Xcratch – 拡張できるScratch3.0mod

拡張機能の追加をして拡張できるScratch3.0mod環境「Xcratch」のご紹介。

平成29年改訂の学習指導要領にもとづく授業の実施とGIGAスクール構想実現事業による情報環境整備もなされ,学校で情報教育やコンピューティングに取り組む機会も増えてきました。

プログラミング体験・教育の取り組みもその一つ。

そこで使うツールも様々ですが,Scratch(スクラッチ)はブロックを組み合わせる操作で利用できるグラフィカルプログラミング環境として広く利用されています。

Scratch自体もいくつかのバージョンを経て,現在の3.0は,HTML5対応の標準的なブラウザがあれば利用できる形になっています。(インターネット接続が前提ですが,ネットのない環境で利用できるバージョンもあります。)

Scratch3.0には,「拡張機能」と呼ばれるScratch環境自体に機能を追加してパワーアップできる仕組みが組み込まれています。

Scratchには標準でもたくさんのブロックが用意されているのですが,ここに機能を追加して新しいブロックが加わると,もっといろんなプログラムを組むことができるというわけです。

たとえば「音楽」とか「ペン」のブロックも機能追加する形で提供されています。

この他にもいくつか拡張機能が用意されていることが分かりますが,Scratch3.0の公式サイトで公開されている環境では,あらかじめ用意されている拡張機能以外を選ぶことはできませんし,新しく追加することもできません。あくまでも公式サイトがあらかじめ用意してくれているものだけです。

ところが,世の中には,面白い機能をもった拡張機能が,いろんな人々によって開発されて公開されています。

たとえば,機械学習を利用できる拡張機能「ML2Scratch」というものがあり,コンピュータに分類を学習をさせて自動判定処理をプログラミングすることができます。

その他にも,マイコンボードmicro:bitの機能をフル活用できる「Micro:bit More」といった拡張機能や,QRコードの読み取りができる「QRコード」拡張機能もあります。

これらはScratch3.0用の拡張機能なのですが,公式サイトに組み込まれていないため,現在のところ公式サイト上で利用することができないのです。


それならば組み込めばいいじゃないか…ということになりますが,公式サイトはそう簡単に追加してくれません。

そこで,公式サイトとは別に,独自にScratch3.0環境をつくって,それを改造(mod)して拡張機能を組み込んでしまえば好きな拡張機能が使える…という方法が考えられました。

それがScratch3.0mod環境です。

このmod環境を,インターネットのクラウド上に構築してみんなに使ってもらえるようにしたものもありますし,自分のパソコンや端末上のローカルな環境上に構築して自分やグループだけで利用できるようにしたものもあります。

とにかく,大元をどこかに複製して,改造や拡張を施したScratch3.0環境を使うのです。

それで,大元はどこから来るのか?

実は,Scratch3.0の大元(ソース)は,開発しているMIT(マサチューセッツ工科大学)のグループがインターネット上で公開しています。

というわけで,説明されている手順通りにその大元を複製して準備すれば,誰でもインターネット上やローカル上でScratch3.0環境を構築することができるというわけです。


ただし,大元を複製して環境構築できるといっても,それを改造するとなると大変。

そこで,ある程度改造を施した上で,あちこちで公開されている拡張機能を自由に追加できるような機構を最初から用意してくれているmod環境があれば,それを複製して利用した方が楽です。

というわけで,冒頭でリンクをご紹介した「Xcratch」は横川耕二先生が改造を施したScratch3.0mod環境で,これを複製して環境構築すれば,公式サイトのScratch3.0とはまた一味違ったScratchプログラミングが楽しめるというわけです。

外部の拡張機能を追加するには,あらかじめXcratch対応を施した拡張機能が公開しているURLをXcratch側に入力することで実現します。

これで[OK]すれば拡張機能がインターネットから読み込まれるというわけです。

あとは思う存分プロジェクトのプログラミングを楽しんでもらうということになります。


お恥ずかしながら,私も拡張機能を提供しています。

ScratchとICカードリーダSONY RC-S380を使ってICカードの番号を読み取る「PaSoRich」とクラウド上に数字を保存して連想配列のように利用できる「NumberBank」の2つです。

最近はキャッシュレス決済もいろんな方法が登場し,電子マネーといった方法でのお買い物についても扱った消費者教育も注目が高まっています

キャッシュレス決済のリテラシー向上を目的とした中学生向け教育プログラム
https://www.sony.co.jp/corporate/information/news/202105/21-010/
「学校内通貨」を発行するデジタルネーティブ小学生、大人は彼らに何ができるか
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/092400884/

こうした実践でICカード読み取りや数字を保存できる拡張機能が貢献できる部分もありそうです。

この2つの拡張機能をXcratch環境に追加できるように対応させました。

以下のURLを入力すればXcratchにそれぞれの拡張機能が読み込まれます。

PaSoRich (Xcratch用)
https://con3office.github.io/xcx-pasorich/dist/pasorich.mjs
NumberBank (Xcratch用)
https://con3office.github.io/xcx-numberbank/dist/numberbank.mjs

Xcratch環境でいろんな拡張機能と組み合わせると,さらに面白いプロジェクトをつくることができるんじゃないかと思います。こちらもぜひご利用ください。

共通テスト「情報Ⅰ」の誘い

私個人は初等中等教育を守備範囲にしてきたとはいえ,どちらかといえば義務教育段階を想定して語ることが多く,高等学校と大学入試は次元の違う難しさがあると思って深入りはしてこなかった。

とはいえ,教育と情報が織りなす領域に関心を持っている者として,大学入学共通テストが令和7年度から新たに「情報Ⅰ」を受験科目に導入するという話題に無関心ではいられない。

というわけで,いつものように集められるだけWebリソースを集めてみることにしよう。

令和7年度以降の試験に向けた検討について」(大学入試センター)
「新学習指導要領に対応した令和7年度大学入学者選抜について」(文部科学省)
情報入試研究会(情報処理学会)
大学入学センター試験「情報関係基礎」アーカイブ(情報処理学会)
キミのミライ発見(河合塾)
20211001「「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告(補遺)」に関する意見」(情報処理学会) 
20211001「【大学入学共通テスト2025】変更点や経過措置…河合塾」(ReseMom) 
20210930「【大学入学共通テスト2025】新科目「情報I」既卒者に別問題」(ReseMom) 
20210930「25年共通テスト、「情報」に別問題 浪人生配慮」(毎日新聞) 
20210929「新教科「情報」浪人生に別問題 令和7年共通テスト、経過措置」(産経新聞) 
20210929「既卒者に配慮し「情報」など別問題に 2025年の共通テスト」(教育新聞) 
20210929「大学共通テスト 25年新設の「情報」は2種類作成 浪人生に配慮」(毎日新聞) 
20210929「「情報」浪人生は別問題選択 25年共通テストで」(日経新聞) 
20210929「大学入学共通テスト「情報」、試験時間は60分に 2025年」(朝日新聞)
20210929「「情報」、浪人生に別途問題 出題始まる25年 大学共通テスト」(朝日新聞) 
20210929「共通テスト「情報」、浪人生に別問題 初出題の25年 文科省方針」(朝日新聞)
20210929「共通テスト国語、90分に 25年から10分延長―情報60分、浪人生向け出題も」(時事通信) 
20210929「「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告(補遺)」について(通知)」(文部科学省) 
20210928「大学共通テスト「情報」、急ぐ教員配置 地域格差の解消へ「待ったなし」」(朝日新聞) 
20210920「(ひらく 日本の大学)大学入試に「情報」、87校「課す」 25年度入試 朝日新聞・河合塾共同調査」(朝日新聞) 
20210826「大学入学共通テスト「情報」が目指すもの」(第20回情報科学技術フォーラム) 
20210823「共通テスト「情報」単独の試験時間帯設置を」(日本教育新聞) 
20210809「大学入学共通テストの「情報」に60分程度の試験時間を」(大学ジャーナル) 
20210809「「情報I」必修化の課題、「共通テスト対応」最多」(日本教育新聞) 
20210808「共通テスト新科目「情報」 高校、指導体制整わず 掛け持ちの教員多く」(日経新聞) 
20210804「「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告」に関する意見」(情報処理学会) 
20210730「共通テスト「情報」正式決定 25年から7教科21科目―文科省」(時事通信) 
20210730「大学の対応焦点に 共通テストへの「情報」追加決定」(朝日新聞) 
20210730「共通テストでの「情報」追加を正式決定 2025年から」(朝日新聞) 
20210730「2025年の大学共通テスト 英語民間試験活用断念 「情報」を追加」(NHKニュース) 
20210729「「情報I」高校教員が感じる課題は「共通テスト対応」」(ReseMom) 
20210728「令和7(2025)年度大学入学共通テストではどうなる? サンプル問題「情報」を分析しました。:Pプラス ベーシック」(ベネッセ) 
20210728「【22年度から実施の「情報Ⅰ」、高校教員へのアンケート調査】 一番課題に感じるものは「大学入学共通テストへの対応」42.3%、「指導ノウハウ」22.6%、「指導教員の不足」12.0%についても課題と回答」(ベネッセ)
20210720「高校の新「情報科」、現場は 自治体超えた研修必要/実習助手雇えないか」(朝日新聞) 
20210716「(新課程入試) 共通テスト サンプル問題『情報』分析報告」(河合塾) 
20210710「文部科学省「新学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テスト(令和6年度実施分)の出題教科・科目について」:後藤教至」(情報学科・専攻協議会) 
20210628「共通テスト「情報」に現実味「受験対策」企業が先手」(東洋経済education) 
20210617「(明日へのLesson)第3週:クエスチョン プログラミング教育を考える 大学入試センター試験から」(朝日新聞) 
20210615「(花まる先生 公開授業)教科「情報」、体感してみた」(朝日新聞) 
20210524「国立大受験に「情報」追加案 25年共通テストから「6教科8科目」検討」(朝日新聞) 
20210524「共通テスト、4年後どう変わる 地歴公民・情報・英語」(朝日新聞) 
20210420「「情報1」、身近なテーマで 来春高校で必履修化、教科書は」(朝日新聞) 
20210416「情報科教員、足りない 公立高校2割超、専門免許なく授業」(朝日新聞) 
20210415「ぺた語義:大学入学共通テスト「情報」試作問題に対する教育現場の想い」(情報処理学会) 
20210406「高校の「情報1」どう教える 来春必履修化 中学までの学習差、フォローする教科書も」(朝日新聞) 
20210405「令和6年度実施の共通テスト、「情報」「公共」出題科目を公表 新指導要領受け」(日本教育新聞) 
20210331「(時時刻刻)新必修科目、教えやすく 免許持たない教員意識、図説を多用」(朝日新聞) 
20210330「プログラミング言語さまざま 「情報I」共通テストで出題―教科書検定」(時事通信) 
20210329「大学入学センターから出された大学入試共通テストの実施方式に対する、当会の賛同表明」(情報処理学会) 
20210325「2025年からの共通テスト サンプル問題を読み解く」(教育新聞) 
20210325「プログラマーが大学入学共通テスト「情報」のサンプル問題を解いてみた感想」(漫画読みの感想ブログ←ネタバレ考察) 
20210325「IT社会の解決力問う 大学共通テストに新教科「情報」 専門人材不足、指導どう強化」(日経新聞) 
20210325「共通テスト、25年に「情報」新設 教員不足、地方で深刻」(毎日新聞) 
20210325「共通テスト「情報」新設 25年から 7教科21科目に再編」(毎日新聞) 
20210325「共通テスト「情報」創設 7教科21科目に再編 25年以降」(毎日新聞) 
20210325「共通テスト「情報」創設 25年、7教科21科目に再編」(毎日新聞) 
20210325「2025年からの共通テスト サンプル問題を読み解く」(教育新聞) 
20210324「刷新される見通しとなった大学入学共通テスト 特徴的な問題を解説」(産経新聞) 
20210324「共通テスト再編案 4年後の受験生戦々恐々 保護者「プログラミングどうすれば」」(産経新聞) 
20210324「共通テスト再編案 資料読み解き、データ取捨選択 問われる思考力」(産経新聞) 
20210324「「研修でしのぐしか」教員数に地域差 共通テスト「情報」追加」(毎日新聞) 
20210324「大学共通テスト、2025年から「情報」追加 サンプル問題公表」(毎日新聞) 
20210324「共通テスト、7教科21科目に再編 25年以降「情報」など追加」(毎日新聞) 
20210324「共通テスト再編案 教科に「情報」追加も」(日テレNEWS24) 
20210324「共通テストの「情報」のサンプル問題があまりにキモかったので愚痴らせてください:Blue Triangle」(note) 
0210324「大学入学共通テスト 再編で「プログラミング」追加」(FNN) 
20210324「共通テスト教科再編 2025年から「情報」追加 7教科21科目に」(NHKニュース) 
20210324「プログラミングも出題 新教科「情報」のサンプル問題―大学入学共通テスト」(時事通信) 
20210324「共通テストに「情報」 25年から、高校必修で―科目スリム化も・大学入試センター」(時事通信) 
20210318「気になる情報教育の「不備」 2022年度からの高校での教科「情報Ⅰ」必修化を前に:塩原俊彦 高知大学准教授」(論座) 
20210318「大学入学共通テスト新科目案「情報」について これまでの経緯と試作問題(検討イメージ)のねらい:(独)大学入試センター試験問題調査官 水野修治先生」(キミのミライ発見) 
20210318「情報処理学会 コンピュータと教育研究会第158回研究発表会 電気通信大学企画セッション ~大学入学共通テスト新科目案「情報」が目指すもの」(キミのミライ発見) 
20210302「共通テストへの情報出題のメリット 情報処理学会が講演」(教育新聞) 
20210209「大学入試共通テスト「情報」及びその学習指導に関する意見」(日本統計学会) 
20210120「大学入学共通テストへの「情報」の出題について」(人工知能学会) 
20210114「大学入学共通テストの「情報」に関する要望(令和2年12月14日 8大学情報系研究科長会議)」(東京大学) 
20201228「20200423 大学入学共通テストにおける共通教科情報科の出題について」(日本情報科教育学会) 
20201228「「情報」の科目を大学共通テストの正式な科目に高校での必修化から約20年、「ちゃんと教え、ちゃんと学ぶ」ために入試に出そう 松原仁 東京大学大学院教授」(論座) 
20201223「「いま知りたい!徹底討論 情報Ⅰ」専用ページを立ち上げ」(日本文教出版) 
20201216「大学入学共通テストへの「情報」の出題について:追記」(情報処理学会) 
20201213「共通テスト、新教科で浮上した「情報」って何? AIやITに欠かせないスキル「情報I」必履修に」(東洋経済education) 
20201210「大学入学共通テストでの「情報」の出題について」(教育システム情報学会) 
20201207「プログラミング教育ポータルサイト「コエテコ byGMO」、大学入学共通テストへの「情報」教科採用の動きに関する保護者調査を実施 ~保護者の認知度は3割弱、「情報」採用の動きをうけて6割超がプログラミング学習を検討~」(GMOメディア株式会社) 
20201204「共通テスト、「情報」の試作問題 プログラミングの理解を問う」(共同通信) 
20201204「大学入学共通テストにおける教科「情報」の出題について」(日本教育工学会) 
20201204「【独自】共通テスト「情報」で試作問題示す…プログラミングによる課題解決など」(読売新聞) 
20201128「大学入学共通テストに「情報」科目の導入検討も…「東大、京大は採用しないのでは」と専門家」(AERA) 
20201027「大学入学共通テストに「情報」導入が検討 ~教科「情報」の導入が受験産業にどのような影響を与えるのか~」(コエテコ) 
20201023「令和7年度大学入学者選抜からの大学入学共通テストの出題教科・科目の検討状況について」(大学入試センター) 
20201022「大学テストに浮上、「情報」って? コンピューターのこと学ぶ、高校で03年度に必修」(朝日新聞) 
20201022「共通テストに新教科「情報」 24年度から、30科目を21に再編 入試センター案」(朝日新聞) 
20201022「共通テストに「情報」 大学入試センター案」(日本教育新聞) 
20201021「大学入学共通テスト 「情報」追加を検討」(日テレNEWS24) 
20201021「共通テスト、25年から「情報」新設…7教科21科目に再編へ」(読売新聞) 
20201021「令和7年から共通テストに「情報」新設 センターが素案」(産経新聞) 
20201021「大学共通テストに教科「情報」導入案 2024年度から」(朝日新聞) 
20201021「大学入学共通テストの再編案 「情報」新設へ 2025年から」(NHKニュース) 
20201021「大学入学共通テストに「情報」新設へ 2025年から」(日経新聞) 
20201021「共通テスト素案、7教科21科目 新設の情報、作問に課題も」(共同通信) 
20201021「共通テスト「情報」新設 科目スリム化、25年から―センター試案」(時事通信) 
20201020「「平成30年度告示高等学校学習指導要領に対応した大学入学共通テストの出題教科・科目等の検討状況について」における出題科目『簿記・会計』の廃止に係る意見の提出ついて:大学入試センター」(全国商業高等学校長協会) 
20200925 「情報教育課程の設計指針―初等教育から高等教育まで」 - 情報教育の参照基準
20200711「大学入学共通テストに情報を出題することについての提言」(情報学科・専攻協議会) 
20200710「小中学生にPC1人1台実現を 文科白書、共通テスト見直しも」(共同通信) 
20200326「高等学校共通教科情報科の大学入学共通テストでの実施に関する意見」(一般社団法人 情報処理学会) 
20190515「高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材:高等学校情報科(各学科に共通する教科)」(文部科学省) 
20190515「共通テスト 「情報I」 PCで解答…24年度に導入検討 機器確保など課題に」(読売新聞) 
20190514「センター試験に代わる #大学入学共通テスト に、#プログラミング などを扱う科目が加わりそうです。プログラミング言語の入力やデータ解析などが出題され、解答もコンピュー…」(読売新聞ブランド企画部@Twitter) 
20190401「情報Ⅰの入試出題校を拡大 政府会議の有識者がAI戦略」(教育新聞) 
20181016「高校「情報科」、教員足りない 採用試験なし18道府県 「免許外」で補う」(朝日新聞) 
20181001「大学入試センターに教科「情報」の問題素案を提出しました」(情報処理学会) 
20180723「大学入試センター、「情報」のCBT問題素案を公募開始」(大学ジャーナル) 
20180718「共通テスト「情報」、問題の素案を公募 大学入試センター」(朝日新聞) 
20180717「教科「情報」におけるCBTを活用した試験の開発に向けた問題素案の募集について」(大学入試センター) 
20180630「未来投資会議における大学入学共通テストに情報の試験を入れる方針に賛同する提言について─大学情報教育体系化の必要性─」(情報処理学会)
20180518「大学入試に「情報」導入 未来投資会議」(日刊工業新聞) 
20180517「大学入学共通テストで「情報」出題を検討 文科省」(朝日新聞) 
20180517「大学新入試にプログラミング 首相「現代のそろばん」」(日経新聞)
20180517「未来投資会議(第16回):日本経済再生」(首相官邸)
20180309「大学入試センターが実施する試験における「情報」出題の提言」(情報処理学会)
20170331 「学習指導要領」改訂 - 共通教科「情報」

情報関連だけ取り出せば,こんな感じだが,共通テストに関しては,国語や数学の記述式問題出題がコケ,英語の民間試験活用がコケ,身の丈とかなんとかもコロナ禍に襲われて,受験生や世間を振り回した記憶ばかり。もうお腹いっぱいで,センター試験が共通テストになったインパクトも吹っ飛んでしまった感がある。

2017年に学習指導要領が改訂され,曲がりなりにも小学校のデータ活用やプログラミング体験,中学校の技術家庭科(技術分野)での情報の技術,そして高等学校の共通教科情報という筋のようなものが見えてきた。

情報処理学会を始めとした関連学会は,長らく情報教育の体系化を目指して様々な提言や基準づくりに腐心してきたことから,この学習指導要領改訂を大きな節目として,大学入試における情報分野の試験実施の実現へと次なるアクセルを踏み込もうとするのも当然だった。

機械学習やAI技術が代替の労働力として現実味を帯びてきたこともあって,世間一般にも機械に置き換えられないためのITスキルやプログラミングへの理解とか,IT人材ならぬAI人材育成の必要性みたいなものが意識醸成されつつあって,なんとなく必要な空気は充填できた。

国語・数学・英語のテンヤワンヤのおかげで矢面に立たずに済み,淡々と準備が進められて,新教育課程に対応する大学入学共通テストから「情報Ⅰ」が無事に導入されることになった…というのが表から見えるこれまでの経緯である。

大学入試はどう実施されるのか2年前には予告しなければならないということもあって,各大学が予告の準備をするためにも,令和7年に実施される共通テストに関してはこのタイミングで諸々予告が行なわれている。

それで,どんな風に実施されるのか少しずつ発表されている内容に対して,こんなツイートを見かけた。

どうも,新しい科目の試験が始まるっていうシンプルな話ではなくて,移行措置を実施するため大変な事態になるらしい。

部屋の引っ越しをするにしても,旧い部屋の解約が間に合わず家賃支払いが残っていて,新しい部屋の契約が始まっちゃって家賃が発生し,しかもすぐに入居できない事情もあって仮住まいの宿泊費も払わなきゃいけないみたいな,三重苦が待っているらしい。(ん〜,例えが違う気もする…)

部屋を用意する(問題作成をする)中の人が大変ではないかというやりとり。

問題作成の苦労に関しては,基本的には謎に包まれているが,センター試験の総括ということもあって,この頃ではその裏舞台を少し垣間見ることができるようになってきた。

20210430「大学入試センター・荒井克弘客員教授「共通テストの作問体制は抜本的に変わった」」(EduA) 
報告書『「センター試験をふり返る」』(大学入試センター)2020
倉元直樹『大学入試センター試験から大学入学共通テストへ』(金子書房)2020
大塚 雄作「大学入試センター試験はどのように作成・実施されてきたか」(東京大学 高大接続研究開発センターシンポジウム)2019
「センター試験の問題は誰が作成している? チェック体制は?」(高校生新聞)2018
大塚雄作「日本の共通試験と大学入試センターの役割」(大学入試サミット2017)2017
山地 弘起「大学入試改革 : センター試験・新テスト・高大接続」(第5回情報教育研究会 IN 江戸川大学)2017
「センター試験はどのようにして作られているか。」(進路のへや)2007
佐藤恒雄「2002年センター試験問題(数学)はこうして作問された:じっきょう数学資料48号」(実教出版)2004

センター試験から共通テストに変わったこともあり,EduAの記事の通り,体制も変わっているのだと思われるが,基本的に試験問題をつくるって大変なのねということは資料から分かってくる。

2021年10月3日に行なわれた情報処理学会「第三回情処ウェビナー:大学入学共通テスト「情報」がこの国を変える!」(YouTube動画)で,”情報分野のミスター共通テスト”こと中野由章先生が指摘していた,大学入試センターから公表されている『大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書』にある「問題作成部会の見解」という文書の内容が非常に重要だとすると,こうした問題作成委員の仕事についても,いろいろ知っておくことは大事かもしれない。

そんなわけで,今月は「デジタルの日」があるということで,2021年10月9日には情報処理学会の高校教科「情報」シンポジウム2021秋が「情報科教育の新時代を創る〜デジタルの日を記念して〜」というテーマでも実施される。そこでも,まだ見ぬ共通テスト「情報Ⅰ」が話題に取り上げられるようだ。

というか,共通テスト「情報Ⅰ」のことを考えるにしても,教科書の中身を見てみないことにはなんとも言いにくい。2021年3月には高等学校の教科書検定が終わった。

(2021年3月)令和2年度教科用図書検定結果の概要(文部科学省)

資料によると共通教科情報の教科書検定受理点数は12点(6社)。すべてが合格したようなので,各出版社のWebサイトで概要を知ることが出来る。さて,採択結果はどうなっただろう。

日本文教出版「令和4年度新版教科書「情報Ⅰ」」
数研出版「高等学校 情報Ⅰ」
実教出版「情報 令和4年度用教科書」
第一学習社「情報Ⅰ」
開隆堂「高等学校情報 教科書(令和4年度版) 実践 情報I」
東京書籍「情報

私たち一般人が手に入れられるのは来春以降,教科書販売している書店などからと思われる。

ちなみに文部科学省は高等学校情報科関係の情報提供ページを用意していて,そこで教員研修用の教材は提供しているので教育内容の雰囲気を知ることはできそうだ。

高等学校情報科(各学科に共通する教科)」(文部科学省)
「高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)」(文部科学省)
「高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)」(文部科学省)

…といろいろ追っかけてみたけれど,いろいろありすぎて,結局よく分からずじまい。これからゆっくり吟味して理解しようと思う。

ベイトソン「学習とコミュニケーションの階型論」

今までもそうでしたが、今後もさまざまな議論の前提として重要なベイトソンの学習に関する論を確認し直しておきます。

〈ゼロ学習〉
反応が一つに決まっている

〈学習Ⅰ〉
反応が一つに定まる定まり方の変化。すなわちはじめの反応に代わる反応が,所定の選択肢群のなかから選びとられる変化

〈学習Ⅱ〉
〈学習Ⅰ〉の進行プロセス上の変化。選択肢群そのものが修正される変化や,経験の連続体が切り取られる,その切り取られ方の変化

〈学習Ⅲ〉
〈学習Ⅱ〉の進行プロセス上の変化。代替可能な選択肢群がなすシステムそのものが修正されるたぐいの変化

〈学習Ⅳ〉
〈学習Ⅲ〉に生じる変化。地球上に生きる(成体の)有機体が,このレベルの変化に行きつくことはないと思われる

ベイトソン「学習とコミュニケーションの階型論」(『精神の生態学』)を要約


学習内容の習得といった学習Ⅰを安定させることが長らく学校教育の役目とされてきたとすれば、学び方を学ぶといった学習Ⅱを伴うことが今般(平成29年改定)学習指導要領で目指されているとも言えます。ところが、実のところ私たちに求められているのは、持続可能なシステムへの転換といった学習Ⅲ水準であったりするわけです。そのことがいかに難易度の高いことかは重々承知をしているものの、もはや逃れられない課題として私たちにのしかかっているという文脈を共有しなければ、前に進むことは出来ないのです。

伝わるものを見極める

書店に寄ると目移りするほど面白そうな本があるわけですが、今回あらためて知ってみたいなと思ったのがこの本でした。

褒めるだけでは子どものためにならないという見識は、だいぶ広まってきているように思います。あらためて、そのことについて分かりやすく説明する文章を読みたいなと思ったところで、島村さんの本を見つけました。

島村さんの本では、褒美や罰を使いながら子どもの行動をコントロールするような接し方を「条件付きの接し方」と呼び、愛情をエサにする接し方であるとも表現しています。

その具体例として紹介しているのは、子どもとしている毎晩の絵本読みの約束を、子どもがぐずったときに罰として取りやめてしまうようなケースです。こうすると親の思う通りに行動しないと愛情が引っ込められてしまうと子どもが思うようになるというわけです。

あまりネタバレしてしまうと申し訳ないので、最後にこうした条件付きの子育てをすることによるデメリットとして島村さんが書いていることだけ紹介させていただくと…

  1. 短期的にしか教育効果がない
  2. 条件付きの自己肯定感しかもてなくなる
  3. 親子関係が悪くなる
  4. 世代を超えて引き継がれる

とのこと。そして、この後は、子ども全体を見てあげられて、考え方や行動の理由を考えていくような「無条件子育て」について紹介が続いていきます。

いろんな切り口があると思いますが、この話を読んで浮かんだのは、ベイトソンの「学習とコミュニケーションの階型論」でした。私たちは無意識のうちに子どもたちをダブルバインド状況に囲い込んでしまうのだなということ。そこから抜け出すためにも相手の思う通りに行動するよう追い込まれるのかなと思えます。

そのときにもう一つ思うのは、マルザーノのタキソノミーに付随する「行動のモデル」でした。

もしも親などの大人たちによる条件付きの接し方にさらされ続けたとしたら、本来は認知システムやメタ認知システムの積み上がりで自律システムによって新しい課題への行動の着手が決定されるはずであるところが、大人の意図や愛情をエサに行動が統制されることになるわけで、システムの重層性によって成り立っているモデルのあちこちに空洞が散見される状態を招いているかも知れない。そんなことさえ想像させます。

この頃は当たり前のことばかり頭を巡ります。

結局、教育の問題は、子どもたちをとりまく大人たちの問題なのだということ。環境を構成する大人たちの在り方や受け止め方が強く影響するのだということ。しかも、意図せず後続世代に何かを押し付けてしまう可能性があること。

私たちは何を伝えてしまっているのか。

丁寧に見つめ直して考え直していかないと、まったく望まないメッセージを伝え続けている可能性さえあるのかも知れません。

「メーガーの三つの質問」探訪

ロバート・F・メーガー(Robert F. Mager)氏は米国の心理学者であり,インストラクショナル・デザインの分野に多大なる影響と貢献をした人物として知られています。

日本の私たちにとっては「メーガーの三つの質問」の主として知られています。

Where am I going?
 (どこへ行くのか?)
How do I know when I get there?
 (たどりついたかどうかをどうやって知るのか?)
How do I get there?
 (どうやってそこへ行くのか?)

インストラクショナルデザインの道具箱101』(北大路書房)によれば,これらは上から「学習目標」「評価方法」「教授方略」に対応し,あらためて目標設定の重要性と次いで評価を重視しなければならないことを表しています。

実は,このメーガー氏が2020年5月にお亡くなりになっていたようです。

Wikipediaで氏の紹介を見たり,いくつかの追悼文(「In Memoriam: Robert F. Mager, 1923-2020」「RIP Robert F. Mager」)を拝見しながら,ふと,あらためて「メーガーの三つの質問」の出典を確認してみようと思ったのでした。

その探訪の辿り着く先が想定外な場所であることも知らずにです。

先の文献(『…の道具箱』)は,その引用元として…

鈴木克明(2005)「教師のためのインストラクショナルデザイン入門」IMETSフォーラム

を挙げています。

上記の論稿はもともと「鈴木克明(1995)『放送利用からの授業デザイナー入門〜若い先生へのメッセージ〜』財団法人 日本放送教育協会」の内容を修正したものとされています。

そして,鈴木克明氏の論稿が参考文献として掲げているのが…

メージャー,R・F著、小野訳(1974)『教育目標と最終行動〜行動の変化はどのようにして確認されるか〜』 産業行動研究所、p.5

です。これは Robert F. Mager (1962)『Preparing instructional objectives』の翻訳書で,現在でも読み継がれている書物といわれています。残念ながら邦訳版は絶版となっています。

そこで,国立国会図書館に所蔵されている『教育目標と最終行動』を閲覧してみることにしました。そして,5頁の序に記されている内容を確認したのです。

(1)教えなければならないことは何か?
(2)それを教え終ったということは,どうしたら分るか?
(3)それを教えるためには,どのような教材と教授法が,もっともすぐれているか?

メージャー, R・F 著,産業行動研究所 訳(1970)『教育目標と最終行動〜行動の変化はどのようにして確認されるか〜』 産業行動研究所,p.5

そこにはまったく異なる質問文が掲載されていました。

邦訳『教育目標と最終行動』には,いくつか版が存在していて,今回参照した1970年版は,鈴木氏が参照した1974年版と異なる可能性もありますが,残念ながら現時点で差異の有無は確認はできていません。

さて,この違いはいったいどこから派生したのか?

もし翻訳の過程で派生したものであるとすれば,原著には冒頭の英語質問文が掲載されているはずです。

そこで,原著『Preparing instructional objectives』を参照してみることにします。日本の図書館でみつけ出すのは難しそうでしたが,インターネット上のデジタルライブラリで原著を閲覧できました。

Robert F. Mager (1962) Preparing instructional objectives

リンク先の画面下の方にある「Full View」をクリックするとかつてGoogleが大学図書館の蔵書をスキャニングする事業で取り込んだものが参照できます。

当該箇所がある「FOREWORD」(序)の頁を参照すると,次のような英語質問文が記載されていました。

1. What is it that we must teach ?
2. How will we know when we have taught it ?
3. What materials and procedures will work best to teach ?

Robert F. Mager (1962) Preparing instructional objectives

翻訳文がもとにしたであろう原文がそのまま掲載されていたのです。

原著『Preparing instructional objectives』にも,確かにいくつかの版があるわけですが,それらに違いがあるとは考えにくいでしょう。

また,私たちがよく知る3つの英語質問文(Where am I going?/How do I know when I get there?/How do I get there?)が本文側に出てこないかとも思って探してみましたが,見当たりません。

ちなみに,この書籍自体は,インタラクティブな読書を促す仕掛けが施されている点で大変興味深く,邦訳版の絶版は仕方ないとして,原著が今日でも読み継がれているというのは納得できます。

こうして調べてみてわかったことは,「メーガーの三つの質問」というのは,原著や翻訳書ではもともと別の表現で提示されたものであり,これを日本の教師(特に当初の目的であった「若い先生」)に向けて噛み砕いて紹介したもの,それが広められたということです。

なぜこのようなアレンジを施したのかは,鈴木先生にお伺いしてみないと真相はわかりませんが,おそらく,原著にしても翻訳書にしても「教える」という立場からの表現がきつ過ぎるからではないかと思われます。

ご承知の通り,インストラクショナル・デザインは学習者中心であり,その学習を支援することに主眼が置かれています。そのような考え方を日本で広めるためには,「教える」という視角からの三つの質問文をもっとニュートラルな表現で言い直すべきという判断があったのではないでしょうか。

さて,「メーガーの三つの質問」を訪ねる旅。

この探訪には,もう少しばかり続きがあります。

原著を確認された方はお気づきかも知れませんが,くだんの「序」はメーガー氏が書いたものではありません。終わりの署名は…

John B. GILPIN
Research Associate
Self-instruction Project
Earlham College
Richmond, Indiana

となっており,邦訳では「ジョン・B・ギルピン」とカタカナ名だけが付されていました。

ギルピン氏なる人物はいったい何者なのか。原著や翻訳書には記載された以上の言及はありません。文字通り「研究助手」(Research Associate)であったことがわかるだけです。

ネット上にギルピン氏のものらしき論稿「A TAPE RECORDER FOR INSTRUCTIONAL AND OTHER BEHAVIORAL RESEARCH」を発見することはできますが,それ以上の手がかりをみつけることはできませんでした。

とにかく,文献上で考える限り,今回確認できた英語質問文の三つは,メーガー氏本人がしたためたものではないと考えるのが自然です。

では「メーガーの三つの質問」はメーガーの三つの質問ではないのか?

今回の探訪で明らかになった事柄は,私たちが漠然と想像していた形とは異なるものではありましたが,三つの質問が意図していたこと,それをもとに展開している議論が無効になると主張するものではありません。

そもそも「メーガーの三つの質問」という呼称自体に対応する英語はありません。つまりそれは,定式化された定義文や命題文のようなものではなく,ある人物の影響によって波及した捉え方や考え方だということです。

メーガー氏が直接表記したものではないが,メーガー氏の意をくみ取った助手のギルピン氏によって書き表され,鈴木氏が日本の教師にインストラクショナル・デザインを伝えるのに必要なアレンジを加えて紹介したもの。それが「メーガーの三つの質問」として広まった,のだといえます。

「メーガーの三つの質問」もしくは「メーガーの3つの質問」と検索すれば,それに付随する議論などを様々参照することができますので,ご関心のある皆様はどうぞ思索を深めていただければと思います。

思いがけずメーガー氏の訃報に触れ,見慣れた「3つの質問」が原著等でどのように書かれているのか,ふと知りたくなったことから始まった探訪でしたが,私,ボーっと生きてました。

講義等で「3つの質問」の逸話を紹介するときなどにお使いください。