新たな出発

りん研究室がある徳島文理大学は,本日が入学式です。

全国で新しく大学に入学された学生の皆さん,御入学おめでとうございます。そして大学入学に限らず,年度が始まるにあたり,新しい場所あるいは新たな立場で活動を始められる皆さん,ご活躍を期待しています。

私自身は,1年生の学年担任の一人として新入生の皆さんを迎え入れる立場です。

私が徳島文理大学に赴任したのは2009年で,今年度で9年生が始まります。現在の所属になって3年目なのですが,実はそれ以来ずっと1年生担任です。理由はわかりません。

というわけで,のんびり屋の私にとってはとても苦手なシチュエーションなのですが,年度末と年度初めは,新しくやって来る学生の皆さんのことが気掛かりで,なかなか落ち着かない日々です。

それでも,何かを新たに始める人たちをサポートできるというのはやりがいのある仕事です。そういう風に感じるということは,1年生の担任は向いているのかも知れません。

新しい年度から私自身の情報発信手段を見直して,このブログをメインにすることにしました。

仕事柄もあって,いろんな手段が登場すれば試したり使い続けたりしていますが,そうこうしているうちに,落ち着いてまとめあげてから情報発信する余裕を失っていたこと,ずっと気づいていました。

時間的余裕が失われていることはともかく,散らばった出口を整理しまとめていくことで,発信するためのエネルギーを集められるのではないか。まずは形からでも整えてみようということです。

というわけで,この研究室ブログはこれから,様々な内容が混在し始めると思います。しばらくは私自身のリハビリとして,あまり形やルールは気にせず書き続けたいと思います。

平成29年度になりました

平成29年度が始まりました。

りん研究室は,今年度も徳島文理大学に籍を置き,引き続き「教育と情報の過去・現在・未来を見通したい研究室」として活動を続けます。

また,ブログのデザインも一新して,情報発信場所を当ブログに絞っていくことにしました。

あらためて,どうぞよろしくお願いします。

平成29年告示 学習指導要領(幼稚園・小学校・中学校)

 平成29年3月31日付で新しい「学習指導要領」が告示されました。

 幼稚園教育要領,小学校学習指導要領,中学校学習指導要領の3つです。パブリックコメントを経たということになります。

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案並びに幼稚園教育要領案、小学校学習指導要領案及び中学校学習指導要領案に対する意見公募手続き(パブリックコメント)の結果について 
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000878&Mode=2

 要領自体は,国立印刷局Webサイトにて,官報(号外第70号)に掲載されたものが閲覧可能です。

官報(号外第70号)目次 
http://www.npb.go.jp/ja/today_kanpou/20170331/20170331g00070/20170331g000700001f.html

 文部科学省Webサイトもパブリックコメントの結果として掲載されています。

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案並びに幼稚園教育要領案,小学校学習指導要領案及び中学校学習指導要領案に対する意見公募手続(パブリック・コメント)の結果について 
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1383995.htm

 

(参考) 松野文部科学大臣会見(平成29年3月31日)はこちら

 

官報号外70号 学習指導要領関係部分だけ一括したPDF 
http://www.con3.com/files/kanpo_gogai70go.pdf 

 

文部科学広報 2017年3月号 
http://www.con3.com/files/monkakoho201703.pdf 

LiquidText (リキッドテキスト) – iPad Proに相応しいアプリ選

追記20200816
LiquidTextは,その後も順調にアップデートを繰り返し,昨今ではWindows版とmacOS版がリリースされるに至ってインターフェイスも統一されました。
(これを書いている時点で期間限定で20%OFFセールをしています。)

アノテーション機能が柔軟になったり,マルチドキュメントの管理ができるようになったり,今後はサブスクリプションでクラウドサービスを立ち上げるようです。アプリからサービスへの転換でシンプルさがなくなるのは残念ですが,複数の端末からクラウドで連携できるようになるのは重要です。

現在でも情報整理を伴うPDFビューア兼アノテーションアプリとしての独自性は陰り無く,定番アプリとして対価を払う価値はあると思います。

PDF文書を読みながら情報や要点の整理の作業をしたいことがあります。書類に下線やメモなどの書き込みをするだけでなく,必要な部分を抜き出して整理するということです。

書込み(アノテーション)をする作業であれば多くのPDF閲覧アプリがその機能を持っていますが,部分を抜き出して整理する作業ができるアプリとなると限られます。

それを非常にエレガントに実現してくれているアプリが「LiquidText」(リキッドテキスト)です。まずはプロモーション動画を見てください。

PDF文書にハイライト線を引くだけでなく,その部分を右側のワークプレイスと呼ばれる領域に抜き出して情報整理できるのです。

その上で,自由に書込みが出きる機能もあります。最新バージョンのプロモーション動画も見てみましょう。

私たちがタブレット端末でやりたかったことの一つは,こういう直感的な情報整理作業ではなかったでしょうか。こうした情報整理をもとに,さらに新たな報告書をまとめたり,整理した結果を発表するための資料を作成したりということだと思うのです。

私自身は国の行政機関や様々な団体から公表されている文書(PDF文書)を読む際に,このリキッドテキスト・アプリを使用しています。たとえば新たな学習指導要領のために審議された結果をまとめた答申は,大変長いPDF文書で,これを印刷して読み解いたとしても情報整理が大変です。

そこでこのリキッドテキスト・アプリに読込ませて,気になる部分をワークプレイスに抜き出し,抜き出した情報の繋がりをつけながら読み進めると,そこまでの要点を可視化したものと合わせて,全体を見通しやすくなります。これは時間を置いて再度文書を読むときにも,自分で作成したワークプレイスのおかげで,再理解の時間も短縮されるメリットがあります。

liquidtext_toushin

「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」のPDF文書を読込んで情報を抜き出したところ。

リキッドテキスト・アプリ自体は無料で配布されています。PDF文書を抜き出し読みするだけであれば,それで十分です。そして,追加機能を使いたい場合には,有料で追加購入することになります。

たとえば文部科学省のPDF文書はいろんな事情から一つの文書を複数のファイルに分割して配布していることが多いのですが,これをバラバラに扱っていると大変です。そこで,リキッドテキストには複数の文書をまとめて閲覧作業できるMulti-Document(マルチドキュメント)という追加機能がアプリ内課金で購入できるようになっています。これは便利です。

一方,リキッドテキストは自由な書込み(アノテーション)機能は有料です。他の無料ノートアプリでできるアノテーション機能が有料というのはちょっと理不尽な気になるかも知れませんが,リキッドテキストの一番の特徴が抜き出した情報の整理であることを考えると,この辺が逆になっているのは仕方ないかなと思います。

上記の2つの機能は1200円で購入することになり,それでリキッドテキスト・プロにアップグレードしたということになります。(マルチドキュメント機能だけは600円でバラ売りしています。)

リキッドテキストは,開発者であるCraig Tashmanさんが,ジョージア工科大学で研究開発されていた成果を実際のアプリとして販売したものです。

LiquidTextのYouTubeチャンネルには,2010年頃に研究開発していたこのアプリの原型ソフトのデモンストレーション動画が公開されています。

リキッドテキストの「リキッド」とは「液状の」という意味。

つまり,Craig Tashmanさんは抜き出した文字のカタマリを液状に見立てて,くっつけ合えるようにすることで,抜き出した情報同士を簡単にグルーピングできるようにしたのです。 私たちがポストイットでやっている作業をもう一歩進化させるためのアイデアということになります。

さらに,PDF文書をピンチ操作すると部分的に縮んでつぶれるように表示するというアイデアを使って,遠く離れたページ同士を同時表示することを可能にしました。それをキーワード検索機能に絡めたところは,現実の紙ではできないことです。

「こんな作業をするなら確かにパソコンじゃなくてタブレット端末だよね」と言えるアプリは数少ないですし,リキッドテキストはまさにそんなアプリの一つだと思います。

ただ,アプリに対しては好き嫌いがあり得ますので,こういうPDF文書の読み方はしないので私には合わないという人もいると思います。それでも,使わずして食わず嫌いなだけであれば,それは大変もったいない話です。PDF文書をもとに情報整理作業をする必要のある人には要チェックなアプリです。

現在の記録と発信が未来の情報

私が学際情報学という学問を学んでいたとき,アーカイブについて勉強する機会がありました。

資料の保存と公開,そのための管理。

それがアーカイブというものの漠然とした説明になりますが,私はその奥深さの一端を垣間見て,専門家には程遠いとしても,その行為や活動の重要性を尊重しなければならないと思ったのでした。

いま,りん研究室が取り組んでいるのは,教育と情報の歴史です。

歴史資料の蒐集,整理,分析を行ない,現在と今後への示唆となる考察を加えていく活動を柱としています。基本的に過去を追いかけています。

しかし,過去を追いかけるためには資料が必要になります。記憶だけでは無理です。

過去に資料が作成されて保管され,現在の私たちが資料を入手し参照することで,初めて過去を追いかけることができます。人間の記憶も,何かしらの資料として記録されていなければ,忘れられてしまうか,そうでなくとも呼び覚ますことが難しくなります。

資料の保管と公開。

歴史を追いかける活動にとって,それがどれほど重要であるか,調べ事をするたびに痛感します。

過去を扱うのはとても難しいです。

分析や考察の際,何を拠り所にするのかという問題と,どう解釈するのかという問題とそれらをもとに何を示唆するのかという問題が複雑に組み合わさるからです。

たとえば,残された情報が無かったり少な過ぎても困るし,逆に多すぎても困ります。一次情報(primary source)と二次情報(secondary source)の扱いにも注意は必要です(世の中には三次情報 tertiary sourceという言葉さえ出てきています)。

たとえば,記録された情報をポジティブに読みとくのか,ネガティブに読みとくのかで,過去の見せ方が変わり得ます。

たとえば,過去の歴史事象を踏まえて,肯定的な示唆や助言をするのか,否定的な示唆や批判を加えるのかも選択次第です。

資料があれば,すべて解決されるわけではない。これも肝に銘じなければなりません。

私自身,いま生きている日々の出来事について,分かっていると思い込んで,あえて記録や発信することを面倒くさがったり,後手に回したりすることがあります。

しかし現在は過去に移行して,磨りガラスの向こう側へと移ってしまうことに気づきます。まだ見えているつもりでも,確実に遠ざかり見えなくなっていきます。そうなってからハッとして記録を残そうとすることを繰り返しています。

確かにこの界隈では「ポスト・トゥルース」「オルタナティブ・ファクト」「フェイク・ニュース」といった言葉が飛び交い,日本の私たちも「風評」や「デマ」や「虚偽」や「誤報」といった言葉に悩まされ続けている毎日です。過去だけでなく,現在をつかまえるのさえ難しく感じます。

情報があれば,すべて解決されるわけではない。これも肝に銘じなければなりません。

 

それでも「今日の記録と発信が明日の情報になる」のだということ。

 

そのことを,今日という日にあらためて思うのです。