サーバー整理

 りん研究室の物理空間のお引っ越しは山場を越えて,あとは適当に詰め込んでしまった蔵書の整理をする作業が残っているところですが,年度は走り始めてしまい,日々の授業や職務などでなかなか手付かずです。

 一方,教育研究活動にとって重要な道具であるデジタル・ネットワーク関係も,繋ぎ合わせの累積でできた環境を見直して,もう少しシンプルに整理する必要がありました。

 たとえば,ドメインとサーバーです。

 この界隈では,研究室で独自ドメインを取得して,Webサイトを運用したり,メールアドレスを設定しているところもあります。インターネットにおける住所の基盤となるドメインは,社会活動する上では重要な情報です。

 そして,実際にWebページやメールを処理するのがサーバー・コンピュータということになります。このコンピュータをどう確保して運用するのかは悩ましいのですが,自分で設置して管理するよりは,ネットワーク上の有償レンタルで利用するのが一般的です。

 りん研究室も「rinlab」といったキーワードでドメインを取ろうかどうしようか,いつも悩むのですが,ユーザー名との組み合わせがあまり美しくないので,結局は目的に応じたドメインを取得する形にしています。

 このブログも「www.con3.com/rinlab/」というアドレスになっていますが,con3.comというのは私の父が命名したオフィスのネーミングに由来しています。

 問題はサーバーです。

 大学という職場はインターネット環境は整備されていてある程度は利用しやすいのですが,サーバーを自前で設置するとなると役所並に面倒なことになります。実験的なことがいろいろしたいなら外部に用意した方が手軽です。

 昨今はブログを開設すること自体は簡単になっていますし,あちこちクラウドストレージサービスも存在していますから,いろいろ試しているうちに,あちらにブログ,こちらにWebサイト,こちらに掲示板みたいなかんじで,自分の情報も散在してしまったりします。

 レンタルサーバーも競争ですから,契約していたものが閉鎖したり,サービス内容が変わったりして,最初はそこで頑張ろうと思っていたものも,だんだんまとまりがなくなってきてしまったりします。

 結局,安価なレンタルサーバーとクラウドサーバーにまとめることにしました。

 安価なレンタルサーバーは自由度が多少低くなるのですが,メンテナンスはお願いできるので,安定運用したい目的に利用するように。クラウドサーバーは,要するにAmazon Web Serviceで,クラウド上に自前のサーバーを構築するわけなので,セッティングやら何やら全部自己責任です。その分,自由に実験的なことも出来ます。

 というわけで,ここ数日はコンピュータの前でそれ関連のセッティングで格闘して,いろんなブログやWebサイトをお引っ越ししていました。その引っ越し作業もまだ途中ですが,集約されれば見通しがよくなって管理もしやすくなります。

全天周カメラ Giroptic 360cam を試す

 2014年にKickstarterというクラウドファンディングで資金集めを始めたパノラマ撮影カメラ Giroptic社360camが,長きにわたる開発と製造準備を経て,製品出荷にこぎ着けました。りん研究室にも届いた次第です。

 パノラマカメラというとリコー社のTHETAシリーズなどがすでに販売されています。Giroptic社が360camを公表した時点では全天周録画できる動画カメラとして360camは世界初でしたが,その後2014年11月にTHETA m15が動画をサポートし,2015年にTHETA Sが登場して今に至ります。

 登場は遅くなりましたが,Giroptic 360camは仕組み的に全天周動画をカメラ単体でリアルタイム生成するという特徴があり,記録データをスマートフォンやパソコンで処理する必要が無いというアドバンテージがあります。また,デザインやオプションにも魅力的なものがあり,2年待たせたことに各所から大きな不満が噴出していましたが,まだまだ期待されている製品です。

 とはいえ,値段は499ドルであり,試したいオプション品を合わせると安いものではありません(初期に投資をした人達はいくらか安く手に入れましたが)。また,2K動画や4K画像を撮影できると謳われていることから,iPhoneで撮影するほどの画質を期待する人も多いと思いますが,残念ながら,かなり期待を裏切られる画質と音質です。

 これは,一般的なデジタル写真の方があまりに素晴らしくなってしまったために見劣りするということもありますが,「リアルタイムで全天周撮影できる」という条件をかなり加味して,むしろ画質の比較はすべきでないと理解した方がよいです。逆に言うと,この程度の画質でありながらリアルタイムでほどほどのレベルの全天周映像を,この値段で撮影できるということにメリットを見出すしかありません。

 これはいずれ,全天周映像をリアルタイム配信できるようになった時にあらためて評価することにしましょう。

 さて,撮影できるデバイスが手に入るようになって,今度はそれをどこで公開するのかということが問題になります。

 こうした全天周(全周囲,全方位,全天球,パノラマ,360動画など,デバイスが撮影できる範囲の違いによって多少使い分けがあるようですが,Giroptic 360camは底面部分が死角になるタイプなので全天周という言い方が似合っているように思われます)の動画や画像のサポートに積極的なのは,意外にもFacebookです。

 Facebookは動画共有プラットフォームとしてのシェアの高さを誇るようになっていて,SNSとしての特徴をそこに置こうとしています。そのため,360動画/画像をアップロードすれば,それに対応した表示ができるような仕組みを早期に用意しました。iPhoneのライブフォトへの対応などもそうした動きの一環です。

 また,動画共有プラットフォームの老舗YouTubeももちろん360動画に対応しています。Giroptic社の用意しているPC/Mac用アプリはYouTube(とFacebook)へのアップロードに対応しています。ただ画像は難しいようです。

 日本の「ハコスコ」というスマホを組み合わせて360°動画を楽しむVRビューアを販売している会社が,同名の動画/画像共有サービスを提供しています。ただ画像は短い動画に変換されての公開となりますが…。

 ただいまFacebookを使えないので,ハコスコで画像を,YouTubeで動画を公開してみました。

 

ハコスコ〉再生してすぐ一時停止するとよいです。

 

 〈YouTube〉ブラウザによっては360対応で表示されない場合があります。

 

 ご覧のように動画の音声はかなりボリュームを上げないと聞こえないレベルですし,音質もよくありません。音質については,最初は欠陥品だろうかと考えましたが,もし仮に感度がよかった場合のことを考えると,近くで発生するノイズを拾い過ぎて逆に使えないのかも知れないとも思うようになっています。

 とはいえ,もう少し録音のクォリティを上げてもらいたいのも確か。それまでは音声に関しては別に記録して編集するのが一番よいようです。一方,ストリーミング配信できるEthernetアダプタには,外部音声入力の端子が用意されているので,それを使えば挽回できる可能性もあります。

【追記】

 Googleフォトにアップロードした360画像は,しばらくして「アシスタント」画面で「新しいパノラマ」として認識されるようで,ライブラリに保存をすれば360対応ビューアで共有できるようです。

 パノラマURL https://goo.gl/photos/ZesE4mPnEjZ3pU2y6 

 アマチュアレベルで手軽に360動画を作成して発信できるようになったことは,できるようになると珍しくもありませんが,過去からすれば凄い時代になったといえます。

 何に使うのかという活用アイデアは,これからいろいろ考えてみたいと思いますが,まずは楽しんでみることから始めてみたいと思います。