[FS岡山] 20131031 岡山県新見市立哲西中学校公開授業

Untitled

 

 岡山県新見市立哲西中学校で公開授業がありましたので出席しました。フューチャースクール推進事業&学びのイノベーション事業の実証校の一つ。iPadを導入している学校としても知られます。ご縁をいただき,私が講演を担当させていただきました。

 公開授業は,1年生の国語,2年生の理科,3年生の社会,特別支援学級の取り組みでした。それぞれiPadを日常ツールとして活用した授業。

 国語では,「竹取物語」の作品を読むこと。仮名遣いや古語に触れて,意味を考え音読できるようにしようという授業でした。

 その際に,電子黒板に竹やぶの画像を画面いっぱい映し出し,暗くした教室でその竹やぶを覗き込むことで物語の臨場感を味わう工夫がなされていました。iPadはワークシートの配布と書き込みに利用。

 理科では,電流回路を学ぶために実験を行ない,それをiPadを使って記録し結果をまとめる活動をしました。哲西中での理科実験におけるiPad活用は学習スタイルとして確立されており,どんな単元でも安心して見られる授業の一つです。生徒たちも実験には迷ってもiPadでの作業に迷うことはほとんどありませんでした。

 社会では,「死刑制度」について多角的に考え議論するという重たいテーマの授業。アンケートシステムを授業前半と後半に使い,賛成か反対かを集計するのですが,調べて話しあった結果で意見がどのように変化したのか授業の成果が見えるような使い方です。

 もちろん調べ活動や個人の意見の見える化にはiPadと授業支援システムが活躍しており,シンプルではありましたが,本筋の議論を支える活用がなされていました。

 哲西中学校ではiPadとDropboxとPDFアノテーションアプリ(neu.Annotate+)を使い倒す形で,ICTを文具化していたと思います。生徒数が60名という規模の小ささもあるとは思いますが,ネットワーク接続もほとんど問題ない感じです。

 こうした公開授業のあとで各授業の検討会と全体協議会がありました。

 私からは本事業のおおまかな流れと,昨今の学習に対する考え方の変化についてお話をしました。特に協働学習と呼ばれているものを取り組み際に,単なるグループ活動(班活動)と何か違いがあるのかどうかを考える必要はあることを述べました。

 最近刊行された『ピア・ラーニング』という文献は,心理学研究の側から学びあいについて考えた有意義な書だとご紹介した次第です。

 その中でも引用されていますが,「協同学習の必要条件」として三宅なほみ先生が指摘されている「メンバーがゴールを共有すること」「一人ひとりが仮説をもつこと」「問題解決プロセスが外化され,その情報が共有されること」「多様な学習成果を統合的な考えとしてまとめていくこと」「「協議する文化」をつくること」を意識することは大事と思います。

 それに関わって,授業の終わり,学習の決着の付け方が慌てたものになっていないかどうかを問うことについてもお話ししました。

 せっかく協働学習活動を展開したとしても,授業時間終了だから,チャイムが鳴ってしまったから,その締めくくり方や次につなげていく指示の出し方が疎かになってしまうと,初戦授業での学習はそんな程度のものと受け止められてしまいます。

 ICTを導入することで,慣れないがゆえに時間配分通りに進まず,実のところ最後が尻切れトンボになってしまうという傾向が最初はどこでも見受けられます。こうした慣れない時期を早く脱することが求められるわけですが,それにはそれなりの時間がかかると私は考えています。

 また,これから求められる学習の在り方を受け止めるためにも,45分や50分授業という時間枠組みの方を問題とすべき時代がやって来たのではないかとも思います。

 今回の事業の目的には含まれていない問題や課題ではありますが,これからの教育を考えるためにも,授業の物理的な時間配分についても議論を深めて実行に移していかなくてはならないと考えます。

 哲西中学校の取り組みは,ICT活用において背伸びをするのではない活用のスタイル確立の重要さを感じさせてくれるものと受け止めています。

 もちろん先生方もICT支援員さん,そして新見市の情報課の方々も,陰ながら様々な可能性を試して,新しいものを取り込もうと努力されています。ただ,そうした新しい挑戦も,すでに固めたスタイルがあるからこそ安心して取り組めるわけで,そのブレない安定感が哲西中学校らしさのように思います。  

[FS沖縄] 20131016 宮古島市立下地中学校公開授業研究発表会

Untitled

 フューチャースクールをめぐる旅で全国あちこちへお邪魔していますが,今回は人生で初めて足を踏み入れる沖縄という土地です。

 宮古島には小学校が20校,中学校が16校あり,高校は4校とされています(沖縄県発表の学校基本調査速報)。とはいえ,宮古島では学校統廃合の問題がずっと議論されており,少子化もあってこの数字は年々減少傾向にあるようですが,統廃合に対する反対もあります。

 実証校である下地中学校は,生徒数105名の小規模校ですが,宮古島全体の中学生の数が1800名程度ですので,島内で極端に少ない学校というわけではないと思います。学校は下地小学校や幼稚園・保育所とも隣接しており,寂しいという感じではありません。

 前日に宮古島に到着し島内を散策したのですが,夕方はあちこちで下校する児童や生徒の姿を見かけられましたし,中心地近くは学校も散見されたので,意外と子ども達が多いと印象を抱いたほどです。

 ただ,島には島なりの悩みもあるようで,子ども達には高校以降の進学先が島内に無いため,ほとんどの子が島外や県外に出て行くことになるそうです。そうした島特有のライフコースに対して学校教育がどう貢献すべきなのか。そうした問題意識の中でこの地域の教育が展開していることは押さえておくべきだと思いました。

 

Untitled

 

 公開授業は全クラス(4つ)が公開してくださいました。1年生の理科と社会,2年生の保健体育,3年生の英語でした。

 理科では,大地の変化を読取る単元で,ポーリングによる調査方法をゼラチンでつくったミニ地層とストローを使って模擬的に体験し,その結果をタブレット端末を使って撮影したりまとめる活動をしました。

 社会では,アジアの国々を知る単元で,タイの工業化についてデジタル教科書やインターネットのリソースを使った調べ学習の取り組み。

 保健体育では,傷害の防止のために必要なことを各班が手分けして調べ学習を行ない,その成果をコラボノートなどを活用してまとめあげる活動とプレゼンを行ないました。

 英語では,ビデオチャットを活用して各グループが異なる拠点の相手と英語でインタビューを粉得活動を展開していました。アメリカやインド,台湾などの人々を相手に英語で会話をし,最後はコミュニケーションの内容をまとめていました。

 いずれの授業もタブレット端末とデジタルのコンテンツ,インターネット等を学習の道具として手に馴染ませた活用をしていました。ビデオチャットのスカイプでは,海外によっては回線速度が厳しく音声のみという相手がいましたが,学校側の回線には十分余裕があり接続問題はほぼありませんでした。

 宮古島での教育方針が交流事業に力を入れているということもあり,インターネットで外部と簡単につなげられる道具が入ることは,そうした取り組みにもプラスに働いていることが分かりました。

 遠く沖縄に飛んで,その地域の空気に触れながらフュチャースクール推進事業の取り組みを見ていると,当然のことではありますが,同じようなICT機器を導入していてもその浸透の仕方は地域によって異なることが見えてきます。

 それぞれの地域に生きる私たちが今後の日本でどう生きていくのか。そのために何を学び,その学びのためにどんな環境条件や学習機会を提供できるのか。

 今回の実証事業を踏まえて考えなければならない事が山ほどあり,それは今後ずっと引き受けていかなければならないのだろうと改めて思います。  

20131008 学びのイノベーション事業・指導方法等WT

 文部科学省でお仕事。学びのイノベーション事業の指導方法等ワーキングチームの会議でした。台風近づく中で夜行バスでの出張。貧乏研究者だからね,削減できるところは削減してます。^_^;

 実証校の皆さんから提出いただいた実践事例をもとに,モデル化に繋げるための分類などをディスカッションしていました。

 一応,文部科学省の正式な検討会なので,事務方担当者の皆さんも周りを固めて,議事の記録も行なわれているわけですが,気がつくと,考えたことや思いつきを呟いたり口走ったりと自由気ままに発言している自分がいて,終わってから大変申し訳ない気分になります。

 といっても,毎度直りませんけれど…。

 私たちの目標は,「教育の情報化ビジョン」パンフレットで示された学びの姿を学校の先生方に理解してもらい実践に繋げてもらえるようなガイドの作成になります。

 またガイドですか…とうんざりする皆さんの気持ちは分からないでもありませんが,私たちがお引き受けした仕事はそういうベタな部分の仕事なので,ベタはベタなりに積み上げなければなりません。

 もちろんイノベーションの名前を意識しながら議論を進めていますが,お察しの通り,国レベルで進めているものが破壊的な性格を持つことは極めて難しいわけで,その辺を少しでもイノベーションっぽく傾かせるにはどうするか,制約の中で作業しています。

 そういう意味では,イノベーションは地方からという誰かの言は当たっているのだと思います。皆さんに近いところに変革の糸口はあるということです。

 会議は延長戦に突入し,その日は3時間40分という長さに。  宿題もたくさんもらって,会議は終わりました。

出張の季節

 今年はもう少し閉じこもるのかなと思っていたのですが,まだ中学・特別支援学校分のフューチャースクール推進事業や学びのイノベーション事業が走っていることもあって,また出張の多い秋を迎えることになりました。  学会が終わってから,授業スケジュールのやり繰りと出張手続き(一ヶ月前くらいからしか受け付けてくれないので…)など処理してバタバタしていました。

 2013年10月3日には,北海道の学校からお客様を迎え,足代小学校にご案内をしてきました。同じ実証校として苦楽を共にしてきた相手ですので,できる限りのおもてなしと視察のお手伝いをしたつもりです。

 さて,いよいよ今夜から夜行バスで東京出張。それを皮切りに沖縄,仙台,岡山,来月は北海道にもお邪魔します。北から南まで,嬉しいような,仕事絡みで複雑なような。  

20130802 学びのイノベーション事業 実証校説明会

 文部科学省で,学びのイノベーション事業の実証校に対する説明会がありました。小学校と中学校から先生方が集まってくださり,今後報告して欲しい事柄について,具体的な内容を知っていただいた次第です。

 私が関わっているのは,指導方法等に関する検討のお仕事。

 指導方法を検討するためには,実証校から様々な事例をご報告いただいて,それをもとにモデルの検討や指導方法の参考資料の作成をしなければなりません。

 そのための事例づくりに必要な情報や方針について伝えるため文部科学省にて説明会を開いたわけです。

 多くの皆さんには,作業の末に出来上がったものがお披露目されるとき,こんな取り組みが行なわれていたことが伝わるのかなと思います。出来上がったものだけ見せられても,誰かが勝手に考えてつくったんでしょ!と軽く一蹴されてしまうのかも知れませんが,実証校の先生方に過大なご協力をいただいて作り上げていくものなので,ぜひともその苦労についても思いを巡らしていただければと思います。

 お仕事はお仕事で進んでいってしまうのですが,この取り組みには一つ大きな問題が横たわっています。

 文部科学省が「指導方法」を関わる話に口出しして良いのか?という問題です。

 教育内容に関しては学習指導要領の存在から分かるように,文部科学省にその決定権限が与えられています。いまのところ日本の教育制度は教育内容について縛りがあるのです。

 しかし,その代わり教育方法や指導方法については,授業者の裁量とされています。何を教えるのかは国が口出ししますが,それをどのように教えるかは児童生徒に直接対峙する教師に権限がゆだねられているのです。

 ゆえに,文部科学省として,これが新しい時代の指導方法ですと提示することは,あくまでも試案のような位置づけになります。

 新しい時代に向けて教え方にも変化は必要だけど,それを取り入れるか入れないかはひとえに教師次第となるわけです。それだけに試案が魅力的でなければならないわけで,こちらとしても気が引き締まります。

 正直なところ,出来上がるものが皆さんのお役に立つのかどうか,作ることに関係する立場になったにも関わらず不安なのですが,少しでも新しい学校教育のイメージが伝えられるものが出来上がるよう,可能な範囲で頑張りたいと思います。