Scratch用スライド教材作成部品ファイル

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Keynote for iCloud上の 「Scratch用スライド教材作成用部品ファイル

上記リンクで閲覧とダウンロードが可能です。

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今年は12月7日から13日まで「コンピュータサイエンス教育週間」とされています。

プログラミングだけというわけではないでしょうが,この期間に合わせて米国を始めとしたプログラミング教育推進団体が世界で活発にイベントなどを開催しています。(参考記事「世界的なプログラミング教育推進運動「Hour of Code」、日本に本格上陸」CNET)

私も授業の中でScratchを紹介して,学生たちにプログラミングを体験してもらっています(Scratchを学ぼう)。

最近は参考図書も増えてきているので有り難いのですが,授業で自分なりの解説をしたり,自作のプリント教材を用意しようとすると,Scratchの画面を映し出して指し示したり,画面キャプチャしてブロック等を印刷するといった手間がかかります。

というわけで,自前でスライド教材を作成するためにScratchの画面要素を部品にしてファイルの中にまとめ始めました。これを使えばスライドでもプリントでも部品を組み合わせて例示するのに便利です。

もともとはScratchの財産ですので,皆さんにも自由に使ってもらえたらと思います。まだ細部を作り込んでいないので,改変しやすさは足りないですが,代表的なブロックを紹介したり,組み合わせを示すことには使えると思います。

ファイル形式はApple社のKeynoteファイルです。容量は大きいですが,拡大縮小が奇麗にできるのでこの形式を好んで使っています。Keynote for iCloudからはPowePoint形式でもダウンロードできます。

Scratch 1.4 スキン変更のための作業メモ

Scratch 1.4のスキンを変更するために必要なことを記録していきます。私の作業環境がMacなので,このメモの記載は基本的にMac OS X上のものになります。Windowsの場合は適宜読み替えてください。

[準備するもの]

・「Scratch1.4」「ScratchSource1.4.zip」と「Scratch UI “Skin”(ScratchSkin1.4.zip)」をダウンロード

→ Scratch 1.4(本体) Scratch 1.4 Source Code (ソースコード)のページ

・グラフィックソフト(gifやpngが編集できるもの)

作業に取り掛かるにあたって準備するものはそれほど多くありません。もともとScratchを動作させるパソコン環境があれば,グラフィックソフトを選択入手するのをどうするか悩むくらいで難しくはありません。

グラフィックソフトはgifファイルとpngファイルを編集できるものであればよいと思います。私はFireworks CS6を所有していたので,これを使います。

[ファイルの準備]

Scratch files

参考

ScratchSkinフォルダの内容

[作業手順について]

・作業の基本は,ScratchSkinフォルダの中にある画像素材を編集します。

・画像素材は「9スライス」あるいは「9パッチ」という形式で作られています。(具体的な形式は調べ中)

・gifファイルとpngファイルがあります。(どちらでもいいのかどうかは調べ中)

・編集した画像素材を読み込ませて,実際の表示結果を確認するという手順を取ります。

・しかし,Scratchのブロックの形や色は,画像素材の編集という方法では改変できません。

・また,この一連の作業は,一般的なソフトウェアを改変するのとは仕組みがかなり異なります。

・Scratchが動いているのはSqueakと呼ばれる仮想環境の上で,パソコンの上で直接動いていないからです。

・Scratchを直接動かしているのがパソコンでない以上,それを直接動かしているSqueakというものを操作する必要があります。

・Squeakは,Scratchを動かしているときに隠れて動いてくれている土台システム,つまりOSです。

・Scratchをそのまま起動するとSqueakが隠れたままで,編集した画像素材を読み込ませるとか,表示結果を確認するということが操作できません。

・そこで,ファイルの準備で用意した「ScratchSourceCode1.4.image」を使います。

・「ScratchSourceCode1.4.image」をScratch本体「Scratch.app」(Macの場合)にドラッグアンドドロップします。

・するとSqueakというシステムの中でScratchが中途半端な大きさで表示されて動きます。

・これで作業が始められます。

[Squeak環境の中のScratchの操作方法]

Scratch 1.4のスキンを変えよう計画発動

(関連記事「Scratch 1.4 スキン変更のための作業メモ」)

以下,長い前振り…

ブロックを組み合わせる操作でプログラミングできる「Scratch」というプログラミング環境が,プログラミング教育に対する興味関心と連動して,注目を集めています。昨今では参考図書も新たに刊行されて,夏休みには各地でプログラミングを活動に取り入れたワークショップが開催されました。

プログラミング言語というのは,コンピュータに対して命令するために使われるもので,それは英単語や記号を組み合わせたようなものが多いので,コンピュータの世界だけで使う特殊な「言語」と考えて,そう呼ばれるわけです。

ただ,Scratchでのプログラミングは,命令のための言葉を部品のようにブロックとして用意し,それを視覚的に組み立てることによってプログラムが書けるようにしたものです。なのでScratchをプログラミングの「言語」だと呼ぶのは少し足りなくて,言語をブロックのごとく扱える開発「環境」とか開発「ソフトウェア」だと考えた方がより実際に近いのではないかと思います。

というわけで,Scratchというプログラミングの環境が注目されている…というわけです。

Scratchも歴史を積み重ねてバージョンアップされてきました。

たとえば『小学生からはじめる わくわくプログラミング』(日経BP)の表紙を見てみると「Scratch 1.4 / 2.0 両対応」という文字が見えます。少なくともバージョン1.4と2.0の2つがあるということがわかります。

同じ著者の最新刊『Scratchではじめよう!プログラミング入門』(日経BP)の表紙には「Scratch 2.0対応」とあるので,「はは〜ん,もう新しいバージョンの時代だな」と想像してしまうかも知れません。

Scratchの「1.4」と「2.0」は見た目のデザインが変わりましたが,それ以上に,環境全体がパソコンで動くものからWebサイトで動くものへとお引っ越ししたので,土台部分が変わったという違いがあります。

1.4は,Scratchのソフトウェアをパソコンにダウンロードして使う形でした。わりといろんなパソコンに対応していたので困りはしませんでしたが,バージョンアップがあればいちいちダウンロードし直す必要もあったというのが弱点でしょうか。

2.0は,Webブラウザでインターネット上にあるScratch環境を利用できるように変わりました。Web上のゲームや動画で使われてきたFlash技術を利用して実現しています。これなら,いちいちダウンロードしなくてもWebブラウザでアクセスするだけで最新のScratchが使えますし,作品もその場でシェアできます。

こうしてみると1.4より2.0の新しい方が便利そうだと思うかも知れません。しかし,たとえがずれるかも知れませんが,田舎暮らしの善し悪し,都会暮らしの善し悪し,どちらも生活はできるけどそれぞれに長所短所があるのと似ていて,1.4と2.0にはそれぞれの長所短所があるのです。(参考リンク:What are the differences between Scratch 1.4 and 2.0?

Scratch 1.4はWebでは動かないけれど,パソコンなどで動かすためなら立派に現役です。

そして,1.4はソースコードが公開されているので,新たなパソコンに移植することもできます。その恩恵で実現したのがiPad用のプログラミングアプリ「ピョンキー」です。

ルール上,Scratchの名称やキャラクターをそのまま使えないので名前が変わっていますが,ピョンキーの中身は正真正銘 Scratch 1.4です。その証拠にパソコン用のScratch 1.4と画面デザインが同じです(多くの参考図書でも見ることができるおなじみのデザインです)。

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 というわけで,iPadでもScratch(ピョンキー)が使えるので,iPadファンとしてはめでたしめでたし。ということでもいいのですが,2.0の画面を見たことがある人たちからすれば,1.4の画面,…ちょっと古くさい感じがしなくないでしょうか。しかも他のiPadアプリと比べると,どうしても浮いちゃう感じがします(アイコンはフラットな感じでよいのにね)。

さて,いよいよ長い前振りが終わり,本題です。

iPadでもScratchを使いたい → Tickleなどの類似アプリ登場 → それはそれで楽しい…が,やはりScratchの財産を利用したいしコミュニティにも関わりたい → やった!(Scratch1.4ベースの)「ピョンキー」登場 → 結構しっかり動いていて,シェアされている作品(.sbファイル)も読み込める! → …が,う〜んiPadアプリにしては見た目がなぁ… → 「デザイン変えられないかな?」 → 「Scratch1.4のスキンファイルがあって見た目を変えられるよ」 → 「え?ほんと?」 → 「ファイルが300もあって大変だけどね」 → 「300頑張れば変わるならやるやる!」 → 関連するソースコードとスキンファイルをダウンロード → そして!…

というわけで,ピョンキーの見た目(スキン)を変えるには,もとになったScratch 1.4の見た目を変える必要があり,そのためのファイルが用意されているということをネットを通じて教えていただいたわけです。

もしも素敵なスキンができれば「次期ピョンキーに採用!」なんて夢も叶うかも知れません。

そうでなくても,つくり方がわかるようになれば,他の人たちがデザインしてくれるようになって,もっと素敵なデザインのスキンが出てくる可能性もあります。

その試行錯誤の記録を書き残していこうと思います。

(関連記事「Scratch 1.4 スキン変更のための作業メモ」)

Tickleが日本語対応

教育用プログラミング環境として注目を集める「Scratch」に触発されて生れたiPad・iPhone用プログラミング環境アプリ「Tickle」が2.0となり日本語にも対応しました。

Tickle – Sphero, Dash & Dot, Arduino, Drones, Ollie, Hue, Jumping Sumo, Robots, Smart Homes, Games, などプログラミングできる!

Scratchは,ブロック型プログラミング言語を使って画面中のキャラクターを簡単に動かしたり,環境を拡張することで電子部品の制御さえもできる幅広さを持っています。そのため,子供から大人までプログラミングに挑戦したい人たちの良い入門になっているようです。

もともとScratchは長らくパソコンの上で動かされてきました。昨今はWebベースになったりしていますが,タブレット端末向けとしての実績は始まったばかりです。そのため,なかなか登場しなかったScratchの代わりにScratchと似たような環境を作ろうという動きも出ていたのでした。

その一つが「Tickle」です。

“結果を楽しめる”プログラミング教育でないとだめ、Scratch由来のTickleがKickstarterに登場」(TechCrunch)

開発の経緯は上記のTechCrunch記事に詳しく書いてあります。この記事の当時はアプリ開発中で,現在のものとデザイン的に違っています(開発中は白基調だったものが,正式版は黒を基調としたデザインになっています)が,無事に完成してApp Storeで無償提供されています。

現在では,Scratchをタブレット向けに動作させた「ピョンキー」が登場し,従来のScratchで蓄積してきたノウハウや財産をiPadでも利用することができるようになっています。正統派のScratchをiPad上でも使用したい場合はピョンキーがお勧めです。

Tickleは初めからタブレット端末で使用することを前提として開発されたこともあり,操作性が良いことや,デザインがiPadアプリらしく奇麗であることなどが特徴です。そして,Bluetooth 4.0やWi-Fiなどの無線機能を使って,とても簡単にスマート玩具と接続して,それらを制御することができるというメリットがあります。

また,同じくワイヤレス(無線)で電子ボードArduinoの仲間である「LightBlue Bean」を制御する機能も搭載していますから,このボードが日本でも使えるようになれば電子工作の世界にもちょっとした新風が吹くかも知れません。

Tickle 2.0からは,日本語対応だけでなくiPhoneで動作するようにもなり,スマート玩具と手持ちのiPhoneをさっと繋げて遊んだりすることができます。まさにモバイル時代に合ったプログラミング環境としてこれから注目されそうです。

りん研究室は,Tickleの日本語対応について翻訳などお手伝いしました。

「Scratch」に集まる注目と「Tickle」

文字によるプログラミングの敷居の高さを回避して,処理の命令をブロックのように描いたビジュアル・プログラミング言語(ブロック型プログラミング)というものがあります。

これが,子供たち向けにプログラミングを教えることの重要性を訴える昨今の声とともに注目を集めています。現在最も有名なのが「Scratch」というビジュアル・プログラミング言語です。

2006年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボで開発され,世界中の言葉に翻訳されて利用されています。2015年8月12日〜15日にアムステルダムでScratchコンファレンス2015が開催されています。

教育を考えて生み出されたプログラミング言語には,BASIC(1964)やLogo(1967)などがあり,その後のLogoBlocks(1996)というグラフィカル・プログラミング言語の試みや,プログラミング環境であるSqueak(1996)に含まれたEtoysの存在に影響を受ける形で,Scratchが開発されることになります。また,『作ることで学ぶ』(オライリー2015)には,この辺の教育向けプログラミング言語と絡む「メイカーズ」と呼ばれる動きに至るまでの歴史の概略が記載されていますので関心があればこの本を読んでみてはどうでしょうか。

こうした教育的な取り組みと,2008年に解禁されたiPhoneアプリ開発によるゴールドラッシュ,カードサイズの安価なワンボードコンピュータ「Raspberry Pi」やドローンと呼ばれるマルチ・コプターの登場,家電を始めとした日常生活の中の物がインターネットを介して繋がり合うことで可能性を広げるInternet of Things(IoT)の分野がビジネス的にも注目を集めていることが,昨今のプログラミング教育や電子工作への注目に繋がっていると考えられます。

Scratchは,自分で作ったキャラクターに命令ブロックなどを組み合わせて動きを付けることによって作品を作り上げていくプログラミング環境です。見た目ブロックで取っ付きやすそうですが,本格的なプログラミング言語と変わらないため複雑な作品を作ることもできます。そうした柔軟性が人気となって,この夏も様々なワークショップやイベントでScratchによる表現作品づくりが盛んです。

Scratchを使ったプログラミング教育への関心の高まりは,ご時世的に「IT人材の育成」といった課題から来ているものも少なくありませんが,文化的な観点からすれば,日常生活に深く入り込むに至った表現手段(コンピューティング)を使って自己表現や感情表現していくことを,ごくごく当り前にできる世界を目指したいという思いが大きくなっているからです。

Scratchというビジュアルプログラミング言語は,万能選手ではありませんが,そのひとつの有力なツールとして,普及し始めているということになります。

ところで,Scratchの周りには,ブロック型プログラミングという特徴が似ている別のプログラミング環境があります。思いつくものの名前を列挙すると,Snap!BlocklyHOPSCOTCHSctatchJrPyonkeeTickleプログラミン前田ブロックコロコロ工作ブロック)などです。Scratchと系統を同じにするものもありますし,かなり異なるものもあります。

Scratchは,現在の2.0はFlash技術を使って動いていたりするので,iPadでは,標準Webブラウザから直接利用することが出来ません。Flash対応ブラウザアプリを介して利用するか,Snap!を使うか,ScrachJSという実験的なサイトを利用するしかありません。あとはScratchの仲間として開発されたアプリを使う他ありません。

Scratchのバージョン1.4というものを移植したScratchアプリが「Pyonkee」ピョンキーです。名前こそ違いますが,中身は正真正銘のScratchなのです。iPadでビジュアルプログラミングする場合にはこれを活用する人が多いです。

最近,りん研究室が注目して関わっているのは,Scratchにインスパイアされて開発された「Tickle」というiPad向けのプログラミング環境アプリです。

こちらはScratchとは別に新たに作られたアプリで,キャラクターやデザインなどが違いますが,同じようにブロックプログラミングできるように進化中です。

なによりTickleが凄いのは,ドローンなどの実物の機器をプログラミングで動かせてしまうことです。ドローンといっても玩具サイズのミニドローンや,二輪ロボット,ボール型ロボットなど「スマート玩具」と呼ばれているものです。

こうしたものをBluetoothという通信で遠隔プログラミングして動かすことで,よりプログラミングという行為の醍醐味をスマート玩具などの動きという結果で味わうことが出来るというわけです。また同様に,Arduinoと呼ばれるマイコン回路をプログラミングしたり制御することが出来るので,電子工作の世界にも足を伸ばすことができそうです。

現時点では,日本で使える機器に制限があるため,謳われている全ての機器を入手して動かすことが出来ないというのが問題ですが,そうした課題を克服する中でScratchやTickleを使った実物プログラミング(フィジカル・プログラミング)の世界も拡がるかなと思います。