[FS沖縄] 20131016 宮古島市立下地中学校公開授業研究発表会

Untitled

 フューチャースクールをめぐる旅で全国あちこちへお邪魔していますが,今回は人生で初めて足を踏み入れる沖縄という土地です。

 宮古島には小学校が20校,中学校が16校あり,高校は4校とされています(沖縄県発表の学校基本調査速報)。とはいえ,宮古島では学校統廃合の問題がずっと議論されており,少子化もあってこの数字は年々減少傾向にあるようですが,統廃合に対する反対もあります。

 実証校である下地中学校は,生徒数105名の小規模校ですが,宮古島全体の中学生の数が1800名程度ですので,島内で極端に少ない学校というわけではないと思います。学校は下地小学校や幼稚園・保育所とも隣接しており,寂しいという感じではありません。

 前日に宮古島に到着し島内を散策したのですが,夕方はあちこちで下校する児童や生徒の姿を見かけられましたし,中心地近くは学校も散見されたので,意外と子ども達が多いと印象を抱いたほどです。

 ただ,島には島なりの悩みもあるようで,子ども達には高校以降の進学先が島内に無いため,ほとんどの子が島外や県外に出て行くことになるそうです。そうした島特有のライフコースに対して学校教育がどう貢献すべきなのか。そうした問題意識の中でこの地域の教育が展開していることは押さえておくべきだと思いました。

 

Untitled

 

 公開授業は全クラス(4つ)が公開してくださいました。1年生の理科と社会,2年生の保健体育,3年生の英語でした。

 理科では,大地の変化を読取る単元で,ポーリングによる調査方法をゼラチンでつくったミニ地層とストローを使って模擬的に体験し,その結果をタブレット端末を使って撮影したりまとめる活動をしました。

 社会では,アジアの国々を知る単元で,タイの工業化についてデジタル教科書やインターネットのリソースを使った調べ学習の取り組み。

 保健体育では,傷害の防止のために必要なことを各班が手分けして調べ学習を行ない,その成果をコラボノートなどを活用してまとめあげる活動とプレゼンを行ないました。

 英語では,ビデオチャットを活用して各グループが異なる拠点の相手と英語でインタビューを粉得活動を展開していました。アメリカやインド,台湾などの人々を相手に英語で会話をし,最後はコミュニケーションの内容をまとめていました。

 いずれの授業もタブレット端末とデジタルのコンテンツ,インターネット等を学習の道具として手に馴染ませた活用をしていました。ビデオチャットのスカイプでは,海外によっては回線速度が厳しく音声のみという相手がいましたが,学校側の回線には十分余裕があり接続問題はほぼありませんでした。

 宮古島での教育方針が交流事業に力を入れているということもあり,インターネットで外部と簡単につなげられる道具が入ることは,そうした取り組みにもプラスに働いていることが分かりました。

 遠く沖縄に飛んで,その地域の空気に触れながらフュチャースクール推進事業の取り組みを見ていると,当然のことではありますが,同じようなICT機器を導入していてもその浸透の仕方は地域によって異なることが見えてきます。

 それぞれの地域に生きる私たちが今後の日本でどう生きていくのか。そのために何を学び,その学びのためにどんな環境条件や学習機会を提供できるのか。

 今回の実証事業を踏まえて考えなければならない事が山ほどあり,それは今後ずっと引き受けていかなければならないのだろうと改めて思います。  

20131008 学びのイノベーション事業・指導方法等WT

 文部科学省でお仕事。学びのイノベーション事業の指導方法等ワーキングチームの会議でした。台風近づく中で夜行バスでの出張。貧乏研究者だからね,削減できるところは削減してます。^_^;

 実証校の皆さんから提出いただいた実践事例をもとに,モデル化に繋げるための分類などをディスカッションしていました。

 一応,文部科学省の正式な検討会なので,事務方担当者の皆さんも周りを固めて,議事の記録も行なわれているわけですが,気がつくと,考えたことや思いつきを呟いたり口走ったりと自由気ままに発言している自分がいて,終わってから大変申し訳ない気分になります。

 といっても,毎度直りませんけれど…。

 私たちの目標は,「教育の情報化ビジョン」パンフレットで示された学びの姿を学校の先生方に理解してもらい実践に繋げてもらえるようなガイドの作成になります。

 またガイドですか…とうんざりする皆さんの気持ちは分からないでもありませんが,私たちがお引き受けした仕事はそういうベタな部分の仕事なので,ベタはベタなりに積み上げなければなりません。

 もちろんイノベーションの名前を意識しながら議論を進めていますが,お察しの通り,国レベルで進めているものが破壊的な性格を持つことは極めて難しいわけで,その辺を少しでもイノベーションっぽく傾かせるにはどうするか,制約の中で作業しています。

 そういう意味では,イノベーションは地方からという誰かの言は当たっているのだと思います。皆さんに近いところに変革の糸口はあるということです。

 会議は延長戦に突入し,その日は3時間40分という長さに。  宿題もたくさんもらって,会議は終わりました。

20130802 学びのイノベーション事業 実証校説明会

 文部科学省で,学びのイノベーション事業の実証校に対する説明会がありました。小学校と中学校から先生方が集まってくださり,今後報告して欲しい事柄について,具体的な内容を知っていただいた次第です。

 私が関わっているのは,指導方法等に関する検討のお仕事。

 指導方法を検討するためには,実証校から様々な事例をご報告いただいて,それをもとにモデルの検討や指導方法の参考資料の作成をしなければなりません。

 そのための事例づくりに必要な情報や方針について伝えるため文部科学省にて説明会を開いたわけです。

 多くの皆さんには,作業の末に出来上がったものがお披露目されるとき,こんな取り組みが行なわれていたことが伝わるのかなと思います。出来上がったものだけ見せられても,誰かが勝手に考えてつくったんでしょ!と軽く一蹴されてしまうのかも知れませんが,実証校の先生方に過大なご協力をいただいて作り上げていくものなので,ぜひともその苦労についても思いを巡らしていただければと思います。

 お仕事はお仕事で進んでいってしまうのですが,この取り組みには一つ大きな問題が横たわっています。

 文部科学省が「指導方法」を関わる話に口出しして良いのか?という問題です。

 教育内容に関しては学習指導要領の存在から分かるように,文部科学省にその決定権限が与えられています。いまのところ日本の教育制度は教育内容について縛りがあるのです。

 しかし,その代わり教育方法や指導方法については,授業者の裁量とされています。何を教えるのかは国が口出ししますが,それをどのように教えるかは児童生徒に直接対峙する教師に権限がゆだねられているのです。

 ゆえに,文部科学省として,これが新しい時代の指導方法ですと提示することは,あくまでも試案のような位置づけになります。

 新しい時代に向けて教え方にも変化は必要だけど,それを取り入れるか入れないかはひとえに教師次第となるわけです。それだけに試案が魅力的でなければならないわけで,こちらとしても気が引き締まります。

 正直なところ,出来上がるものが皆さんのお役に立つのかどうか,作ることに関係する立場になったにも関わらず不安なのですが,少しでも新しい学校教育のイメージが伝えられるものが出来上がるよう,可能な範囲で頑張りたいと思います。

20130604 学びのイノベーション推進協議会 小中学校WG

 今年度も文部科学省でワーキングチーム(WT)のアルバイトをすることになりました。昨年度の好き勝手な仕事ぶりでもう声はかからないと思っていたのですが、どうも最後まで付き合えということらしく、そうだとすれば断る理由もないので引き受けました。

 WTは、小中学校ワーキンググループ(WG)の下部なので,わりと実作業に近いところで議論ができるというのが特徴です。裏方仕事ラブな私にとって、お口チャックして鎮座しなければならない会議と違い、WT構成員は好きなお仕事といえそうです。他の構成員の皆様がしっかりした方なので,気楽というのもあります。
 先日ようやく平成25年度予算が成立したので,省庁で先延ばしになっていた諸々の事項もやっと始まり、会議も始動したというところです。
 久し振りの会議なので,予定を調整して文部科学省に出かけることにしました。

 最初、てっきりWT会議だと思って、気楽な調子で文部科学省に赴いたのですが、会議の会場について、会場が少し大きいのと、厚い資料にびっくり。
 「おお、久し振りだから、ちょっと拡大バージョン?」
 とか、新年度だからメンバーの入れ替えなんかもあるのかなぁとか、勝手に納得して、分厚い会議資料に目を通し始めたら、会議の名前が思っていたものと違うことに気がつきます。「ん?ワーキンググループ…ワーキングチームじゃない?」
 やがて会議が始まって、自分が一個上のワーキンググループの会議に出席していることが判明します。え〜っ、だからこんなに省内からの傍聴者が多いのね、っていうか、なんで私がここに座ってるのだ?あ〜びっくりびっくり。

 あとで依頼書類を見直したら、確かにWG委員として依頼を受けていました。
 昨年に引き続きWTのお仕事もするみたいだけど、会議で鎮座する仕事もおまけでついてきていたとは。ああ、結局、鎮座せずに好き勝手に質問してましたけど…。

 いずれにしても、来週行なわれる学びのイノベーション推進協議会という親会に報告する内容について情報共有が行なわれて、しばらくすればWebに資料が公開される予定です。あれ?昨年度の学びのイノベーション推進協議会ってWebページがなかったような気もするのですが…。たぶん今年度は公開されるんじゃないかな…たぶん ^_^;
 

[FS京都] 20130215 京都市立桃陽総合支援学校公開授業

20130215_kyoto.jpg
 フューチャースクール推進事業における2つの特別支援の実証校は富山県と京都府にあります。今回は、京都市立桃陽総合支援学校の公開授業に参加してきました。
 桃陽総合支援学校には、本校と5つの分教室で成り立つ支援学校です。従来までは、距離的な問題から、この6つの拠点が一つの学校として動く機会はほとんどなかったそうです。そうした環境条件にICT機器とネットワークがもたらされました。
 この6つの拠点をネットワークで結ぶことで、共に学習し、学校生活を共有する機会をもつことができるようになったといいます。異なる場所にいる先生と児童生徒達が映像や文字などで活動を共にする。もちろん全ての時間がそうなるわけではありませんが、これまで限りなくゼロだったことを考えれば、ようやくこの学校の6つの拠点に一つの学校として共同意識が芽生えたことは素晴らしい変化ではないかと思います。
 こうしたICT機器環境を病院内の分教室に構築することだけでも大きな障壁が待ちかまえていそうですが、京都市や教育委員会の強力なバックアップと病院側の理解、そして環境構築にかかわる業者の丁寧な仕事によって、分教室にも無線LAN環境を構築できたのは注目すべきことです。
 さらに、遠隔の授業や活動のためのシステム開発にも果敢に挑戦されており、その成果が期待されています。
 今後は、そのような環境における指導のあり方や学習のあり方などについて研究が一層進むことが期待されています。