20181210_Mon

Oculus GoのYouTube公式アプリが11月に出た。

アプリ名「YouTube VR」からも分かるように,Oculus GoならではのVR(バーチャルリアリティ)動画の再生に対応したもの。従来の2D(平面)動画も大スクリーンで視聴するかのごとく再生できる。

VRといっても実写動画の場合,映像視野を180度や360度角で記録したものと,映像に奥行きを持たせた3D(立体)で記録したもの。あるいは,それらをミックスしたものがある。CG動画の場合だとリアルタイムで映像を生成することも可能になるのでさらにバリエーションが増える。

研究室では以前から360度撮影カメラに関心を寄せてきた。

360度撮影カメラとしてはInsta360THETAという2大ブランドがあって,そこから他の機種に手を広げるというのが今どき。

そうして手を広げる中の一つにKANDAO社のQooCamというカメラがある。このカメラは360度撮影カメラとしてだけでなく,変形させると180度視野の3D立体撮影が可能になるカメラとして特徴的だ。研究室もお安く入手してあった。

というわけで3D動画を撮影してYouTubeにアップロードする実験。

専用アプリでFacebookやYouTubeへ簡単にシェアできる機能があるように見えたが,残念ながら現段階では期待通りに機能してくれない。まだあれこれ実装途中。

QooCamアプリで3D立体動画を撮影したら,まずはカメラからアプリに動画を転送し,共有機能でFacebookに3Dビデオとしてシェアする選択をする。ただし,アップロードが行なわれるわけではなく,標準の写真アプリに3Dビデオ加工されて保存されるだけ。これをFacebookアプリでアップロードする。

ところが,Facebookアプリは3Dビデオのアップロードをまだサポートしていない。これをパソコンなどに転送して,YouTubeにアップロードしようかと思うと,今度はYouTubeアップロードにあったはずの3Dチェックボックス機能が「サポートは終了しました。」という状態。

そこでヘルプ「3D動画のアップロード」に書いてあるように,「Spatial Media Metadata Injector」というソフトを用いて3D動画であることを認識させるタグを埋込む作業をすることになった。

これで保存し直したものをYouTubeでアップロードしたところ,無事に3D動画として登録された。Googleはこのタイプの動画を「VR180」と呼んでいて,対応カメラもいくつか出ている。また,こうしたVR動画を視聴するには,スマートフォンとVRグラス/ゴーグルといったものを組み合わせるか,Oculus Goのようなデバイスを使うことになる。

VR動画もあくまで映像撮影方式の一選択肢でしかないので,何でもVRにすればよろしいわけでもない。教材作成に有効そうに思えても,向いているものもあれば向いてないものもあるだろう。そういう意味では,もっと簡単に扱えるように撮影や視聴フローが改善されていくことが大事なのだと思う。

20181207_Fri

専門ゼミナール。

ライフロング・キンダーガーテン』を講読中。私のゼミの学生だからといって必ずしもコンピュータに詳しいわけではないため,Scratch等のテクノロジーやプログラミングの話への敷居は低くないものの,それぞれ頑張って担当部分をまとめてくれている。

先回,第2章「プロジェクト(Projects)」の発表者は,「考える玩具」ではなく「考えさせる玩具」を…という部分に関連してクリエイティブ・ラーニング・スパイラルが興味深いと語った。ただ,「流暢に表現できる能力」という節部分(92頁)がよく分からなかったというので,それをみんなで議論して読み解いてみた。

たぶん文献の該当部分がプログラミングやコーディングの例をベースに記述されていることが,難しさを生んでいたのかも知れない。たとえば「コーディングには基本技術と表現力の両方が必要だ」という記述やそれに続く文章を読むと,「流暢さ」が何を指し示したいのか分かるようにはなっているはずだが,たぶん先制パンチを受けて確信が持てなくなっているのだと思う。

ゼミ生それぞれの得意とする物事に置き換えて考えれば,流暢さに続く「思考力」「声」そして「アイデンティティ」についてもなんとなく見えてくる。そうしたものを発揮するにもプロジェクトは重要なのだと考えられる。

今回は第3章「情熱(Passion)」について読んだ。

いろいろ興味深いキーワードが登場する章なのだが,先回と同じように印象的なところはどこだったか聴くと,「低い床」「高い天井」そして「広い壁」という喩えがあがった(118頁)。それから,「ハードファン(Hard Fun)」について触れたところの,教師や出版社の多くは子どもたちが「物事が簡単であること」を望んでいると考えて学びをより簡単にしようとしている(128-129頁)…という部分も印象に残ったらしい。

「情熱」という日本語だと,どうしても燃え上がるほど熱狂している様を想像してしまいがちだけれども,今回の章を読んで,それぞれが思い入れのある事柄をや互いの様子を共有し合って,他人からすると凄いことなのにどうやら本人は知らないうちに苦もなく続けていたり,取り組んでいることもPassionにあたることが見えてきた。

Passionを意識すべきかどうかは,もしかしたら文化的なものもあって,日本だと自覚しない方がむしろよかったりするのではないかとも思える。もちろん,自覚するメタ認知を働かせて,よい方向に調整できればよいとも考えられるが,日本だと気恥ずかしさがたってしまう可能性もあって,素直なメタ認知が発動しなくなってしまうかも知れない。

議論はそこまでいかなかったけれども,深堀すると面白いのかも知れない。

20181206_Thu

保育原理は引き続き保育所保育指針。

健康及び安全に関する第3章の構成を中心に見ていった。指針自体は端的な文書で,「見ておいて」で済ませてもよさそうな文量ではあるのだが,授業で紐解かないと読まずにそのまま放っておかれそうな予感もしたので,どのような構成で書かれているのかを気にしながら読む。

卒業研究はそろそろ論文に重きを。

過去の卒業生の論文を印刷して,4年生はもちろん3年生にも完成イメージを見てもらう。立派な製本版ではないが,製本ファイルで冊子体としての形を示すことも必要。

今日はちょっと早めに帰宅した。

20181205_Wed

研究室の段ボール整理。

スチール書棚を追加し,引越用段ボールに入ったままの文献資料を取り出したものの,まだ段ボールは残っている。中身を確認して廃棄作業に取りかかる。

旧い教育関係の新聞が溜まっているので,興味深いIT/ICT関連記事が掲載されている号を除くために駆け足で紙面を参照する。ちょうど10年くらい前のものだが,あまり進展が感じられない内容も多く,日本の教育の不易の安定性に呆れを通り越して感心すらしてしまう。

そんなタイミングに,職場にもかかわらず新聞勧誘がやってきて,新聞紙を捨てようとしていた場で,流通関係の新聞紙を契約することになってしまった。一生懸命に可哀想な新聞社営業マンを演じていたのと,こちらもネットで新聞記事を活用させてもらっている後ろめたさもあり,3ヶ月だけの限定講読のボランティア。けれども,こんな勧誘するなら,これ以降は二度と新聞講読しないことを心に誓う。

学生たちがプログラミング体験活動。

児童研究という時間帯が確保されていて,学生たちの自主活動に充てられている。ある活動グループがプログラミング体験をしたいというので,iPadやSpheroとMESHを貸し出し。

あらためてSphero(ボール型ロボット)の掴みの強さを感じた。まずはリモートコントロールで自由自在に動かす体験で楽しんでから,設定されたゴールにプログラミングしたコードで到達する課題に挑戦する流れ。

使っているのがSphero miniということもあり,フローリングでは移動中のスリップも多くて,同じプログラミングコードでも毎回の動作結果が一致しないことがある。それも込みで楽しく試行錯誤していたが,教育となるとここからどう活動をデザインするかは課題かも知れない。

MESHは傾き/振動センサーとジェンガを組み合わせてゲームを楽しんでいた。こちらはセンサーをどのように組み合わせるのかで多様な活動デザインが可能だと思う。ジェンガ・ゲームに組み合わせるというのは,なかなか楽しいと思った。

今回は,プログラミングに抵抗感をいだく後輩学生たちに興味関心を持ってもらうための活動だったので,難しいことは考えるべきではないが,こうした導入からもう一歩先へ進むための道筋を考えることはとても大事だと思う。

20181204_Tue

研究室は文献資料の山。

研究室環境の改善は恒常的な課題であるが,入口に積まれた段ボールに入っている文献を箱から出して,少しでも段ボールを減らすのは喫緊の課題だ。箱の中では死蔵に等しい。

それで,ただでさえ持ち込み書棚の数が多くて呆れられているところに,もう一本,スチール書棚を追加することにした。これで16本目。設置ついでに室内の他の箇所も整理した。

おかげさまでいくつかの段ボールは消えて,さらにいくつかの資料を処分する決断をした。箱で眠っていた文献資料が顔を出したので今後は手に取るのが容易になる。研究室の入口付近は,多少なりともスペースが拡大し,それなりに書棚の導入効果は出たと思う。

とはいえ,完全にスッキリしたというわけでもなく,焼け石に水だったと言えなくもなく,様子を写した写真を見た人からは「火に油」とこれまた適確なツッコミを頂いた。資料集めが途切れない以上,このわずかに生まれた余裕も年度末には埋まっているのかも知れない。