徳島市GIGAスクール端末を知ろう

[追記]8/11 学校に導入されたタブレット端末のWindowsにも「ライセンス認証」問題が存在するようです。

ラインセンスを購入してないわけではなく、認証させる操作手続きが後手になっているという問題です。このため、Windowsのコマンドラインを利用して、ライセンス番号を入力して認証させる作業が必要になります。この作業がどのように行なわれるのか、まだ情報は得られていませんが、どうやらユーザー側にやってもらう雲行きであるとも漏れ聞きます。

こうした問題は学校・教育委員会外には公表されておらず、また秘密裏に処理されるようです。

[追記]7/7に連絡をいただき、件の高校で使用しているのは「Ubook」(無印)であるとご指摘いただきました。そうであれば、(専用ACアダプタ以外では)充電できない問題があるという投書の内容は正しいことになります。

徳島県立高校で生徒の皆さんが使用しているタブレット端末について、後日ブログを書きたいと思います。


[追記]7/4付の徳島新聞紙面「若い声」に現役高校生(県立高等学校生)の投書が掲載され,小中学校のGIGAスクール構想における端末導入と歩調を合わせて導入された県立高等学校向けの学習用端末に対する辛辣な意見が注目を集めました。

実際,GIGAスクール構想実現事業の学校内ネットワーク整備部分は,高等学校も範疇です。一方,学習用端末は,都道府県など学校設置者の判断次第です。徳島県は全県立高校生に学習用端末を貸与すると決定(2020年6月)しました。

2020年8月には一般競争入札が始まりました。

落札したのは「株式会社四電工」です。地元の有力企業です。どんな端末が納入されたのかは,残念ながら入札関連の情報からは伺い知れませんが,県立高校で行なわれた公開授業についてのニュースとその映像から端末が見えてきました。

小中学校向けの共同調達で人気だったCHUWI社のタブレット端末のようです。機種はUBook Proのようですが,詳細な仕様は分かりません。(ご指摘いただき、Ubook無印であったようです)

こちらの端末は,メーカーの仕様上ではUSB-C PD2.0規格に対応しているので,自宅のUSB-C PD対応の充電アダプタで充電できないってことはないとは思いますが,実際のところはどうなのか未確認です。

学習用端末の話は,小中学校と高等学校で議論を切り分けなければならない部分はあります。一方,学校内ネットワーク整備に関しては,共通して高速快適な整備が望まれます。学校外インターネットとの接続に関しては,なお不透明なところが多く,それぞれがお住みの基礎自治体で住民が理解を示し協力しつつ担当者も踏ん張らないといけない状況です。


[追記]6/11に徳島新聞Web記事で、徳島のGIGAスクール端末に関する詳しい内容が取り上げられました。

徳島県内の共同調達組と個別調達組で導入された端末機種は違うことが記事からもわかります。私も取材を受けてコメントさせていただきました。


[ここからもともとの記事…]

まったく蚊帳の外に置かれているので、まったく情報を持ち合わせていませんでしたが、こんなニュースが流れてきてしまったので情報をまとめておきます。

バッテリー膨張が発見されたとの報道

納入された端末とは?

徳島新聞社の端末写真が「納入業者提供」ということなので、納入業者である「アジア合同会社」さんのWebサイト(2021年6月末頃リニューアルし,一部リンク切れ)を調べると、GIGAスクール端末として納入したものと同型らしき端末の広告が掲載されていました。

https://asiallc.jp/assets/pdf/20200919新聞広告内容.pdf

こうしたことから、徳島市のGIGAスクール端末は左側に掲載されている「CHUWI社 Hi10 X」またはそれをベースにしたものと思われます。

Intel社 Gemini Lake世代のCeleron N4100というCPUは2017年に登場して、そろそろ製造終了という位置づけのものなので、最新端末の処理速度や性能を期待するわけにはいきません。ただ、安価で価格相応な性能の端末が提供できるということで、性能を求めない購買層向けには馴染みのCPUでもあります。

なんで、この端末?

まず全国のこと。

GIGAスクール構想の実現事業とは、改訂された学習指導要領も目指している令和の学校教育を取り組む重要な道具として、学習用端末を全国の小中学生に1人1台配布し、学校内ネットワークを整備する事業でした。計画実行に数年かけるはずが、コロナ禍の影響で2020年度末(2021年3月末)までに一気にやることになったという経緯があります。

この実現事業に伴う端末整備で、クラウド時代だからたとえばこんな端末導入してみては?と示されたモデルがありました。それを「標準仕様」なんて呼んでしまったのは、ちょっとした失敗でしたが、なんと3つの異なるプラットフォームでモデルが示され、それは画期的なことでした。

  • Windows(日本マイクロソフト社)
  • iPad OS(Apple社)
  • Chrome OS(Google社)

この3つでした。

何を選択して導入するのかは、複数の候補から検討の上、それぞれの自治体の事情も加味して決定すること。ただし、安価に導入することも大事だし、先生達が異動する際にある程度共通していた方がよいのでは?ということもあって、都道府県単位での共同調達も真剣に考えてね、というのが文部科学省の計画だったわけです。

各都道府県の担当者は慌てました。

都道府県ごとに対応は千差万別となり、市町村レベルの関係者とどれくらい協力しあえるかによって、調達の仕方も導入後の対応も変わってきました。

さて、徳島のこと。

GIGAスクール構想実現事業を担ったのは「徳島県立総合教育センター」の教育情報課のようです。

徳島県におけるGIGAスクール構想実現事業の対応の詳細を掘り起こすのは、なかなか難しく、情報は公開されるも必要がないと判断されると消されてしまうので、公表されている断片から推し量るしかありません。

県教育委員会が音頭を取って「徳島県GIGAスクール構想推進本部」が立ち上げられ、共通アプリケーションや活用に関する研修は県立総合教育センターで県単位にやるようです。しかし、入札に関する情報を眺めると調達は各市町村単位で実施する流れになっていたようです。

ちなみに徳島のIT関連を牛耳っているのは「公益財団法人e-とくしま推進財団」です。

プロフェッショナルな人たちの集まりのはずですが、あんまり今どきっぽくない雰囲気を持つ、不思議な団体です。GIGAスクールに関してもいろいろと支援していますが、やっぱり今どきっぽくない感じがします。う〜ん、不思議だ。

徳島市は?

徳島市教育委員会は「子どもの学び推進プロジェクト検討チーム」を組み、3回ほど会議を行なってきたようです。そこでGIGAスクール端末についても少し議題に上っていました。

そして徳島市は、2020年6月2日付で情報提供依頼をWebサイトに掲載しました。

このようにOSの種類をWindowsに決め打ちした上で情報提供願いを出し、情報が提供されたあとで、「徳島市GIGAスクール学習環境整備事業(1人1台タブレット端末)に係る公募型プロポーザルの実施」を行なったようです。(タイミングを逃して仕様書等の中身を確認できませんでした。)

こちらがその選定結果。

みごと「アジア合同会社」さんが落札された…という結果です。ちなみに選定委員会の面子が気になりますが、その正体は不明です。少なくとも私は関係していません。

というわけで、アジア合同会社さんの提案通り、同社の扱っているCHUWI社の端末がGIGAスクール端末として徳島市の小中学校に納入された…というのが、ここまでの情報で見えてきた筋書き。

ようやく最初の話題に戻れるというわけです。

CHUWI社 Hi10X

まずはCHUWI社。

かつて中国の経済特区として有名で、今では世界的なテクノロジー先進都市でもある深圳にある会社です。2004年ごろから音楽プレーヤーを開発していたようです。

コンピュータや新しもの好き界隈では、CHUWI社というのは安価な端末を提供する会社としてAmazonなんかでもよく見かけたりします。

ガジェット系YouTuber(ちょっと珍しい品物を動画で紹介・レビューしている人々)にとっても、それらの商品をよくネタとして取り上げることから、なじみ深かったりします。

Hi10Xはどんな感じ?

それでは、あらためてCHUWI社のHi10Xについて。

徳島市の小中学校に納入されたGIGAスクール端末がHi10Xそのものであるかどうかは、正確なところ分かりません。あくまでも推測です。

しかし…

  • 「徳島市GIGAスクール学習環境整備事業」落札社は「アジア合同会社」であること
  • 端末回収騒動の報道で掲載された写真に「バッテリーの不具合が見つかったタブレット端末の同型」とあること
  • その写真の端末と、アジア合同会社が新聞に出稿した広告のタブレット端末Hi10Xの筐体がほぼ一致すること
  • 当該広告に掲載されたHi10Xの税込み価格が4万5千円に近い価格であること

以上の断片的な要素を総合すると、徳島市GIGAスクール端末がHi10Xまたはそれをベースにした端末である可能性は高いと考えられるのです。ここでは、Hi10X同等品と考えることにして話を進めます。

早速、ネットで「CHUWI Hi10X」に関する情報を検索すると、いくつかレビュー記事が見つかりました。

性能はそれなりではあるけれど、総合的には好意的な評価のレビューは多いです。

(Amazonの情報によると市販品はCPUをN4120にアップグレードしたHi10XRというモデルが登場した後、従来のXモデルを終了して、XRをXに改称したようです。ただし、アジア合同会社の扱うものはN4100っぽいです。)

中国製タブレット端末も、ピンからキリまでありますので、全体的な印象はあまりよろしくない傾向にあります。

しかし、CHUWI社の端末は完ぺきではないけれど面白い構成になっているものも多いので、これらレビュー記事のように好意的な評価も多いのです。「安いには安いなりの訳がある」ことが分かっていれば、素敵な端末…というわけです。

端末整備事業の選定委員会の人々が、どれくらいそのことを了解した上でGoサインを出したのかは、選定委員会の議事録の情報公開を請求するなりしないと見えてこないですが(こら、そこの関係者は記録抹消しようとしないっ!)、この愛らしい端末を熱心に進めてくる業者がいれば、「ああ、この人達が面倒見てくれるだろうし、価格も安いから、悪くないかな」と思ったとしても、不思議はないと思います。

(一応、書いておきますが、私は冗談半分に文章を書く人でもあります。必要に応じて割り引いておいてください。)

気になる情報も…

表面的な情報で紡ぐなら、お安いものを買って、一緒に苦労も買いました、という展開でめでたしめでたし。

ただ、こういう端末は実際に使ってみたり、詳しく調べた人の情報が貴重です。次のレビュー記事が、充電について大変サラッとさわやかに重大なことを書いてくれています。

先端がType-Cですが、本来は丸形コネクタが付くような充電器です。

Type-C端子のタブレットといえばUSB PDのおかげで、スマートフォンや他のタブレットは市販品で代用が簡単にできるのですが、このタブレットは12V/2Aしかでない充電器でないと充電できない設計なので、USB PD充電器が使えないようになっています。

このタブレットの充電器は、「Type-Cの革を被ったDCプラグの充電器」です。

Type Cとしては、規格違反ですし、「USBとしてこの設計はどうなの」と思ってしまいます。

CHUWIとしては、「DCからType Cにしてやったぞ」という感じなのでしょうが、あまりにも強引です。一部のサイトでは、USB PD対応と書いてるので、誤解をされ兼ねないです。

CHUWI Hi10 X レビュー。低価格を維持したままAtom沼を脱出した中華タブレット、価格と性能は最強!」(Till0196のぼーびろく)

引用部分から要点を繰り返すと…

  • Hi10XはUSB Type-C端子を備えていて、純正充電器もType-Cをもち、それで充電することになっている
  • Hi10Xは「12V/2A」でしか充電できない仕様。充電器もそれ専用に作られている。
  • にもかかわらずType-C端子を使っているため、誤解を招きかねない状況にある。
  • これは現行のUSB Type-C規格からすれば規格違反といえる。

ということのようです。

何が問題なのか?

実は、USB Type-C規格による充電は、もともとがややこしい問題を抱えています。

簡単に言えば、「端子は同じなのに、充電できたりできなかったりする」問題です。

Type-C端子というのは、表裏のないコンパクトな共通の接続端子として開発され、スマートフォンを始めとしてノートパソコンなどにも導入が進んでいるUSB端子の一つです。

ところが、端子は共通化したものの、どれくらいの電気を通すかは事情によって異なるため、Type-C端子が付いている充電器でも、ものによってパワーが異なる事態になっていたのです。

それらを交通整理して規格化したものが「USB PD」(USBパワーデリバリー)規格でした。

というわけで、今日、Type-C端子による充電機能を備えるならば、USB PDに対応することが求められますし、それが難しいとしても、Type-C端子にはいろんな電圧・電流が流れてくることを想定して安全に動作するハードウェアを製造することが重要になってきます。

さて、CHUWI社のHi10Xはどうでしょう?

上記の情報からだとType-C端子接続で「12V/2A」という電圧・電流を想定した造りのようです。

  • Type-C端子を使っているため、誰かが間違えて他社の異なる電圧電流の充電器を接続する可能性がありますが、適切に対処しているでしょうか?
  • USB PD規格では「12V/2A」はオプション扱いです。充電器が「5V」に対応していないと規格違反です。このように現行規格に沿わないままType-C端子で接続して充電する製品は望ましいでしょうか?

こうした点が懸念事項としてあるということです。

もしかして、冒頭に取り上げた「端末のバッテリー膨張」問題は、こうした充電系の懸念事項と無関係ではないかも知れません。そうだとすれば、現在回収点検した問題のない端末も、今後、純正品以外の充電器で充電した場合に問題が発生する可能性がなくはないのです。

家庭への持ち帰りも積極的に推奨されています。

充電器まで持って帰るのが面倒とか、家に同じType-C端子を使った充電器があるのでそちらを接続してしまったとか、逆に、規格違反の充電器を家庭の機器に接続してしまうとか、そういうことは今後も起ることを想定しておく必要がありそうです。

追記

Amazonのレビューを見ると、激ヤバな充電仕様であることを指摘しているものがいくつも。CHUWI社の充電器を他社のType-C機器に間違って接続してしまうと機器を壊してしまうとも。この調子だと、阿波踊り問題とともに頭を悩ませる問題となりそうです。

課長さん、いらっしゃい

私が国の仕事にかかわるようになったのは2010年頃です。

徳島に引っ越してすぐに総務省のフューチャースクール推進事業が始まり、地域研究者として徳島の実証校に関わるようになったのでした。

そういう機会は滅多にあるものではないので、立場を越境しながら全国行脚して実証校巡りをしたり、夜行バスで上京して審議会の傍聴をしたりしました。わりと破天荒に動いていたので、珍しがられました。

その後、総務省の仕事から文部科学省の仕事にスライドして関わりながらも、破天荒ゆえに、いわゆる有識者ではなく下っ端の協力研究者としての関わりでした。裏方仕事をいくつかもらい、国の仕事の断片を覗けた感じです。

他の関係者の方々が、省庁の人たちと知り合いながらコミュティを形成しているのを見ると、そういうものが得意でない私は一段と退いてしまうので、なんとなく遠くから眺めることになって、仕事も遠慮するようになりました。

GIGAスクール構想実現事業の初期に情報教育・外国語教育課長だった高谷さんという方がいて、当時の情報発信の内容が話題になっていたこと、覚えていると思います。

課長職としては大胆な発信でしたが、物事を動かすにはこれっくらい必要だし、そういうことが分かっている方だなと思いました。ちょうど経済産業省側では浅野さんというこれまた名物課長さんが華やかに活動されていて、省庁連携でお二人が協力されたことなどもあり、教育と情報の分野が賑やかになったのはいいことだなと思います。

つい最近、このお2人が登場するネット記事が流れてきました。

浅野さんは課長職を続投中ですが、高谷さんは理研に異動され同時にデジタル庁の創設準備に関わられているのだとか。私個人的には、このお二人の言動については好意的なので、遠くで応援する感じです。

平成27年度開始の文部科学省「ICT活用教育アドバイザー事業」というものに参加してたご縁もあって、このお二人とそれぞれ、いっときだけご一緒したことがあります。

とはいえ、大変注目されているお二人だし、たくさんの有名人や有識者の人たちが周りを囲んでコミュニティを形成しているので、ちゃんとお話できたことはありません。よくある、同じ場に参加していました…程度の距離です。

そのことと、上に紹介した記事「「デジタル庁」準備室担当が語る「1人1台」の盲点 元文科省課長の髙谷氏「学習者IDの準備を」」に関連して思い出すのは、コロナ禍前の2019年12月23日(月)に開催された「学校の情報環境整備に関する説明会」が終わって、別の場に少数の関係者が集まる会があり、そこにお呼ばれした時のこと。

その場にちょっとだけ高谷当時課長さんも挨拶参加したのが、私との最接近ポイントでした。

そのとき幸い、高谷さんの周りを人が取り囲むような状況ではなかったので、GIGAスクール構想実現に伴う「アカウント」の問題を文部科学省と経済産業省はどう認識しているのか質問したことがあります。その場には経済産業省の(浅野課長ではない)担当者の方も居たので、ちょうど聞いてみたかったのです。

皆様ご存知のように昔から「アカウント、アカウント」とバカの一つ覚えで唱えてきて、2016年の関西教育ICT展でも「アカウントだ、バカ野郎」…とは言わなかったですが、空気を読まず講演したら干されたので有名な私です。

GIGAスクール構想の実現事業についても、端末設備の話ばかりが注目されて、説明会でも各都道府県の担当者が文部科学省の担当者の周りを黒山の人だかりとなって取り囲んで整備予算に関する質問を浴びせていた状況でしたから、いったいアカウントはどう考えているのか知りたかったのです。

高谷当時課長の返答がどうだったか正確には思い出せませんが、アカウントの設定作業などもGIGA整備予算あるいは地方財政措置の中に組み入れることが可能ではないか、そのようなところ検討できるのではないかといったものでした。その時点では財務省も個別の様々な事情に柔軟に対応する雰囲気があったのでした。

その一方で、文部科学省の整備予算はハードウェア環境整備をなんとかするというのがその時の目的であり、アカウントはどうしてもソフトウェアやサービス等の側に近い部分という認識もあり、そちら(EdTechサービス等)を担当している経済産業省との間で、ちょうど宙ぶらりん状態になっている感じなってしまっていることを、経済産業省の担当者との方とのやり取りも絡めながら課題共有したことを思い出します。

ま、それっきり私は、GIGAスクール構想実現事業をボーッと遠くから眺める感じ。

私が考えていたアカウントは、デジタル機器やサービスを活用するために最低限必要な「権限」とか「登録」という意味合いだったので、最近各方面で言い出されている「学習データを紐付けるための学習者ID」の付与という切り口について、私はまだ慎重というか、共通認識を形成するための議論が不足しているように思っています。

けれども、学習データを使いたくて手ぐすね引いて待っている人々が向こうの方で待っていることを考えると、学習者IDについて様々な考えを述べ合うことはしておくべきだろうなと思います。

老眼を伴って

最近は私も老眼を伴うようになり、読むのも書くも苦労するようになっています。

田舎に引き込み、さして人と接触しない暮らしが続くと、とたんに老け込んでカラダもアタマもポンコツになります。若い人たちがGIGAスクールで元気に文句を言っているのを見ると、なんとも羨ましい限りです。

それでも暮らしや仕事にはデジタルツールが欠かせず、気持ちだけは若いままSNSやネットニュースを見ようとするのですが、これがまた字面も画像も見難くなって仕方がない。老眼とは、まことに非情です。

高齢者向けコロナワクチン予防接種の予約に関して、悲喜こもごもなニュースが届きます。

予約システムといった機器操作やネット利用に不慣れで不安を抱く人々が多いことを考慮して、電話予約や窓口予約を併設した自治体もあったようです。

ところが、窓口予約に高齢者が殺到。

徹夜で並ぼうとした人たちや、整理券の前倒し配布で受け取れなくなったと抗議する人が出たり、混乱が発生した。窓口対応に時間がかかり待ち合い渋滞で逆に密状況が生まれたりする本末転倒な状況もあったようです。予約サポートを窓口で対応する若者たちの話題も伝わってきました。ただでさえパンクしている予約システムに対して、そのサポートの人たちまでもが予約システムに対してやたらリロードの負荷をかけてたとかなんとか。

20年前のIT講習をきっかけに、もう少し世間の人たちのデジタルに対する垣根が低くなっていたらと思わないではないですが、20年経っても電話や窓口を用意してくれる世の中ですから、必要が感じられなかったのでしょう。

高齢者を中心に若い人たちにもデジタルや情報機器に対して苦手意識などの垣根を感じるのは珍しくありません。

新しいことを学ぶ負担を嫌っていることもありますが、説明通りに手順が進行しないことに付き合わされる面倒を予感して避けていることも大きいのだと思います。サーバー混雑によるアクセス不可なんて事態は説明されていないし、どう対処すればいいのか誰も明確には説明してくれないですから。

その上、デジタルサービスのインターフェイスは老眼にキツイことばかり。

こうした時代に大変重要な文献があります。先日、ようやく購入できました。

『高齢者のためのユーザインタフェースデザイン ユニバーサルデザインを目指して』(近代科学社2019)は、加齢に伴って、視覚や聴覚、運動コントロール等がどうなっていくのかを整理し、どのようなインターフェイスが必要なのかを検討しています。

もちろんユニバーサルデザインへのアプローチは様々あってもよいですし、必ずしも全てがすべてユニバーサルデザインを目指さなきゃいけないというわけではありません。デザイン性やコンセプトを優先する場合もあります。

私もデザインの良いものが好きですし、自分にとって好きなデザインのものは使いたい意欲も強くなります。それがいろんなものを超越していくこともあり得ます。

とはいえ、人は歳をとり、いつかは身体がもうろくしていくことも事実。そのとき、いま利用しているいろんなものが、同じように使えるという保証が私たちの方にないことも自覚しておきたいところです。

デジタル改革関連法案が、衆議院で2021年4月6日に、参議院で2021年5月12日に本会議可決されました。

デジタル社会形成基本法案(閣法第26号)
デジタル庁設置法案(閣法第27号)
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(閣法第28号)
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(閣法第29号)
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(閣法第30号)
地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案(閣法第三一号)※20210511可決

これでいよいよ「デジタル庁」が設置され、日本のデジタル化を担う組織が誕生することになります。

この組織では、各省庁や民間から積極的に人材を登用しつつ、構想止まりだった日本のデジタル化をもっと本格的に実現することを目指していくと期待されています。

これらに関わる議論は、「デジタル・ガバメント閣僚会議」などのページに記録されています。

日本社会をDXするにあたり、誰一人取り残さないというのは大事なことですが、それは決して後ろに戻る手だてを用意するのではなくデジタル技術などを駆使して前向きに対処していくことも求められているのだと思います。

デジタル技術が私たちのウェルビーイングを支えるとはどんな事を指すのか。そして私たちはどう向き合うべきか。

GIGAスクールの格闘は、そうした視野で受けて立たなければならないのだろうと思います。

マルチプラットフォーム例示環境

Windows, macOS, iOS(iPad OS), Androidの主要プラットフォームを同時に例示する環境について。

大学の「情報処理」授業では、コンピュータ科学等の入門・基礎的位置づけの一般情報教育が求められているところですが、世の中で使われているものを一通り見ておくのも入り口としては悪くないはずです。

コンシューマ向けのコンピュータ・プラットフォームといえば、Windows, macOSが挙げられますし、より人々に身近となっているスマートフォンはiOSやAndroidといったところでしょう。まずはこの4プラットフォームを自在に例示できればプラットフォームの越境を視野に入れた環境は成立しそうです。

もちろん他にも、小中高への導入比率が高まっているChromeOSもあるでしょうし、Raspberry Pi等の教育用小型コンピュータにも採用されているLinuxも主要プラットフォームには違いありません。タブレット系OSとして扱えるものもあります。これらも必要に応じて例示できれば問題ないでしょう。

私の環境は…

  • M1 Mac miniのmacOS環境を基本として構築。
  • 仮想デスクトップアプリParallels Desktop上でWindows10環境を構築しOffice365等を導入。
  • macOS上で動かす画面転送受信アプリReflector4でPixel3(Android11)からのキャストを表示。
  • 画面転送受信アプリReflector4でiPhone8(iOS14)からのAirPlayを表示。

という方法を使って同じ画面に4プラットフォームを同時に例示できるようにしてあります。

使用ツール

macOS

Macには仮想デスクトップアプリParallels Desktopや画面転送受信アプリReflectorがありますので、他のプラットフォーム画面を表示させるのに便利です。

画面転送受信アプリを使えば、Windowsを基本環境としてmacOS, Android, iOSを表示させて、同じことは可能です。どちらを選ぶかはユーザー次第です。

M1 Macが登場し、ParallelsもReflectorもAppleシリコン対応となったため、基本環境としてファンも回らず余裕で対応できるようになりました。パソコンをMacだけにでき端末台数的に少なくできる点もメリットなので、私はMacを使っています。

Windows

Parallels Desktop等の仮想デスクトップ環境でWindows10を動かしています。

こうすると授業例示用の環境と普段遣いしている環境を分けることも可能な点がメリットです。デメリットは仮想Windows上で負荷の高い作業をすることは奨められない点があります。そのようなニーズが多い場合は基本環境をWindowsにしたほうがよいでしょう。

Windows用の画面転送受信アプリReflectorがありますので、macOS, Android, iOSをWindowsで表示可能です。

M1 Mac用Parallels Desktopで動くのはWindows10(ARM64)のInsider Preview版です。正式なOffice365をインストールすることができますし、無茶なことをしなけれけば基本的なことは従来同様に動作しています。(参考情報

Android

私が利用しているのはGoogle Pixel3です。

Androidスマホを例示教材として利用する際には、どのメーカーの機種を使うのか、どのAndroidバージョンを使うのかは悩ましいところです。

Androidのバージョンは現時点で、最新が11ですが、インストールされている割合が多いのは10だとのデータもあります。同じバージョンでもメーカーによってアレンジされている場合もあって、見た目や機能もいろいろです。

Pixelは、Androidを開発しているGoogle社が出しているのでリファレンスとして位置づけられていることや、素のAndroidということもあるので選びました。といっても、教材のためというよりも個人利用のために購入したもの(お古)の転用です。最新機種でないのは、そういう理由です。

Pixel3の画面転送(画面のキャスト)機能は、あまり高画質ではないため、転送した画面は拡大しながら見せることが大事になってきます。解像度問題を解決したい場合はLetsViewを使う方法もあります。これだと高い解像度で転送できます。他に外部出力機能としてはDisplayLink規格が利用できますが、そうなると例示するには別にアダプターを用意した上で画面切り替えする方法になってしまいます。

画面のキャスト機能はWiFi利用を前提としていますが、WiFiだと接続不安定で切れてしまうこともあるため、BelkinのUSB-C to LANポート変換アダプタで有線接続しています。

WiFi接続状態で画面のキャスト機能をオンにしてから、アダプタを接続するとWiFiから切り替わって有線接続できます。切り替わる前に画面キャスト機能をオンにしないと「WiFi未接続」表示が出てボタンが押せなくなります。その場合は、設定アプリの「接続済みのデバイス」から「接続の設定」メニューでキャストするデバイスを選択し直します。

LetsViewもWiFi前提なので、一旦WiFi接続状態で双方を認識させてから有線接続に切り替える必要があります。

iOS

私が利用しているのはApple iPhone 8です。

これも個人利用していたもの(お古)の転用です。教材として動かすには十分な性能を持っています。iPhoneやiOSはモデルやバージョンで大きな違いはないので、なるべく新しいものを用意すれば特に悩まずに済みます。

画面転送機能のAirPlayは少々クセのある規格ですが、iPhone上で動画再生などしなければ素直に機能してくれます。画面転送受信アプリによっては転送画面の解像度を選択できるので、高解像度のハッキリとした画面表示が可能です。

WiFi接続だと接続不安定で切れてしまうことがある点は他のものと変わらずなので、BelkinのLightning to LANポート変換アダプタを使って有線接続しています。

アプリ

Googleのサービスを利用しているので、GoogleクラスルームやWorkSpace関連を入れてます。

それ以外にも各社の同様なアプリを比較のためにインストールしておきます。Officeアプリはすでに一つにまとまっていますが、一応単品版も比較のため配置しておきます。

遠隔で情報処理演習

職場で「情報処理」という演習授業を担当しています。

コンピュータ入門といった授業なので、大学の勉学で必要となる基礎知識と事務系ソフトの操作演習、プログラミングの触りを紹介するといった内容です。

残念ながら、それほど先進的な内容ではないし、パソコン教室を前提とした諸条件や環境で、一斉演習に縛られがちなことも弱点かなと思います。

そんな情報処理の演習授業もコロナ禍の影響を受けて遠隔授業となっています。

学生たちの操作を直に支援できないし、パソコン教室前提とやってしまったことが裏目に出て、パソコン所持している学生の少ないことが祟り目となり、情報処理演習が遠隔になるなんて悪夢にも思えるところですが、私にとってはパソコン教室から解放されるチャンスとなりました。

パソコン教室は雑にしつらえられたWindowsオンリー環境で、ソフトを起動するとユーザー登録ダイアログを毎回表示したり、使いやすい設定に調整されないまま凍結されていて、さらに某社のPC教室支援システムはまともなパフォーマンスを発揮しないお荷物状態。どんどん使いたくなくなる環境でした。

学生たちは確かに実際に操作できるんだけども、例示がうまく把握できないまま混乱のもと使いにくい条件で操作を続けるので、逆に何やっているかわからないままなことも頻発。指導者の力量不足が主要因である指摘は甘受するにしても、どうしても一対多の演習授業で距離が遠くなっていました。

遠隔授業になって、学生たちの演習環境は乏しくなりましたが、その分、例示と解説がぐっと手厚くなりました。

自前のシステムを例示用に使えるため、Windowsオンリーだった内容が、MacとWindowsを同時並行してみせるだけでなく、スマートフォンとも比較しながら例示できるようになりました。

動画配信なので、例示画面や解説の声もぐっと近くなり見やすくなります。自前システム(普通のMacですが…)だと自由自在に画面を拡大縮小できるので、注目して欲しい部分を拡大し、ポインタで強調することもできます。

「何やっているかわからない」という反応がグッと減りますし、ほとんどの学生が持っているスマートフォンで実演するので、そんなことができるのかという驚きと実際にやってみたいという気持ちを高めているようです。

クラウドの仕組みを理解するのは時間がかかりますが、パソコンで編集したものがスマートフォンでも閲覧することができるといった連携の便利さを実感できれば、実務での利用にもその感覚はプラスに働きます。

実際のところ、学生たちは対面による演習授業も求めているので、複合型で進められるとよいのですが、そのためには各自がパソコンを所持する状況に転換することが必要かなとも思っています。

GIGAスクール時代となり、一人一台は当たり前になりつつありますので、大学での情報処理演習といった入門的授業は、よりコンピュータ科学的な専門性を高めるか、あるいは複数プラットフォームを自在に横断するといったより高度な実用スキルを身に付ける方向などに進化していくことが求められるのかなと思います。


ちなみに自前システムは…

  • macOSをベースに…
  • Parallels Desktop上で動作するWindows10
  • Reflector4で画面受信するAndroid
  • Reflector4で画面受信するiOS

といったところ。M1 Macになって、これらがファンも回らず軽々動作するようになったので、ますます便利です。