町田市小6いじめ問題報道に接して

東京都町田市のことを「神奈川県町田市」だと呼ぶ小ネタがあることを初めて知りました。

そんなことに触れることになったのは,町田市で起こったいじめ問題を知ったからです。その問題に関しては,プレジデントオンラインというWebメディアに掲載された告発レポートが詳しく書いています。

20210913「【告発スクープ】小6女子をいじめ自殺に追い込んだ「一人一台端末」の恐怖 パスワードは全員「123456789」」(プレジデント) https://president.jp/articles/-/49923

20210914「「小6女子いじめ自殺」チャットに書かれた誹謗中傷はなぜ消されていたのか 校長「いじめは解決していた」」(プレジデント) https://president.jp/articles/-/49955

20210915「「小6女子いじめ自殺」校長はいじめを否定し、両親は"お騒がせしてすみません"と頭を下げた 「学校が混乱するので、来ないで」」(プレジデント) https://president.jp/articles/-/49956

20210916「「小6女子いじめ自殺」事件に向き合わなかった名物校長は、教育長に栄転した 保護者たちが校長の対応に憤るワケ」(プレジデント) https://president.jp/articles/-/49957

この連続レポートを読む前に、ご遺族であるご夫妻が,代理人とともに,文部科学省への申し入れと記者会見を2021年9月13日に行なったことを報道する毎日新聞の記事を目にしたのが,私のとっての第一報でした。

20210913「小6死亡「いじめ受けた」両親が記者会見 町田市「重大事態」」(毎日新聞) https://mainichi.jp/articles/20210913/k00/00m/040/247000c

20210914「小6女児「いじめ自殺」 両親が会見 町田市「重大事態」に認定」(毎日新聞) https://mainichi.jp/articles/20210914/ddm/041/040/173000c

毎日新聞の見出しを見た印象は「重大事態」という文言の物々しさでした。上記の2つの記事が(私が見つけたタイミングも関係して)並んでいたこともあり,とりわけその印象が強かったのです。

2つの記事が同じバージョンかどうかを確認するため本文を眺めると、学校が配ったタブレット端末が云々とありました。びっくりしました。その関係に関心を向けて仕事をしていることもあり,これは何が起ったのか,本文を精読することにしました。

本文を読み始めてすぐ,小6女子児童が昨年11月に自殺したと書かれているところで違和感が襲います。

昨年11月にそんなニュースを見聞きしてただろうか。教育関係のニュースには気をつけている方でしたから,GIGAスクール構想絡みの重大ニュースを見落としていたとしたら,ちょっとでかいミスだなと思いました。

記事全体を読み終わると,この事件が今回初めて明るみに出たものであり,およそ3年前から始まっていたいじめと,昨年11月の自殺と,今年3月の重大認定による調査開始と,今月(9月)の第三者調査を求める記者会見という時系列の出来事なのだと見えてきました。

まずもって,お亡くなりになった女子児童に哀悼の念を抱きました。

自ら命を絶つこと,そこに至るということは,とても辛い思いをしたのではないだろうか。

どうぞ,安らかに…。ご家族の悲しみを深くお察し申し上げます。

話を続けます。

タブレット端末から利用したチャット機能によって悪口を書かれた件は,いじめ実態の一事例であることも分かりました。

とはいえ,新たな可能性を拓くことを望んで導入したツールが悪意を伴い利用されてしまったことは,十分予想できたことで,その問題をうまく乗り越える努力をしたいと望んでいた私たちにとって悲痛でした。

何も出来なかったことに(できる立場になかったとはいえ),申し訳なく思う感情が込み上げます。

とにかく,今回の問題は基本的に,「いじめ問題とその対処に関する問題」であり,「管理の甘かったタブレット端末とチャット機能」は,悪口を書いたノートと同じように使われた媒体の一つなのだ,という理解をしました。

そこから,私はこの件に関する各社の報道記事を集めることにしました。

20210913「小6女児自殺、いじめ訴える遺書 配布タブレット端末に悪口か」(朝日新聞)
20210913「いじめ訴える遺書残し、小6女児が自殺…両親が文科省に「適切な調査の指導」要望」(読売新聞)
20210913「小6がいじめ自殺か 東京・町田、端末悪用も」(日経新聞)
20210913「小6女児自殺 両親「事実を明らかにして」」(日テレNEWS24)
20210913「小6女子児童自殺 両親が国に調査委員会設置を要望 東京 町田」(NHKニュース) 
20210913「小6自殺、遺書にいじめの記述 「おもちゃじゃない」」(共同通信)
20210913「小6女児、いじめ自殺か 遺族「タブレットで悪口」―東京・町田」(時事通信)
20210914「小6女児自殺「いじめ原因」と遺族訴え タブレット端末での授業中チャットで」(FNN)
20210913「小6女児“いじめ受けた”遺書 両親が公正・中立な調査要望:首都圏」(NHKニュース)
20210913「東京・町田の小6女児が自殺、同級生からのいじめ示すメモ 遺族「学校のタブレット温床に」」(東京新聞)
20210913「小6女児自死で文科省に調査要望 学校配布端末で悪口も」(教育新聞)
20210914「小6女児いじめ自殺 事実確認へ~文科相」(日テレNEWS24)
20210914「タブレットの悲劇 尾木直樹氏が小6女児の自殺事件で校長を批判「酷い校長ですーー」」(東スポ)
20210914「中川翔子「いじめ、という言葉が軽すぎる」子ども自殺が絶たない現状に憤り」(日刊スポーツ)
20210914「「同級生から悪口」小6女児いじめ訴え自殺 文科省が事実報告指示」(FNN)
20210914「「うざい」「きもい」「死んで」 タブレット端末のモデル校で起きたいじめ問題」(FNN)
20210913「「学校配布タブレットでいじめ」 小6女児“自殺”で両親が訴え」(TBS)
20210914「文科省が事実関係確認へ 町田市の小6女児自殺めぐり」(産経新聞)
20210914「萩生田文部科学大臣会見(令和3年9月14日):文部科学省」(YouTube)
20210914「小6女児自殺、タブレットのパスワード共通 文科省「不適切だった」」(産経新聞)
20210914「【町田小6女児自殺】「ネットいじめ」から子どもをどう守ればいいのか:鈴木款」(FNN)
20210914「町田“いじめ”自殺 文科省が事実確認」(日テレNEWS24)
20210915「“いじめ自殺”学校配布タブレットの管理は」(日テレNEWS24)
20210915「東京・町田 小6女児自殺 文科省が市の教育委に指導」(TBS NEWS)
20210914「町田小6自殺、文科省が市教委に指導 萩生田氏「極めて残念」」(朝日新聞)
20210913「いじめ訴え小6女子自殺 両親“真実を知りたい”」(ANN)
20210914「いじめ訴え小6女児自殺 文科省が事実関係確認へ」(ANN)
20210915「東京・町田市で小6女児自殺 文科省が市教委を指導」(ANN)
20210914「文科省が「遺族に寄り添った対応」求める 児童自死で」(教育新聞)
20210914「東京・町田小6死亡 文科省「初期対応検証を」 市教委に指導」(毎日新聞)
20210914「児童自殺 遺書に“いじめ” 文科省が町田市と都に聞き取り:首都圏」(NHKニュース)
20210915「いじめ温床のタブレット端末、パスワードは「123456789」 町田の小6自殺」(東京新聞)
20210915「余録:人をさいなむ「いじめる」と…」(毎日新聞)
20210914「“適切に対応を” 町田市の児童自殺で文科省が市と都を指導:首都圏」(NHKニュース)
20210916「小6自殺「いじめは家までついてくる」配られたタブレット端末で何が」(朝日新聞)
20210916「町田・小学校いじめ自殺:隠蔽疑惑報道の元校長、東京都下の教育長に栄転…取材を拒否」(ビジネスジャーナル)
20210916「一刀両断 実践者の視点から【第81回】配布した情報端末を通した「いじめ」」(日本教育新聞)
20210915「「ICTと生徒指導を包括的に」 小6女児自死、藤川教授に聞く」(教育新聞)
20210916「「GIGAスクール構想」学校貸与端末によるいじめで小6女児自殺の最大の問題点と再発防止でできること:高橋暁子」(Yahoo!ニュース個人)
20210914「萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年9月14日)」(文部科学省)
20210915「特集:授業中にチャットで「死んで」…小6女児いじめ自殺 NPO代表が懸念する学校の管理体制の不十分さ」(カンテレ)
20210916「平野啓一郎氏、小6女児自殺へのタブレット関与可能性について「IT教育は全然足りてない」」(スポーツ報知)
20210916「東京都町田市小6女児自殺:学校のタブレット管理は無法地帯だ」(アゴラ)
20210916「町田小6自殺 「初期対応に疑い」 市教委を指導 文科省」(毎日新聞)
20210916「【町田市立小学校いじめ 行政報告】報道されている町田市立小学校いじめの件について、明日17日に...:東友美」(選挙ドットコム)
20210917「【町田市立小学校いじめ 行政報告2】昨日発信した件に関しまして、資料が公開されましたので共有い...:東友美」(選挙ドットコム)
20210917「行政報告第74号(審査順で仮付番) 学校教育部 行政報告 いじめの重大事態への対処について」(町田市議会)
20210916「主張:小6女児の自殺 SNS教育を総点検せよ」(産経新聞)
20210917「社説:町田小6自殺 端末の使い方 再確認を」(朝日新聞)
20210917「児童全員同じパスワードで配布されたタブレットで起きた問題についてまとめてみた」(piyolog)
20210918「全員同じパスワードのタブレット、市教委「情報セキュリティーに課題」…女児自殺」(読売新聞)
20210918「小6女児自殺、タブレットのパスワードは全員共通…両親「いじめの温床だ」」(読売新聞)

作業開始から数日経過しているため,最新のニュースもそのままリストに入れています。

テレビニュースは映像によって記者会見の一部分を見ることが出来ました。GIGAスクール構想のもとで学校が児童に配ったタブレット端末のことを端末教材と呼んで,会見に出席したお父さんは「学校が配った端末教材も使われており,いじめの温床に大きくつながっている」という認識を語っていました。

必ずしも禁止や排除を訴えているわけではなく,ちゃんと点検をして対策を徹底するよう求めています。

後日,町田市議会の文教社会常任委員会で提示された資料によると,9月13日の記者会見の発言内容において文部科学省に要望した内容が次のように整理されていました。

ア いじめ防止対策推進法等に則った適正な対応をすること
イ 本件に関する新たな設置要綱に基づく第三者委員会を立ち上げ、調査を実施すること
ウ 児童生徒が一人一台タブレット端末を活用することを踏まえ、学校におけるいじめ防止対策を再点検するとともに徹底すること

やはり,その主たる内容は,いじめ問題の適正な調査の実施です。

タブレット端末とチャット機能の話は,GIGAスクール構想実現で配布されたタブレット端末が目新しいもので,それがいじめに用いられたことの影響の大きさから,併せて取り上げられたのだろうと考えられました。

あくまでも,これは「いじめ問題とその対処問題」がメイン。

「タブレット端末の管理問題」は副次的なものだと考えられます。

ただ,各社の報道は,各々の切り口で記者会見を切り取った断片的なものになっており,いろんな配慮のもとぼかしてある部分もあって,「いじめ問題とその対処問題」と「タブレット端末の管理問題」がごちゃまぜになったり,すり替わったり,あるいは旭川で起こったいじめ問題との比較とともに,これも既視感のあるいじめ問題の一つと見なされたりしていました。

そこに公開されたのがプレジデント・オンラインに掲載された告発レポート記事でした。

最初は「文春オンライン」の記事かと思いましたが,サイトは確かに「プレジデント・オンライン」。他の記事とは異なる独自の写真が掲載されており,読み始めると衝撃的な内容が展開していました。

おかげで,今回の「いじめ問題とその対処問題」が,「タブレット端末の管理問題」とセットで報道されている理由が分かってきました。

それは私たちGIGAスクール構想実現事業などを追いかけている関係者が知るオンライン公開研究会の背後で起こっていたことであり,そのことが少なからずプレジデントの連載記事で描かれていることにも影響しているのではないかと思われるからです。

プレジデントオンラインの連載記事は,当初,第5回の続報も予定されていたようですが,何らかの事情によって配信予定が変わったようです。

マスコミ報道も各社の社説が話題に触れたことを区切りとして,一旦は終息すると思われます。

私たちには「タブレット端末の管理問題」の部分を論じることしか出来ず,この部分を適正な状態にしていくことを議論を続けながら働き掛けていくのみです。

一方で,「いじめ問題とその対処問題」に関しては,ご家族の要望の通りに,第三者による適切な調査と報告が為されることをお祈り申し上げる他ありません。

iWork for iCloudが意外とよい話

Appleはこの名称をあまり使わなくなっていて、現在は Pages, Numbers, Keynoteと各アプリの名称を並記する場合が多くなっています。ご存知、Apple社が開発提供している事務仕事系アプリ群のことです。

iWork for iCloud
https://www.icloud.com
Pages
https://support.apple.com/ja-jp/pages
Numbers
https://support.apple.com/ja-jp/numbers
Keynote
https://support.apple.com/ja-jp/keynote

Apple社の端末用に提供されているアプリですが、かつてはバラバラに有償販売されていました。それがワンセットで販売される際に「iWork」と名付けられ、やがて無償提供されるようになったという歴史があります。

基本的にはAppleデバイス専用のアプリという位置づけであり、他のプラットフォームのユーザーとの受け渡しを考慮すると、あまり広範には使われない印象があります。つまり、内輪で済ませられる用途にちょっと使う…くらいな感じです。

ちなみに主要プラットフォーム上のアプリは次のような対応関係になっています。


 Microsoft社

Google社

Apple社
Office 365Google WorkspaceiWork
ワードプロセッサWordドキュメントPages
表計算ExcelスプレッドシートNumbers
プレゼンテーションPowerPointスライドKeynote
クラウドストレージOneDriveGoogleドライブiCloudドライブ

ワープロ文書は、Word形式を扱う機会が多いと思います。アプリのシェアから考えて、自然とそうなると思います。

ただし、完成した文書の配付や閲覧目的であれば、変換してPDF形式を用いることも多いでしょう。印刷レイアウトを正確に再現できる点からも、編集目的がなければ、むしろPDFの方があり難いくらいです

昨今はChromebookの採用も増えてきましたし、クラウドで文書共有することも当たり前になってきました。そのためGoogleの各サービス利用も増えてきました。Webサービスですから、マルチプラットフォームですし、クラウドに自動保存される利便性もあります。

以上のことから、仕事相手もマイクロソフト系ユーザーならOfficeをベースに、相手がGoogle使っていそうで気軽に作業を始めるならWorkspaceをベースに、という使い分けで事足りそうです。

OfficeとWorkspaceは一長一短

普段はOfficeかWorkspaceかの使い分けで済ませられます。

しかし,問題は、Webアプリ版(クラウドバージョン)です。

Webアプリを含めて検討すると,この2つは一長一短なのです。

Office 365の場合

Office365アプリは、専用アプリだと,確かにマルチプラットフォーム対応しています。

プラットフォームの違いによって専用アプリ自体がサポートできる機能に違いが生じてしまう技術的制約はありますが,できるだけファイルの互換性を保ちつつ、可能な限り個別のプラットフォームで快適に使えるよう頑張ってはいます。

ただし,Webアプリ版はそのレベルには達していません。

以前に比べると改善の努力は見られますが、基本的にWebアプリ版のOffice365は未完成。

正確にいえば、専用アプリと連携して使うにはバランスが悪いのです。既存のファイルに対するフォントやレイアウト処理が不十分で、ビューアとして使用することもあまり期待できないレベルです。

専用アプリで作成したものをOneDrive保存によるクラウド経由で開こうとすると、期待通りに再現してくれないことがあります。

たとえばWordの場合,段組みがサポートされていません。テキストボックスもサポートされていないので,Webアプリ内では画像として扱われ,位置によってはかなりズレて配置表示されます。新規でテキストボックスは追加もできません。ただしPowePointの場合は,テキストボックスも図形も扱えますので,そういう意味でもWebアプリ版は完成度がバラバラな未完成な状態というわけです。

最初からWebアプリで新規作成し,Webアプリ単独で使う分には、その範囲内で不満なく使うことが可能だと思います。誰もWebアプリ版は使わないから関係ない、と済ますことも出来ます。

しかし、クラウドのご時世ですから、Webアプリ版もある程度の完成度を高めて、連携利用が満足できるレベルにしてもらえた方がよいように思います。

Workspaceの場合

一方、Workspaceは、もともとクラウドベースのWebアプリサービスです。

最初からWebアプリベースで作業することを承知で利用するので、緻密なレイアウトを要求するレベルでなければ、かなり汎用的に利用できます。

ただし,Webブラウザや端末の種類・性能に強く影響も受けることも事実です(これは他のものも同様です)。

たまに入力や編集の作業でWebアプリの挙動が期待通りに動かなかったり不安定になることがあるという弱点もあります。特に共同編集の場合には混乱に拍車が掛かることがあります。

Workspaceは,個々のWebアプリとしての完成度は高い方ですが,たとえば図形描画を例にとると,ドキュメントの場合とスライドの場合とで扱われ方がまったく異なります。この不統一は,大いに問題です。

また,完成度が高いといっても機能が豊富という意味ではなく,むしろ機能はミニマムで,まだこれから機能追加される状態にあるともいえます。いわゆる「ベータ版文化」の色が残っていて,常に改変が行なわれるがゆえに,不安定になることも覚悟しなければなりません。

さらに、GoolgeサービスをiPad OSで利用する場合に特有のことですが、Google WorkspaceをWebブラウザ(Safari)から利用することが難しくなっています。利用できないわけではないですが,専用アプリに飛ばされてしまうように作られていて,面倒くさいかも知れません。かといってiPad用の専用アプリは完成度が低いため、フル活用することが難しくなっているのです。

自分が使う範囲で問題が発生しなければOfficeとWorkspaceのどっちかを選んで使えばよいだけなので、ここでいう一長一短にさして実害を感じない場合がほとんどだと思います。

けれども、道具は幅広く試してみて、可能性を広げておくことも大事です。

実は、ここまで触れずに残っていたiWorkは、意外とよい選択肢かも知れないからです。

iWorkはアプリとWebの連携がスムーズ

Apple社のiWork(Pages, Numbers, Keynote)の専用アプリは、Apple社の端末にしかありません。

WindowsやChromebookで利用するにはWebアプリ版(for iCloud)を使うことになります。しかし,先ほどからWebアプリ版にはいろいろ問題があると書いてきました。

iWork for iCloudにも問題があるのではないか?

実は,iWorkのWebアプリ版は、専用アプリとスムーズに連携するように作られています。

Webアプリ版のレイアウト性能は一番高いといえるかも知れません。しかも,Pagesの場合とKeynoteの場合とで図形描画の扱いが変わってしまうなんてことはありません。統一されています。その点でもOffice 365やWorkspaceと異なります。

また,文書などの見栄えが、専用アプリとWebアプリ版とでほぼ同じになるように完成度を高めています。

もっとも、これにはカラクリがあって、iWorkの専用アプリ自体がシンプルなので、複雑な機能がない分、Webアプリでも機能を再現しやすいのです。もちろん完ぺきではなく,専用アプリで実装されている機能の一部(たとえば縦書きのテキストボックスなど)は,Webアプリ版で利用することが出来ません。

使ってみれば分かりますが、シンプルとはいえ、表現機能に柔軟性があるので、かなり自在な文書作成が可能です。

フォントもAppleデバイスで利用できる「ヒラギノ」シリーズがちゃんと用意されています。それも見栄えの統一性や再現性の高さに貢献しているのだと思います。

WindowsやChromebookからiWorkを利用する場合,別途AppleIDの登録が必要になりますが、それだけでWebアプリ版の完成度の高いiWork for iCloudを利用できるのですからお得です。

作成した文書はPages, Numbers, Keynoteの各形式はもちろん、Office 365用の形式でダウンロードも可能ですし、PDF形式でダウンロードすることも出来ます。

Webブラウザや端末の種類・性能に影響を受けるところは他と同じですが、それを差し引いても、作成する文書の見栄えを重視しながらマルチプラットフォームで利用できるものはiWork for iCloudがおすすめだと思います。

徳島県立高校 学習用端末を知ろう

前回までのあらすじ

以前、GIGAスクール構想実現事業の一環として小中学校に導入された学習者用端末について、徳島県内で起こった端末不良問題をきっかけに取り上げました。

そのブログ記事に追記したように、徳島県では県立高等学校でも学習者用端末を貸与のため導入しました。

入札の公告などは次の通りです。

高校生の投書

2021年7月4日付け徳島新聞の「若い声」欄に、とある県立高等学校の現役高校生の投書が掲載されました。これを紹介したTwitterの写真付きツイートが拡散したのです。

投書タイトルは「物足りぬGIGAスクール」というもの。GIGAスクール構想実現事業の範疇で小中学校に導入された学習者用端末を徳島県では県立高等学校にまで広げたこと。しかし、期待していた端末の現実に失望したこと。また、学校でのインターネット接続速度も十分とはいえず、これではGIGAではなくてKILO、せいぜいMEGAがいいところ。さくさく動くスマホになれた高校生にこれを強制するのはいかがなもので、これに血税を浪費していないか、十分考慮計画された事業だったのかと辛辣な内容でした。

この投書や投書紹介に対して様々な反応がなされたわけです。

そして、その後、徳島県立高等学校に導入された端末について情報提供をいただきましたので、ここでご紹介したいと思います。

それから、新聞に投書した高校生ご本人からのメールをいただき、投書に書き切れなかったお話をいろいろ教えてもらいました。適宜ご紹介します。

徳島県立高等学校で導入した端末

投書の中で、「家で充電できず、キーボードはいかにも安物で使いづらい。スペックは案の定最低レベル」と揶揄された端末はどういうものなのか。

メーカーと機種

前回の記事では、学校で端末を使用している様子を報道したニュース映像から端末を推測しました。しかし、実際に端末を使用している高校生の方から情報提供をいただき、端末が「CHUWI社製Ubook」という機種であることを確認しました。

調達仕様

徳島県で調達する際の仕様に関して、次のような表の情報提供もありました。

OSは、小中高校でWindows10 Proに統一したようです。

充電について

Ubookの充電仕様は、ピンプラグ端子で専用ACアダプタに接続して12V/2Aで充電するタイプ。

小中学校に導入されたHi10Xは、USB-C端子で専用ACアダプタに接続する12V/2Aタイプでしたが、それと高等学校に導入されたUbookでは接続で使うプラグ端子が違っています。

このため、専用ACアダプタを携帯しなければ、家に持ち帰った際に充電できないということになり、投書で指摘していた通りの問題があります。

【新聞投書の高校生さんから…】

このACアダブタの端子が、イヤホンジャックにもささってしまう仕様で、それぞれ端末の左面・右面についているものですから指し間違いが多発するんです。勿論、皆初めて触れる端末で、なおかつ何の周知もされていないので言われないと気づくわけがありません。結局、何回も私と先生で差し替えることになりました。今では皆が気をつけるようになって収まっているのものの、これが新入生が入るたびに起こると思うと、はぁ…と思ってしまいます。

なお、追加の充電アダプタを夏休み前に配布することになったとの情報も寄せられました。

スタンドやキーボードについて

スタンド

Ubookは、マイクロソフト社のSurfaceを模したタブレットPCのため、端末を立てる機構やキーボードについても、Surfaceをマネしようとしたものになっています。

元ネタのSurfaceの場合は本体裏の盤面半分がヒンジ機構で起き上がりスタンドになるデザインですが、さすがに難易度の高い製造技術が必要なので、Ubookの場合は外枠が曲がる形でスタンドを実現しています。耐久性が心配ですが。

【新聞投書の高校生さんから…】

この端末は、サーフェス型で机上に置くときかなりスペースを取ります。そんなに大きくない学習机ですから、まあみんなよく落とします。その時、背面が金属製であるのに対し側面は樹脂製で、当たりどころが悪いとUSBポートの部分が曲がったり、接着が甘いのか外れたりします。明らかに教育現場にはあっていないです。

確かに、このタイプのスタンドだとフットプリント(端末が占有する領域)がどうしても広く必要になりますから、スタンドが机の縁からはみ出て端末が落ちることも多くなりそうです。端末が落下する様子を想像するだけでも寒気がします。

キーボード

また、キーボードはタブレット画面のカバーにもなるタイプで、これを開いて、部分的に磁石で端末と引きつけることでキーボードに高さ(角度)をつけるようデザインされています。このタイプのものはChromebookタブレットでも採用しているものがあります。

このタイプは、どうしても部品が多くなるため、剛性の高いしっかりしたキーボードだと重たくなってしまいます。一方、そこで軽量化を目指すと、逆にキーボードがたわみやすく打ち難いものになってしまいます。新聞投書でも「いかにも安物」と評されていました。

【新聞投書の高校生さんから…】

キーボードで打ち込みを行ったとき、いちいちへこむようになっています。こういった点が「いかにも安物」と感じた所以です。
また、このキーボードは純正の英語配列ではなく、日本語配列のものになっています。互換品を使っている可能性もありますが、アジア合同会社がCHUWI社とのコネクションを持っていることを考えると、特注したものなのかもしれません。

市販品では英語キーボード設定のみですので、日本語配列のものを用意したのは特別かも知れません。私個人的には日本語配列を用意したことは悪いことではないと思っていますが…。

高等学校のインターネット接続環境

この部分に関しては、新聞投書された高校生ご本人の文章を引用します。

【新聞投書の高校生さんから…】

文字数の制約で端末本体の話の後にそのまま書いてしましたが、こちらは端末というよりそもそものネット環境の問題です。
Wi-Fiの機械自体は良いものらしいのですが、そもそもの回線が古いままで、回線がパンクしている状況です。数人が使うくらいなら10Mbps程度でるのですが、クラス全体で使った場合、ひどいと数十Kbpsしか出ません。アプリケーションのダウンロードなんぞしようものなら、数十分はゆうにかかります。自分のクラスが使っていなくても、他クラスが使っていると教員用PCもネットに繋がりにくくなり、困っている次第です。

この他、隣りクラスのWiFiとの混線状況も生じている様子で、ネットワーク環境に関しては、接続が可能という程度でとりあえずは済ませた状態のようです。

投書へのリアクションに対して

Twitterに投稿された元の紹介ツイートはすでに削除されており、Togetterで記録されたものやいくつかのWebサイトで記録されたものが残っているのみです。

今回、直後に巻き起こった拡散やリアクションの大きさには、投書された高校生本人も、また紹介ツイートをした方もびっくりされていたようです。

様々なリアクションに、やはりいろんな思いを抱かれたようで、新聞投書では伝え切れなかったことやネット上のリアクションへの返答も届けたかったそうなので、私に情報を託してくださいました。

その中には、スマホ事情についてのお話もありました。

【新聞投書の高校生さんから…】

リツイートの中にはスマホや自身のPCを使えばいいじゃないかという意見もありましたが、私の高校では、スマートフォンに関しては登校後は電源OFF、PCは持ち込み禁止という規則になっています。先生によっては、臨機応変にスマートフォンでの代替を認めてくれる場合もありますが、全員ではないので、やはり不便です。(私自身のスマホはAndroidのローエンドモデルなので大した性能ではないですが、それでもやはりスマホの方が早いという…。PCは普段インテルcorei7搭載のノートパソコンを使っています。)

その後の学校や教育委員会の対応

高等学校での環境整備はまだ完成しているわけではなく、今後次のような整備が予定されているようです。

  1. 1学期終業式までに、家庭で端末の充電ができるように家庭用のACアダプターを生徒1人に1個貸与。
  2. 夏休み中に、学校のインターネット回線の増強を予定。
  3. 夏休み中に、学校・家庭でより安全にインターネットを利用できるためのフィルタリングソフトを導入予定。

こうした取り組みを保護者に向けて連絡をしたようです。


というわけで、徳島県立高等学校関連の学習者用端末やネットワークについて、Twitterやメールでお寄せいただいた情報をもとにご紹介しました。

予想されたことですが、これらはすべて学校や教育委員会の内部と生徒や保護者といった限られた範囲だけに情報が伝えられただけで、外部にはまったく何も公開されていません。

投書にあったような「血税で賄われている」という意識はそもそも教育分野では希薄だし、学校教育に関わりの無い人間に対してむやみに情報公開する必要はないというのが基本姿勢でしょうから、このまま時が過ぎて終わりそうです。

どんなに酷い状況でも我慢して耐え続けやり過ごすこと。

日本の学校教育でこれまでもこれからも強く推し進められているのは、この基本姿勢であり、今回のGIGAスクールや学習端末関連の出来事においても、それを押し通して児童生徒たちに我慢してもらうことが教育だということになりそうです。

個人的には、とても残念に思いますが。

徳島市GIGAスクール端末を知ろう

[追記]8/11 学校に導入されたタブレット端末のWindowsにも「ライセンス認証」問題が存在するようです。

ラインセンスを購入してないわけではなく、認証させる操作手続きが後手になっているという問題です。このため、Windowsのコマンドラインを利用して、ライセンス番号を入力して認証させる作業が必要になります。この作業がどのように行なわれるのか、まだ情報は得られていませんが、どうやらユーザー側にやってもらう雲行きであるとも漏れ聞きます。

こうした問題は学校・教育委員会外には公表されておらず、また秘密裏に処理されるようです。

[追記]7/7に連絡をいただき、件の高校で使用しているのは「Ubook」(無印)であるとご指摘いただきました。そうであれば、(専用ACアダプタ以外では)充電できない問題があるという投書の内容は正しいことになります。

徳島県立高校で生徒の皆さんが使用しているタブレット端末について、後日ブログを書きたいと思います。


[追記]7/4付の徳島新聞紙面「若い声」に現役高校生(県立高等学校生)の投書が掲載され,小中学校のGIGAスクール構想における端末導入と歩調を合わせて導入された県立高等学校向けの学習用端末に対する辛辣な意見が注目を集めました。

実際,GIGAスクール構想実現事業の学校内ネットワーク整備部分は,高等学校も範疇です。一方,学習用端末は,都道府県など学校設置者の判断次第です。徳島県は全県立高校生に学習用端末を貸与すると決定(2020年6月)しました。

2020年8月には一般競争入札が始まりました。

落札したのは「株式会社四電工」です。地元の有力企業です。どんな端末が納入されたのかは,残念ながら入札関連の情報からは伺い知れませんが,県立高校で行なわれた公開授業についてのニュースとその映像から端末が見えてきました。

小中学校向けの共同調達で人気だったCHUWI社のタブレット端末のようです。機種はUBook Proのようですが,詳細な仕様は分かりません。(ご指摘いただき、Ubook無印であったようです)

こちらの端末は,メーカーの仕様上ではUSB-C PD2.0規格に対応しているので,自宅のUSB-C PD対応の充電アダプタで充電できないってことはないとは思いますが,実際のところはどうなのか未確認です。

学習用端末の話は,小中学校と高等学校で議論を切り分けなければならない部分はあります。一方,学校内ネットワーク整備に関しては,共通して高速快適な整備が望まれます。学校外インターネットとの接続に関しては,なお不透明なところが多く,それぞれがお住みの基礎自治体で住民が理解を示し協力しつつ担当者も踏ん張らないといけない状況です。


[追記]6/11に徳島新聞Web記事で、徳島のGIGAスクール端末に関する詳しい内容が取り上げられました。

徳島県内の共同調達組と個別調達組で導入された端末機種は違うことが記事からもわかります。私も取材を受けてコメントさせていただきました。


[ここからもともとの記事…]

まったく蚊帳の外に置かれているので、まったく情報を持ち合わせていませんでしたが、こんなニュースが流れてきてしまったので情報をまとめておきます。

バッテリー膨張が発見されたとの報道

納入された端末とは?

徳島新聞社の端末写真が「納入業者提供」ということなので、納入業者である「アジア合同会社」さんのWebサイト(2021年6月末頃リニューアルし,一部リンク切れ)を調べると、GIGAスクール端末として納入したものと同型らしき端末の広告が掲載されていました。

https://asiallc.jp/assets/pdf/20200919新聞広告内容.pdf

こうしたことから、徳島市のGIGAスクール端末は左側に掲載されている「CHUWI社 Hi10 X」またはそれをベースにしたものと思われます。

Intel社 Gemini Lake世代のCeleron N4100というCPUは2017年に登場して、そろそろ製造終了という位置づけのものなので、最新端末の処理速度や性能を期待するわけにはいきません。ただ、安価で価格相応な性能の端末が提供できるということで、性能を求めない購買層向けには馴染みのCPUでもあります。

なんで、この端末?

まず全国のこと。

GIGAスクール構想の実現事業とは、改訂された学習指導要領も目指している令和の学校教育を取り組む重要な道具として、学習用端末を全国の小中学生に1人1台配布し、学校内ネットワークを整備する事業でした。計画実行に数年かけるはずが、コロナ禍の影響で2020年度末(2021年3月末)までに一気にやることになったという経緯があります。

この実現事業に伴う端末整備で、クラウド時代だからたとえばこんな端末導入してみては?と示されたモデルがありました。それを「標準仕様」なんて呼んでしまったのは、ちょっとした失敗でしたが、なんと3つの異なるプラットフォームでモデルが示され、それは画期的なことでした。

  • Windows(日本マイクロソフト社)
  • iPad OS(Apple社)
  • Chrome OS(Google社)

この3つでした。

何を選択して導入するのかは、複数の候補から検討の上、それぞれの自治体の事情も加味して決定すること。ただし、安価に導入することも大事だし、先生達が異動する際にある程度共通していた方がよいのでは?ということもあって、都道府県単位での共同調達も真剣に考えてね、というのが文部科学省の計画だったわけです。

各都道府県の担当者は慌てました。

都道府県ごとに対応は千差万別となり、市町村レベルの関係者とどれくらい協力しあえるかによって、調達の仕方も導入後の対応も変わってきました。

さて、徳島のこと。

GIGAスクール構想実現事業を担ったのは「徳島県立総合教育センター」の教育情報課のようです。

徳島県におけるGIGAスクール構想実現事業の対応の詳細を掘り起こすのは、なかなか難しく、情報は公開されるも必要がないと判断されると消されてしまうので、公表されている断片から推し量るしかありません。

県教育委員会が音頭を取って「徳島県GIGAスクール構想推進本部」が立ち上げられ、共通アプリケーションや活用に関する研修は県立総合教育センターで県単位にやるようです。しかし、入札に関する情報を眺めると調達は各市町村単位で実施する流れになっていたようです。

ちなみに徳島のIT関連を牛耳っているのは「公益財団法人e-とくしま推進財団」です。

プロフェッショナルな人たちの集まりのはずですが、あんまり今どきっぽくない雰囲気を持つ、不思議な団体です。GIGAスクールに関してもいろいろと支援していますが、やっぱり今どきっぽくない感じがします。う〜ん、不思議だ。

徳島市は?

徳島市教育委員会は「子どもの学び推進プロジェクト検討チーム」を組み、3回ほど会議を行なってきたようです。そこでGIGAスクール端末についても少し議題に上っていました。

そして徳島市は、2020年6月2日付で情報提供依頼をWebサイトに掲載しました。

このようにOSの種類をWindowsに決め打ちした上で情報提供願いを出し、情報が提供されたあとで、「徳島市GIGAスクール学習環境整備事業(1人1台タブレット端末)に係る公募型プロポーザルの実施」を行なったようです。(タイミングを逃して仕様書等の中身を確認できませんでした。)

こちらがその選定結果。

みごと「アジア合同会社」さんが落札された…という結果です。ちなみに選定委員会の面子が気になりますが、その正体は不明です。少なくとも私は関係していません。

というわけで、アジア合同会社さんの提案通り、同社の扱っているCHUWI社の端末がGIGAスクール端末として徳島市の小中学校に納入された…というのが、ここまでの情報で見えてきた筋書き。

ようやく最初の話題に戻れるというわけです。

CHUWI社 Hi10X

まずはCHUWI社。

かつて中国の経済特区として有名で、今では世界的なテクノロジー先進都市でもある深圳にある会社です。2004年ごろから音楽プレーヤーを開発していたようです。

コンピュータや新しもの好き界隈では、CHUWI社というのは安価な端末を提供する会社としてAmazonなんかでもよく見かけたりします。

ガジェット系YouTuber(ちょっと珍しい品物を動画で紹介・レビューしている人々)にとっても、それらの商品をよくネタとして取り上げることから、なじみ深かったりします。

Hi10Xはどんな感じ?

それでは、あらためてCHUWI社のHi10Xについて。

徳島市の小中学校に納入されたGIGAスクール端末がHi10Xそのものであるかどうかは、正確なところ分かりません。あくまでも推測です。

しかし…

  • 「徳島市GIGAスクール学習環境整備事業」落札社は「アジア合同会社」であること
  • 端末回収騒動の報道で掲載された写真に「バッテリーの不具合が見つかったタブレット端末の同型」とあること
  • その写真の端末と、アジア合同会社が新聞に出稿した広告のタブレット端末Hi10Xの筐体がほぼ一致すること
  • 当該広告に掲載されたHi10Xの税込み価格が4万5千円に近い価格であること

以上の断片的な要素を総合すると、徳島市GIGAスクール端末がHi10Xまたはそれをベースにした端末である可能性は高いと考えられるのです。ここでは、Hi10X同等品と考えることにして話を進めます。

早速、ネットで「CHUWI Hi10X」に関する情報を検索すると、いくつかレビュー記事が見つかりました。

性能はそれなりではあるけれど、総合的には好意的な評価のレビューは多いです。

(Amazonの情報によると市販品はCPUをN4120にアップグレードしたHi10XRというモデルが登場した後、従来のXモデルを終了して、XRをXに改称したようです。ただし、アジア合同会社の扱うものはN4100っぽいです。)

中国製タブレット端末も、ピンからキリまでありますので、全体的な印象はあまりよろしくない傾向にあります。

しかし、CHUWI社の端末は完ぺきではないけれど面白い構成になっているものも多いので、これらレビュー記事のように好意的な評価も多いのです。「安いには安いなりの訳がある」ことが分かっていれば、素敵な端末…というわけです。

端末整備事業の選定委員会の人々が、どれくらいそのことを了解した上でGoサインを出したのかは、選定委員会の議事録の情報公開を請求するなりしないと見えてこないですが(こら、そこの関係者は記録抹消しようとしないっ!)、この愛らしい端末を熱心に進めてくる業者がいれば、「ああ、この人達が面倒見てくれるだろうし、価格も安いから、悪くないかな」と思ったとしても、不思議はないと思います。

(一応、書いておきますが、私は冗談半分に文章を書く人でもあります。必要に応じて割り引いておいてください。)

気になる情報も…

表面的な情報で紡ぐなら、お安いものを買って、一緒に苦労も買いました、という展開でめでたしめでたし。

ただ、こういう端末は実際に使ってみたり、詳しく調べた人の情報が貴重です。次のレビュー記事が、充電について大変サラッとさわやかに重大なことを書いてくれています。

先端がType-Cですが、本来は丸形コネクタが付くような充電器です。

Type-C端子のタブレットといえばUSB PDのおかげで、スマートフォンや他のタブレットは市販品で代用が簡単にできるのですが、このタブレットは12V/2Aしかでない充電器でないと充電できない設計なので、USB PD充電器が使えないようになっています。

このタブレットの充電器は、「Type-Cの革を被ったDCプラグの充電器」です。

Type Cとしては、規格違反ですし、「USBとしてこの設計はどうなの」と思ってしまいます。

CHUWIとしては、「DCからType Cにしてやったぞ」という感じなのでしょうが、あまりにも強引です。一部のサイトでは、USB PD対応と書いてるので、誤解をされ兼ねないです。

CHUWI Hi10 X レビュー。低価格を維持したままAtom沼を脱出した中華タブレット、価格と性能は最強!」(Till0196のぼーびろく)

引用部分から要点を繰り返すと…

  • Hi10XはUSB Type-C端子を備えていて、純正充電器もType-Cをもち、それで充電することになっている
  • Hi10Xは「12V/2A」でしか充電できない仕様。充電器もそれ専用に作られている。
  • にもかかわらずType-C端子を使っているため、誤解を招きかねない状況にある。
  • これは現行のUSB Type-C規格からすれば規格違反といえる。

ということのようです。

何が問題なのか?

実は、USB Type-C規格による充電は、もともとがややこしい問題を抱えています。

簡単に言えば、「端子は同じなのに、充電できたりできなかったりする」問題です。

Type-C端子というのは、表裏のないコンパクトな共通の接続端子として開発され、スマートフォンを始めとしてノートパソコンなどにも導入が進んでいるUSB端子の一つです。

ところが、端子は共通化したものの、どれくらいの電気を通すかは事情によって異なるため、Type-C端子が付いている充電器でも、ものによってパワーが異なる事態になっていたのです。

それらを交通整理して規格化したものが「USB PD」(USBパワーデリバリー)規格でした。

というわけで、今日、Type-C端子による充電機能を備えるならば、USB PDに対応することが求められますし、それが難しいとしても、Type-C端子にはいろんな電圧・電流が流れてくることを想定して安全に動作するハードウェアを製造することが重要になってきます。

さて、CHUWI社のHi10Xはどうでしょう?

上記の情報からだとType-C端子接続で「12V/2A」という電圧・電流を想定した造りのようです。

  • Type-C端子を使っているため、誰かが間違えて他社の異なる電圧電流の充電器を接続する可能性がありますが、適切に対処しているでしょうか?
  • USB PD規格では「12V/2A」はオプション扱いです。充電器が「5V」に対応していないと規格違反です。このように現行規格に沿わないままType-C端子で接続して充電する製品は望ましいでしょうか?

こうした点が懸念事項としてあるということです。

もしかして、冒頭に取り上げた「端末のバッテリー膨張」問題は、こうした充電系の懸念事項と無関係ではないかも知れません。そうだとすれば、現在回収点検した問題のない端末も、今後、純正品以外の充電器で充電した場合に問題が発生する可能性がなくはないのです。

家庭への持ち帰りも積極的に推奨されています。

充電器まで持って帰るのが面倒とか、家に同じType-C端子を使った充電器があるのでそちらを接続してしまったとか、逆に、規格違反の充電器を家庭の機器に接続してしまうとか、そういうことは今後も起ることを想定しておく必要がありそうです。

追記

Amazonのレビューを見ると、激ヤバな充電仕様であることを指摘しているものがいくつも。CHUWI社の充電器を他社のType-C機器に間違って接続してしまうと機器を壊してしまうとも。この調子だと、阿波踊り問題とともに頭を悩ませる問題となりそうです。

課長さん、いらっしゃい

私が国の仕事にかかわるようになったのは2010年頃です。

徳島に引っ越してすぐに総務省のフューチャースクール推進事業が始まり、地域研究者として徳島の実証校に関わるようになったのでした。

そういう機会は滅多にあるものではないので、立場を越境しながら全国行脚して実証校巡りをしたり、夜行バスで上京して審議会の傍聴をしたりしました。わりと破天荒に動いていたので、珍しがられました。

その後、総務省の仕事から文部科学省の仕事にスライドして関わりながらも、破天荒ゆえに、いわゆる有識者ではなく下っ端の協力研究者としての関わりでした。裏方仕事をいくつかもらい、国の仕事の断片を覗けた感じです。

他の関係者の方々が、省庁の人たちと知り合いながらコミュティを形成しているのを見ると、そういうものが得意でない私は一段と退いてしまうので、なんとなく遠くから眺めることになって、仕事も遠慮するようになりました。

GIGAスクール構想実現事業の初期に情報教育・外国語教育課長だった高谷さんという方がいて、当時の情報発信の内容が話題になっていたこと、覚えていると思います。

課長職としては大胆な発信でしたが、物事を動かすにはこれっくらい必要だし、そういうことが分かっている方だなと思いました。ちょうど経済産業省側では浅野さんというこれまた名物課長さんが華やかに活動されていて、省庁連携でお二人が協力されたことなどもあり、教育と情報の分野が賑やかになったのはいいことだなと思います。

つい最近、このお2人が登場するネット記事が流れてきました。

浅野さんは課長職を続投中ですが、高谷さんは理研に異動され同時にデジタル庁の創設準備に関わられているのだとか。私個人的には、このお二人の言動については好意的なので、遠くで応援する感じです。

平成27年度開始の文部科学省「ICT活用教育アドバイザー事業」というものに参加してたご縁もあって、このお二人とそれぞれ、いっときだけご一緒したことがあります。

とはいえ、大変注目されているお二人だし、たくさんの有名人や有識者の人たちが周りを囲んでコミュニティを形成しているので、ちゃんとお話できたことはありません。よくある、同じ場に参加していました…程度の距離です。

そのことと、上に紹介した記事「「デジタル庁」準備室担当が語る「1人1台」の盲点 元文科省課長の髙谷氏「学習者IDの準備を」」に関連して思い出すのは、コロナ禍前の2019年12月23日(月)に開催された「学校の情報環境整備に関する説明会」が終わって、別の場に少数の関係者が集まる会があり、そこにお呼ばれした時のこと。

その場にちょっとだけ高谷当時課長さんも挨拶参加したのが、私との最接近ポイントでした。

そのとき幸い、高谷さんの周りを人が取り囲むような状況ではなかったので、GIGAスクール構想実現に伴う「アカウント」の問題を文部科学省と経済産業省はどう認識しているのか質問したことがあります。その場には経済産業省の(浅野課長ではない)担当者の方も居たので、ちょうど聞いてみたかったのです。

皆様ご存知のように昔から「アカウント、アカウント」とバカの一つ覚えで唱えてきて、2016年の関西教育ICT展でも「アカウントだ、バカ野郎」…とは言わなかったですが、空気を読まず講演したら干されたので有名な私です。

GIGAスクール構想の実現事業についても、端末設備の話ばかりが注目されて、説明会でも各都道府県の担当者が文部科学省の担当者の周りを黒山の人だかりとなって取り囲んで整備予算に関する質問を浴びせていた状況でしたから、いったいアカウントはどう考えているのか知りたかったのです。

高谷当時課長の返答がどうだったか正確には思い出せませんが、アカウントの設定作業などもGIGA整備予算あるいは地方財政措置の中に組み入れることが可能ではないか、そのようなところ検討できるのではないかといったものでした。その時点では財務省も個別の様々な事情に柔軟に対応する雰囲気があったのでした。

その一方で、文部科学省の整備予算はハードウェア環境整備をなんとかするというのがその時の目的であり、アカウントはどうしてもソフトウェアやサービス等の側に近い部分という認識もあり、そちら(EdTechサービス等)を担当している経済産業省との間で、ちょうど宙ぶらりん状態になっている感じなってしまっていることを、経済産業省の担当者との方とのやり取りも絡めながら課題共有したことを思い出します。

ま、それっきり私は、GIGAスクール構想実現事業をボーッと遠くから眺める感じ。

私が考えていたアカウントは、デジタル機器やサービスを活用するために最低限必要な「権限」とか「登録」という意味合いだったので、最近各方面で言い出されている「学習データを紐付けるための学習者ID」の付与という切り口について、私はまだ慎重というか、共通認識を形成するための議論が不足しているように思っています。

けれども、学習データを使いたくて手ぐすね引いて待っている人々が向こうの方で待っていることを考えると、学習者IDについて様々な考えを述べ合うことはしておくべきだろうなと思います。