20181204_Tue

研究室は文献資料の山。

研究室環境の改善は恒常的な課題であるが,入口に積まれた段ボールに入っている文献を箱から出して,少しでも段ボールを減らすのは喫緊の課題だ。箱の中では死蔵に等しい。

それで,ただでさえ持ち込み書棚の数が多くて呆れられているところに,もう一本,スチール書棚を追加することにした。これで16本目。設置ついでに室内の他の箇所も整理した。

おかげさまでいくつかの段ボールは消えて,さらにいくつかの資料を処分する決断をした。箱で眠っていた文献資料が顔を出したので今後は手に取るのが容易になる。研究室の入口付近は,多少なりともスペースが拡大し,それなりに書棚の導入効果は出たと思う。

とはいえ,完全にスッキリしたというわけでもなく,焼け石に水だったと言えなくもなく,様子を写した写真を見た人からは「火に油」とこれまた適確なツッコミを頂いた。資料集めが途切れない以上,このわずかに生まれた余裕も年度末には埋まっているのかも知れない。

20181127_Tue

Amazonプライムビデオに『ウエストワールド シーズン2(字幕版)』が追加された。

シーズン1を見てアンソニー・ホプキンスの名演とともに作品として気に入ったので、続編も期待して一気見してしまった。

目まぐるしい場面切り替えの映像構成手法は前シリーズに負けず劣らずといったところ。物語に入りきらないと、それだけで脱落してしまうかも知れない。

せっかくの脚本を味わうにはネタバレとの接触は極力避けた方がいいが、哲学的な要素を中心に据えた物語になっているので、SF作品につきものの技術的な飛躍や有り得なさみたいなものはあまり気にしないで見ることをお勧めしたい。

出来映えは、続編として及第点か。シリーズ1の世界観の続きを楽しめる人は「そうきたかぁ」と言えるが、それにしても要素が多くて大変だし、新鮮さが薄れている部分もあるので、人によって評価は分かれそう。私は好きだけれども。

シリーズ3の製作が決定されたようだが、さてどうなりますか。

20181120_Tue

授業と会議。

卒業研究には,「教育玩具」をテーマとしたWebサイトを構築するというものもある。サイト自体はこれから構築作業をするのだが,事前調査は進めてきており,その歴史的な流れについて調べてもらっているところである。

教育玩具の近代』(世織書房)は,教育玩具に関する数少ない文献の中の貴重な一冊だが,日本において「教育玩具」がどのように生まれ受容されてきたかをまとめている。そこには明治期における内外の博覧会への出品に関わって展開する,幼児教育にとって意義ある玩具を具現化しようとした試みと失敗,ビジネスチャンスを生み出した商才とそこへの便乗,そして教育関係者による玩具の改善といった歴史がある。

そのような歴史の中の,教育博物館(現在の国立科学博物館)の存在や,百貨店の三越による児童博覧会や児童用品研究会の設置は興味深い。(時間差を伴いながらも)産官学の連携が教育玩具の世界でも成立していたということだろうか。

個人的には高島平三郎が作成した「年齢別の発達段階に適応した玩具分類表」や関寛之が作成した「玩具の科学的な分類表」を機会があれば探して見てみたいなと思う。

この本の後半は幼稚園教育と教育玩具としての積木を軸に論じられていて,これはこれで担当している授業にも関わるので興味深い。フレーベルの「恩物」が外来玩具として持ち込まれ,日本の幼稚園教育の形成とともにどう受け止められたのか。またじっくり読んでみたい。

20181113_Tue

調べもの作業と授業と会議と卒研指導。

Universal Design for Learning(UDL)について情報を整理していた。講話をしに行く小学校の研究課題がユニバーサルデザイン(UD)だというので,以前関心があって手にしていた海外のUDL文献を復習したり,最近の動向について確認していた。

ただ,その学校や日本で取り組んでいる人の多くは,授業のユニバーサルデザイン(授業UD)を考えているようなので,同じUDといっても,その方向性は異なっている。その辺をざっくりと整理するような話にして,ICT活用の関わりをご紹介しようと思っている。

卒業研究のWebアプリ開発は地道に。

図形描画をするためにHTMLのcanvas要素とJavaScriptによるグラフィック描画について作業をしている。JavaScriptでベクター描画をするためにはグラフィックコンテキストといった考え方を使えるようにならないといけないが,これを感得するのはなかなか難しい。命令の順序などを試行錯誤しながら,描画の手続きがどう流れていくのかを確認してもらった。

講話に使用するスライド作成で夜中まで。

20181106_Tue

議論や対話の場を仕掛けるのは難しい。

特に東京にいる人たちがやろうとすると,私が皮肉めいて表現する「東京ローカル」な結果になりやすい。集うにはいい都市ではあるが,それが返って,集いやすい人たちの内輪事と映りやすくなる場所でもある。

教育劣位社会』(岩波書店2016)は,教育政策と教育世論の実相について意識調査結果をもとに議論を展開している。日本においては,医療や介護といった社会保障世論に比して,特に高等教育などの教育世論の優先順位が劣位にあるというのが調査結果の明示するところだという。

そうした教育世論に影響するものとは何か。

「優先して税金を投入すべき領域」等の意識を調査するにあたり,質問テーマに関する情報提供によってどれくらい意識変化に影響するかを分析したところ,ほとんど影響がなかったことが判明する。しかし,分析を進めると,テーマが自らに関係したり,リスクが及ぶことがわかると意見に変化がみられる場合もあったという。日本人の世論に影響を与えるものは「当事者性」ということになり,こうした特性が根強いようだ。

この一説を援用したとき,ここでいう「東京ローカル」な状況が,その外側の人々の当事者性を駆動できていない可能性は十分考えられ得る。場合によっては,冷めた目を増長しさえするのではないか。そうした難しさがあることも覚悟が必要だと思う。

教育に関する情報提供が世論の意見変化に影響しづらいという指摘は,議論や対話によって教育に関する情報への認知を高めることが大事だと考えている私のような人間にはショックな話である。

しかし,議論や対話を通して当事者性を喚起しながら巻き込むことには可能性が見えるわけで,そうしたことを実現するため丁寧にアレンジしていくことが大事なのだということは,経験的にも納得いくことである。

教育と歴史研究の資料整理に助っ人登場。

内定が決まって余裕のできた4年生でExcelの勉強がしたいという学生に,データ入力のアルバイトをお願いしたところ快く引き受けてくれた。「NEW教育とマイコン」誌の目次情報を電子化する作業が一歩前進。

頼み下手な私にしては珍しい出来事である。