「教育クラウド活用と今後の展望」

岡山県教育センター主催のタブレット端末の授業活用研修講座に招かれました。公開授業の参観と講演を依頼された形です。

今回は教育センターにとって出張(サテライト)研修という扱いになるようで,岡山県立林野高等学校を会場として借りての開催でした。場所は岡山県美作市(みまさか市)。岡山三名湯のひとつ「湯郷温泉」があるところです。

岡山県立林野高等学校は,生徒数379名,教職員数64名という規模の普通科高校ですが,2年次生以降は「特進〈Ⅰ〉」「特進〈Ⅱ〉」「特進〈Ⅲ〉」「スポーツ探究」「地域創造」という5類型から選択して学びを深めていく特色を持っています。平成29年度後半には,生徒各自がChromebookを所有した上でアクティブ・ラーニングに取り組んでいて,タブレット端末研修にはうってつけの会場というわけです。

今回の研修対象は小中高・中等教育学校・特別支援学校の先生方。実際には中学校の先生方の参加が多かったそうです。先進的な取り組みの概要を聞いたり,実際にタブレット端末(Chromebook)操作体験し,活用している授業を参観しながら理解を深め,最後に私の話を聞くという構成でした。

お題の「教育クラウド活用と今後の展望」で話したこと。

徳島からやって来たので,徳島のことをお話することにしました。上勝町の「葉っぱビジネス」でタブレットを活用するおばあちゃんたちの話。神山町の「サテライトオフィス」でブロードバンド回線を利用した遠隔業務をしている人々の話。Society 5.0とか言われる前から行なわれていた取り組みの方が,わりと話としては伝わりやすいように思いました。

そして定番として,クラウド活用に至るまでの技術進歩の歴史をお話しながら,その特徴を1人マルチアカウント時代だとご紹介するあたりも,いろんなサービスやアプリの利用に伴って登録している情報を考えてもらうことで理解していただけたのではないかと思います。

デバイスの活用がすべてではないという観点で,最近あちこちで話題になる「タキソノミー」についても触れました。タキソノミーそのものというよりも,たとえばマーク・プレンスキー『ディジタルネイティヴのための近未来教室』(共立出版)で触れられている「動詞スキル」と「名詞ツール」といった考え方に表れた,(行動)目標を分解して動詞的に理解する捉え方について紹介しました。

あとは,実際に私自身がG Suite for Educationでどのようなどのような活用をしているかをご紹介してました。たとえば完全にクラウドで何でもやるというよりも,一歩手前のアナログ的な活用との組み合わせについてご紹介。たとえばスマホのカメラや書類スキャナーを使って,紙のワークシートも利用しながら情報をデジタル化する方法などです。

最近,サービスがリニューアルされた「Plickers」も実際にコードを配布して体験してもらいながらご紹介しました。児童生徒の1人1台環境がすぐに構築されないとしても,先生側のツール活用次第で面白いこともできるということをご紹介するためです。やってみたくなればしめたもの。

最後は「わかる」とは分かっているもの動詞が結びつくことであるという話と,さらに様々なものがデジタル化されていくことをご紹介しながら,まだまだこれからたくさんの失敗や試行錯誤を繰り返して,情報時代.デジタル時代の学校教育を積み上げていかなくてはなりませんねと締めました。

第8回教育ITソリューションEXPOでミニ講演

2017年5月17日〜19日に東京ビックサイトで「第8回教育ITソリューションEXPO」(通称EDIX)が開催されました。私が関心を寄せる教育と情報の分野における展示会としては規模の大きなものの一つなので,なるべく参加するようにしています。

この展示会は,もともと商業目的のものであり,企業や大口購買者が出展者と商談をするきっかけの場です。そのために,いろいろな製品やサービス等に関する最新情報が集まる場所になっているわけです。

私が参加する目的が商談でないのは明白ですから,最新情報の収集や関係者と再会する場として利用している感じです。今回も各社の動向や製品について知ったり,何人かの人たちと会って情報交換などできました。

ずっと来場者として通っていたEDIXでしたが,いつもお世話になっている方から仕事の依頼をいただいて企業ブースでミニ講演をすることになりました。依頼タイトルは「教育とICTにおけるクラウドの活用」でした。

クラウド利用といえば,アカウント登録が必須。今どきの大学生がどんなアカウントを所持しているのか,取り急ぎ調査した内容をご紹介した上で,私が職場で利用しているGSuite(Googleアカウント)をどのように授業で活用しているのかをご紹介していきました。

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私のミニ講演は,最終日の14:00と16:55の2回でしたが,初回はいつものごとくおしゃべりが過ぎたため,最後の2回目は完全に開き直って発表内容を大幅に端折り数分で終了。

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突然始まったのは延長戦講演。観衆は何が起こったかわからずハテナマーク多発(だったらしい)。

頼まれもしない「第8回EDIXに至るまでの教育ICTの苦難と課題」という企業ブースも関係ない展示会全体を相手取った講演をぶってみました。おそらく今回のEDIXで一番馬鹿馬鹿しい講演だったはずで,アンケートを配付していたコンパニオンさんたちさえ振り返り立ち見する前代未聞のトークでした。

私たちがなぜこの場所に出展し,講演し,来場し,アンケートを配付し,名刺を交換しているのか,その歴史的経緯を教育と情報の時系列図をもとにさかのぼってみようという大胆な企て。

まずは私たちが居る2017年に登場した「マストドン」のお話からスタートしたのも,この分野の講演としては初めてのことだと思います。日本で初めての教育関連マストドンを立ち上げた人間が直接話すんですから,最後まで残った皆さんは歴史的な講演に立ち合ったことになります(って大げさですが)。

EDIXの歴史を遡ると第1回が2010年に開催されたことが分かり,この年とはiPadが登場した年であったことが分かります。つまり,EDIXの始まりはタブレット端末への期待が膨張し始めた流れと重なっていたわけで,そのタブレット端末への期待値とEDIXの勢いとの相関を考えると味わい深いものがあるかも知れません。

話はさらにパソコン通信→インターネット→クラウドコンピューティング→ブロックチェーンという流れを遡り,教育と情報の取り組みが,それぞれの時代にどう企てられたのか,企てが失敗し続けたのかを概観するものとなりました。

そして,文部科学省の資料もぶった斬りながら,来場者である自治体や教育委員会は主体的に何を掴み取っていかなくてはならないのか,出展者は何を提供していかなくてはならないのか,そのことをもっと考えなくてはならないと投げ掛けてました。

今回のミニ講演なりの延長戦の落とし所はやはり「アカウント」。そして本来であればここからアカウントに関する更なる議論が展開するわけですが,さすがに講演時間も終わりになりそうだったので,お終いにしました。

他で登壇している先生方が真面目で役に立つお話をたくさんしてくださっているので,私は安心して講演を遊ぶことができたという感じです。きっと来年は呼ばれないだろうしね。

今回,ミニ講演の登壇者として遊ばせてくださったレノボ・ジャパンの皆様に感謝いたします。ノリをわかっていただけたMCとコンパニオンの皆様にも感謝いたします。

今回のスライドは,延長戦のためにいろいろ作り替えちゃったので,またゆっくり編集してから公開したいと思います。

徳島新聞紙面におじゃましました

恥ずかしながら徳島新聞の紙面にお邪魔しました。

テーマである「スマホを持つ児童増加」について話が聞きたいと連絡をいただいたので、記者の方を研究室にお招きして1〜2時間ほどおしゃべりをしていたという感じです。

小さく片隅に〈大学の先生のコメント〉として載るくらいかなと思っていたら、写真もデカデカと掲載されていて驚いてます。新聞取材を受ける以上、何書かれても怒らないようにしようと覚悟を決めていましたが、わりと穏当に言葉を紡いだくださったので、ホッとしているところ。

この手の話題で話し合える相手を滅多には捕まえられないので、この機会に記者さん相手に私があれもこれもと自由闊達にしゃべり倒していたのは皆様のご想像通り。その面白い部分はほとんど反映されていない感じもしますけれど、記者さんもあまりにたくさん話されてメモも膨大になり、だいぶ困りながら記事にしてくれたのだと思います。

掲載するときは連絡をくれるみたいな話だったんですが、結局、職場の人に言われて初めて掲載されたのを知りました。まぁ手離れがいいってのは嫌いじゃないので、まぁいいか。なかなか面白い経験でした。

 

Tokushimashinbun2017 04 25

出張の季節

 今年はもう少し閉じこもるのかなと思っていたのですが,まだ中学・特別支援学校分のフューチャースクール推進事業や学びのイノベーション事業が走っていることもあって,また出張の多い秋を迎えることになりました。  学会が終わってから,授業スケジュールのやり繰りと出張手続き(一ヶ月前くらいからしか受け付けてくれないので…)など処理してバタバタしていました。

 2013年10月3日には,北海道の学校からお客様を迎え,足代小学校にご案内をしてきました。同じ実証校として苦楽を共にしてきた相手ですので,できる限りのおもてなしと視察のお手伝いをしたつもりです。

 さて,いよいよ今夜から夜行バスで東京出張。それを皮切りに沖縄,仙台,岡山,来月は北海道にもお邪魔します。北から南まで,嬉しいような,仕事絡みで複雑なような。  

20130227 上勝中学校出前授業(最終回)

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 今年度は徳島県「デジタルコンテンツ出前講座実施事業」から依頼を受けて出前講師をしました。
 iPadを活用したデジタルコンテンツ制作を小中学生向けにレクチャーするというのが出前授業の内容です。たまにしか訪れない私からはiPadやアプリの使い方を紹介したり、作品のアドバイスをするくらいで,日頃の指導は先生方にお願いする形。
 今年度担当したのは、徳島県上勝町という町の小学校と中学校でした。
 上勝小学校では、Note Anytimeという無料ノートアプリを活用したチラシ、ポスター、新聞づくりをしました。
 上勝中学校では、iMovieという動画編集アプリを活用したPR動画づくりをしました。
 この日は、上勝中学校への出前授業の最終回。完成した動画作品を皆さんの前で披露する上映会でした。(徳島新聞「上勝の魅力を映像で紹介 地元中学生、タブレット使い制作」)
 初めての制作ではありましたが,それぞれのグループが試行錯誤しながら頑張って作った作品はユニークなものでした。