360度撮影カメラの新顔

りん研究室でも注目している360度撮影カメラ。 私たち一般の人間でも手に入るものとしては,リコー社THETAシリーズGiroptic社360camハコスコ社販売代理Insta360 nanoなどが出ていました。

一方,VR(バーチャルリアリティ)技術を視聴するヘッドマウントディスプレイ(HMD)という機器が有名ゲーム機の周辺機器として登場することで,360度映像自体への関心も高まりつつあります。

「撮影」と「視聴」に用いる機器がそれぞれに発展しようとしているわけです。そして360度映像の撮影カメラも,さらにいくつかの新顔が登場しています。

Nikon社 KeyMission 360

老舗カメラメーカーのNikon社が手がけた360度アクションカム。価格帯が6万円強のため,他の比較すると入手の敷居は高く,同社として初めての部類の製品のためか改善の余地が多い様子。

Arashi Vision社 Insta360 Air

従来のInsta360 nanoがiPhoneのLightningコネクタに直接差すことができるタイプの製品だったのに対して,マイクロUSBコネクタ対応でAndroidスマホだけではなくパソコンにも接続できるようにした製品。

Giroptic社 Giroptic iO

従来の360camがSDカードやWiFiで端末に映像を転送するタイプの製品だったのに対して,iPhoneやiPadのLightningコネクタに差して使用することができるように開発した製品。Insta360 nanoの対抗商品。

リコー社 RICOH R Development Kit

THETAシリーズとは別系統で,米国CESで発表されたデバイス。まだ発売されておらず,開発者向けのものが先行公開されるとの情報(一般でも購入できそうな様子)。360度映像のストリーミング配信(ネット中継)を主な使途として想定していて,THETA Sと違いスティッチング処理をカメラ自身で行なうようになっています。HDMI出力はできるものの配信処理は別途デバイスが必要。

Arashi Vision社 Insta360 Pro

こちらも米国CESの合わせて発表されたもののようです。もはやプロ用。8Kという解像度で360度撮影できるようです。360度撮影カメラは解像度の高いものが少なく,高ければそれだけ映像処理の負担が増えるため機器のコストも高くなってしまいます。とはいえ,VR市場の拡大が期待され,品質の良いVRコンテンツの需要が高まることは必至ですから,8Kレベルの撮影ができるカメラもどんどん登場すると思います。

以上,各社からいろんなアプローチの製品が登場しています。価格や性能なども様々で,ジャンルとしては切磋琢磨が始まった段階です。過度な期待は保留した上で,可能性を育てていくことが大事だと思います。

学校教育の現場では,タブレット端末を「大きなデジタル」として利用する基礎的な利用方法がありますが,360度撮影カメラもその一環に組み入れて,学校周辺や社会見学先等の様子を記録する用途で活用ノウハウを溜めていくこと,そしてその用途でさらに必要と思われる機能をフィードバックしてメーカー各社に要請していくことが大事になると思います。

(追記20170106:Insta360 Proを追加しました。)

(修正20170107:リコー社の製品名を正しました。)