20181206_Thu

保育原理は引き続き保育所保育指針。

健康及び安全に関する第3章の構成を中心に見ていった。指針自体は端的な文書で,「見ておいて」で済ませてもよさそうな文量ではあるのだが,授業で紐解かないと読まずにそのまま放っておかれそうな予感もしたので,どのような構成で書かれているのかを気にしながら読む。

卒業研究はそろそろ論文に重きを。

過去の卒業生の論文を印刷して,4年生はもちろん3年生にも完成イメージを見てもらう。立派な製本版ではないが,製本ファイルで冊子体としての形を示すことも必要。

今日はちょっと早めに帰宅した。

20181205_Wed

研究室の段ボール整理。

スチール書棚を追加し,引越用段ボールに入ったままの文献資料を取り出したものの,まだ段ボールは残っている。中身を確認して廃棄作業に取りかかる。

旧い教育関係の新聞が溜まっているので,興味深いIT/ICT関連記事が掲載されている号を除くために駆け足で紙面を参照する。ちょうど10年くらい前のものだが,あまり進展が感じられない内容も多く,日本の教育の不易の安定性に呆れを通り越して感心すらしてしまう。

そんなタイミングに,職場にもかかわらず新聞勧誘がやってきて,新聞紙を捨てようとしていた場で,流通関係の新聞紙を契約することになってしまった。一生懸命に可哀想な新聞社営業マンを演じていたのと,こちらもネットで新聞記事を活用させてもらっている後ろめたさもあり,3ヶ月だけの限定講読のボランティア。けれども,こんな勧誘するなら,これ以降は二度と新聞講読しないことを心に誓う。

学生たちがプログラミング体験活動。

児童研究という時間帯が確保されていて,学生たちの自主活動に充てられている。ある活動グループがプログラミング体験をしたいというので,iPadやSpheroとMESHを貸し出し。

あらためてSphero(ボール型ロボット)の掴みの強さを感じた。まずはリモートコントロールで自由自在に動かす体験で楽しんでから,設定されたゴールにプログラミングしたコードで到達する課題に挑戦する流れ。

使っているのがSphero miniということもあり,フローリングでは移動中のスリップも多くて,同じプログラミングコードでも毎回の動作結果が一致しないことがある。それも込みで楽しく試行錯誤していたが,教育となるとここからどう活動をデザインするかは課題かも知れない。

MESHは傾き/振動センサーとジェンガを組み合わせてゲームを楽しんでいた。こちらはセンサーをどのように組み合わせるのかで多様な活動デザインが可能だと思う。ジェンガ・ゲームに組み合わせるというのは,なかなか楽しいと思った。

今回は,プログラミングに抵抗感をいだく後輩学生たちに興味関心を持ってもらうための活動だったので,難しいことは考えるべきではないが,こうした導入からもう一歩先へ進むための道筋を考えることはとても大事だと思う。

20181204_Tue

研究室は文献資料の山。

研究室環境の改善は恒常的な課題であるが,入口に積まれた段ボールに入っている文献を箱から出して,少しでも段ボールを減らすのは喫緊の課題だ。箱の中では死蔵に等しい。

それで,ただでさえ持ち込み書棚の数が多くて呆れられているところに,もう一本,スチール書棚を追加することにした。これで16本目。設置ついでに室内の他の箇所も整理した。

おかげさまでいくつかの段ボールは消えて,さらにいくつかの資料を処分する決断をした。箱で眠っていた文献資料が顔を出したので今後は手に取るのが容易になる。研究室の入口付近は,多少なりともスペースが拡大し,それなりに書棚の導入効果は出たと思う。

とはいえ,完全にスッキリしたというわけでもなく,焼け石に水だったと言えなくもなく,様子を写した写真を見た人からは「火に油」とこれまた適確なツッコミを頂いた。資料集めが途切れない以上,このわずかに生まれた余裕も年度末には埋まっているのかも知れない。

20181203_Mon

授業と研究室。

卒業研究で学生たちが連絡を取った数学サイトの作者から返信を頂いたとの報告。リンクに関して快諾を頂いた上に展開図の実現方法について詳しい説明もしてくださったようだ。有り難い。さらに「林ゼミ」という文字を含めたことから,当方の研究室であること,受賞されたコンクールの審査に私が参加していたことも,すっかりお察し頂いていた模様。直接挨拶できておりませんこと申し訳ありません。ゼミ生に至らぬ点ありましたら,ご指導ご鞭撻のほど,よろしくお願いします。

採用試験対策講座用の定着テストの作成。

過日,小学校プログラミング教育に関するレクチャーをした講座の定着テストを実施するらしく,そのためのテスト問題を作成する依頼を受ける。

情報活用能力やプログラミング的思考あたりの文言を確認する単純な穴埋め問題になったが,過去問があるわけでもないのでこれでよいものか,作成作業は躊躇いを感じながらだった。

最近は,いろんなことを問い直す必要性を感じる分,結論に至るまで堂々巡りをすることが事のほか多くなってしまった。そうやって考えを巡らせたものの,結果的に出来上がったり落ち着くのは月並みなものだったりして,だったら悩まないで機械的にやっちゃった方がよかったじゃないと思うと,気分は凹んだりもする。

とはいえ,余計な負荷がかかって処理速度が遅くなるとしても,自己チェックをしながらでないと何かを見落としそうで不安なのも確か。もう誰も私に迅速さを求めてはいないのだから,開き直ってじっくり慎重に考える立場をとろうと思う。

20181201_Sat

古本オークションで『知的CAIシステム』を落札。

CAIといえば「Computer Assisted Instruction」の頭文字をとった語であり,コンピュータを利用した教授学習支援のシステムを指す。教育内容と演習問題を用意し,それらを機械的に提示していくことで,学習の進捗を促すものだ。その原型は,1950年代後半におけるスキナーのティーチングマシンであり,1960年代後半のコンピュータ登場でCAIを発展させていく。

単なる機械仕掛けといっても,学習者に合わせた支援動作をするように幾多もの工夫やシステムが組まれたが,1970年前後から,そこに人工知能の知見を取り込もうとしたものを知的CAIと呼ぶようになる。

知的CAIは「Intelligent Computer Assisted Instruction」(ICAI)と呼ばれた後,「Intelligent Tutoring System」(ITS)と呼ばれるようになった。一方,ただのCAIは伝統的CAIと呼び分けられたりもする。

伝統的なCAIが,シナリオを用意する方向性で高度化していったシステムとすれば,知的CAIは,(今回の本の表記に沿えば…)「ドメイン知識」「学習者モデル」「教育学的知識」「インターフェイス」の4つのコンポーネントから構成された複合的なシステムであるというところに特徴がある。

そんなわけで,本書の原著は1987年に刊行された知的CAIに関する理論書であり,関連諸原理を詳しく解説している。

正直なところ,翻訳文が堅くて,英語的に読まないと理解の遠回りが起こりがち。冒頭部分を読んでいるだけなので難しいことが書いてあるわけでもないのに,妙にチンプンカンプンである。とはいえ,いずれ翻訳向け人工知能がブラッシュアップされれば,過去に堅い文章で翻訳された古典を優しい文章の翻訳で読めるようになる時代もくるかも知れない。

1990年代(平成初頭)に入ると次第にCAIへの注目は薄れていくが,昨今は,EdTechという勢いに包まれながら,現代的な知的チュータリングシステムとして蘇っているかのよう。計算処理の高速化などによって,これまでの手法をハイブリッドしたものが登場しているように思う。

そんな時代だからこそ,ちょっと源流を訪ねてみたかった。

そういえば,この本の著者は「正統的周辺参加」論で知られるエティエンヌ・ウェンガー氏であった。なんとも幅の広い人である。