情報整理中

 「ICTのある学び」という別のブログサイトを立ち上げて,教育と情報関連の様々な情報を整理しストックする作業を見える化し始めています。

 あちこち精力的に動き回っている様子は見えているけれど,私からの論文や著作が出ていないではないかと思われていること承知しています。インプットばかりでアウトプットがないのはよくないこと理解しているつもりです。

 とはいえ,教育と情報の領域は急速に広大になったため,個別ばらばらの地図しか用意されていない状態が続いており,全体を見通す地図を作成する作業をまだこれから取り組まなければならないのが実状。

 私がやろうとしているのは,そんな広大な領域に散らばった地図や資料を集める作業であるとも言えます。残念ながらアウトプットするには,まだまだインプットが足りないというのが正直なところです。

 しかし残り時間的なことを考えると,手元の情報を整理し,少しずつでもアウトプットできる形に整える必要がありそうです。

 ご存知の通り,りんラボはひとり研究室ですので,教え子の手を借りることができません。シコシコと職人的に作業するとなると人生あともう一回必要なので,手のつけやすい事柄から見える化作業をすることにします。

 教育と情報の領域における様々な情報をとりあえず整理してみるには,図表の力を頼るのが一番簡単です。

 「ICTのある学び」では,いままでありそうでなかった一覧表や図解をいろいろ掲載していこうと思っています。硬軟取り混ぜて,これまで意外とまとめられてこなかった情報をストックしていきますのでご活用ください。

 こうやって見える化したものは,執筆作業中の電子書籍に盛り込んで,多少なりともアウトプットにつなげていきたいと考えています。

[FS] 20140210 沖縄県宮古島市立下地中学校公開研究会

 2014年2月10日に宮古島市立下地中学校にお邪魔してきました。総務省・フューチャースクール推進事業と文部科学省・学びのイノベーション事業の実証校として,最後の公開研究会が行なわれたからです。

 大変光栄なことに講演者として依頼を受けましたので,私自身にとってもフューチャースクール推進事業に関わる最後のお仕事として,これまでの活動を踏まえて考えたことをお話した次第です。

「ICTのある学校で学びを深める」

(後日更新)

師走の研究室内整理

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 今日は,本当に久し振りのNo授業,No会議,No出張の日でした。

 もう師走ですので、研究室内の掃除をしたいところです。しかし,掃除するにも文献資料が乱雑に積み上げられているため、まずは文献資料整理から始めなければなりません。

 この数年間は研究室内を放置したも同然だったので、上の写真でご覧いただけるような有り様です。奥に隠れているデスクへ移動するのも大変。

 ぼちぼちまとまった文章を書きたいので,とにかく執筆のための資料を文字通り掘り起こすべく,整理作業に着手しました。

 作業を始めると,辺り一面文献が散らばりますし,興味深い目ぼしい文献を見つけると読み始めたりもするので,10時間経過した状況は整理どころかむしろ渾沌。

 けれど,いままで自分が買い溜めてきた蔵書を見返すと,自分が何を考えてきていたのかリフレクションもできるので,こうした作業は無駄ではないと思います。

 何故にこんなに蔵書を抱え込んだのか。

 私自身に本を買うと安心するという悪い癖がないわけではないのですが,むしろ,いつか自分の研究室生を持った時に,彼/彼女らが資料探しで困らない環境を作りたいなと漠然と考えていたことが大きいと思います。

 図書館が整備された都会であれば図書探しもいくらか楽かも知れませんが,地方の都市だと図書館がそれほど充実していないところも少なくありません。それに教育と情報に関する分野の充実度もバラバラでしょう。

 できれば,りん研究室は文献資料の充実した場にしたいなと思ってきたのです。

 そんなわけで,こんなに散らかっているのですが,ちょっと文献の量に対して研究室が手狭なので困った事態になっているというのが正直なところ。

 そして残念ながら,未だ研究室生はいません。

 少し寂しくはありますが,もうしばらくは気楽な独り研究室です。  

THE WALL (リコー)

 株式会社リコーには「TAMAGO Lab.」というプロジェクトがあり,ビジネスに役立つ卵的なソリューションを生み出す活動をされています。

 主にモバイル端末用アプリの開発を通してアイデアの提案をされているのですが,その中には学校で使うにも面白そうなものがいくつかあるのです。

 たとえば会議資料の配付や回収の便利な「Smart Presenter」は,少人数での話し合いの場で資料配付するには手軽なアプリです。(本格利用の場合は別途サーバーソフトを購入することで350名までの会議ができます。)

 「Idea Card」というアプリは,個々の端末でデジタル付箋を作成して,司会者端末にどんどん共有していくことができるアプリです。班活動のときのアイデア出しに便利だと思います。

 他とは少し違うテイストのアイデアが盛り込まれたアプリを開発しているのがリコーの「TAMAGO Lab.」なのです。

 2013年11月に,新しい卵として「THE WALL」がリリースされました。

 これはWebとiPhoneアプリを組み合わせたWebベースのディスカッションツールです。Webブラウザ上に表示したホワイトボードは,ペンと消しゴムで自由に書き込むことができて,ページも増やすことができます。

 ページは小さなサムネイルで一覧できるだけでなく,サムネイルをドラッグ&ドロップしてページに貼り込むことも可能です。サムネイルはクリックするとページジャンプをするので,簡単なハイパーカード的作品を作ることもできるのです。

 基本機能はこれだけのシンプルなものです。工夫次第で複雑なハイパーリンクスライドを作ることもできるというわけです。

 しかし,このTHE WALLの肝はそこじゃありません。

 THE WALLに書き込まれたデータを保存したり,再度開いたりする方法がユニークで,他にはなくエレガントなのです。

 THE WALLのデータを保存する場所としては,ユーザーのGoogle Driveを指定するようになっています。Google Driveに保存できることは少しもユニークではありませんが,それは核心ではありません。重要なのは,どうやって個別のユーザーのGoogle Driveに保存させるかなのです(保存場所などは要望次第でDropboxやEvernoteにすることは技術的に不可能じゃありませんから)。

 THE WALLでは各ユーザーにiPhoneアプリをダウロードさせて,それぞれの端末上でGoogle Driveの利用承認の手続きを最初の一回だけ行ないます。あとはWeb画面にある保存ボタンを押して出てくるQRコードを使って,Web画面で作業したデータと各ユーザーのGoogle Driveを紐づけ,インターネット上で保存処理するように動かすのです。

 つまり保存は,画面の保存用QRコードをiPhoneアプリで読み取るだけ。  逆に開く場合も,画面の開く用QRコードをiPhoneアプリで読み取るだけ。

 QRコードを読み取るだけで,みんなで見ているパブリックなTHE WALLと,自分だけ閲覧できるプライベートなGoogle Driveとをデータが行き来するのです。しかもログイン手続を一切省いて(すでに承認済みだから)。

 電子黒板と生徒用の端末とをリンクするために電子黒板にQRコードを表示させて端末で読み取るという仕組みはすでにありましたが,Google Driveといったプライベートな領域をつなぐところまでは届いていませんでした。

 個人ストレージというプライベートな領域を,学校の電子黒板といったパブリックな領域と接合する方法も,ログイン手続きの煩雑さを考えると決して簡単なものではなかったわけですが,そこにiPhoneアプリを噛ませるというアイデアは実にエレガントです。

 この仕組みであれば,先生がTHE WALLに板書した内容は,各自がQRコードにiPhoneをかざすだけで各自のGoogle Driveに転送されるわけで,授業中に板書で忙しいために講義内容を聞き漏らすということも防げます。講義中は必要最低限のノートだけ取れば,板書はあとで保存できるからです。

 また,各自がTHE WALLを使って作成し,Google Driveに保存したデータを,教室の大画面に提示したい場合にも,各自のiPhoneでQRコードを読み取るだけで,自分のGoogle Driveから教室の大画面に転送されるため,先生が支援システムを操作したり,ファイルサーバから開いたりする手間が省けます。

 これはApple TVなどのAirPlay切り替えにも似ていますが,AirPlayと違ってQRコードを読み取るという物理的な行動が必要になるため切り替えミスを防ぐこともできます。

 THE WALLは,自由線と消しゴムとページ・サムネイルで作画するシンプルなHTML5ベースのディスカッションツールで,まだまだ進化する余地は大きいですが,iPhoneアプリを使った保存と開く操作のアイデアは他にはない素晴らしいアイデア機能です。

 自分一人で使う分には,iPhoneとQRコードを使う保存方法は回りくどいだけですが,それぞれプライベートな保存領域を持った者が関わりあう場で使うツールの保存方法としては理想的なやり方です。

 今後は,他のノートアプリと連携して使えるようオープンな形で発展して欲しいと思います。