしないと,未来を描くことにはならないんじゃないかな,ということです> Iさん+Uさん,期待してます。

 それから,携帯タイプの液晶プロジェクタも登場して,あちこちで見かけるようになりましたね。こういったツールが学校教育現場のグループワークで活用される日が訪れるのも,そう先ではありませんね。日本はそう先でしょうけど。

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 皆さんはあんまり意識していないのかも知れませんが,文部科学省がYouTubeやYahoo!に公式チャネルを持つようになったんです。あのYouTubeにですよ!YouTube側が著作権侵害ビデオの削除や音楽著作権料の問題などに対応したり,いろいろ努力した結果なのでしょうけれど,本当に3年前からすると驚きです。

 つまり,うまい方法を考えてプライバシーや個人情報の問題さえ気をつければ,教育現場にとってもYouTubeは強力な発信メディアになるということです。諸外国の学校と簡単に交流することが出来ます。ファイアフォールでチャットが出来ないとかいうことよりも,気軽にYouTubeにビデオアップしあうことで交流につなげるというやり方も出てきますね。

 ちなみにTeacher Tubeという,より教育向けに配慮された映像共有サイトもあります。これを使えば,なおダイレクトに海外の学校と交流が出来るかも。

 こういうツールの活用を奨励するような教育委員会だとなお良いのですが,そこは親御さんたちを巻き込む形で地固めしていくなど,現場なりのボトムアップ戦略をとる必要があるでしょう。その辺のノウハウはまたいろいろアイデアを書いていきたいと思います。ツールは使い方次第で可能性を広げる,それが本来のはずです。

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 私もiPhoneのプログラミングを始めたいなと考えています。新しいデバイスを使って先生たちの校務が改善されるアイデアをいろいろ実験してみたいと思っています。まあ,いまは趣味の段階ですが。