20190327_Wed

大阪府が「小中学校における携帯電話の取扱いに関するガイドライン」を公表しました。

かなり冷静に注意深く作成されたように読めます。

地震等の災害緊急時に,安全情報取得のためや,GPSによる位置情報の利用で携帯電話(モバイルデバイス)が役に立つ。そのための一部解除というのがガイドラインの端緒です。

そのうえで,携帯電話を持たせる持たせないや情報機器の取り扱いについて,家庭や学校がちゃんと向き合い取り組んでいくことを基調としています。

とはいえ,この持ち込み禁止「解禁」という方向性が示されたときは,物議を醸しました。

これに関する報道が取り上げられた時期には,文部科学省の方でも「学校における携帯電話の取扱い等について(通知)」の見直しを検討するという大臣発言があり,これはエライこっちゃと考えた人たちも多いようです。

10年前に決められたことを,このタイミングで見直そうかどうしようか検討する…と発言しただけで「持ち込み解禁,持ち込みOK」になると恐れ不安に陥るのは,それだけ余裕のない日々を送っている人たちがいるという現実だし,その現実に何も配慮してもらえてないと人々が考えていることの裏返しかも知れません。

結局のところ,この問題は,携帯電話の問題ではなく,児童生徒たちを学びという世界に引き込めていない,引き込むだけの場づくりをするのに至っていない問題なのでしょう。

そうした世界へ,「携帯電話を持たせるか持たせないか」のルール作りという活動を通して誘うというトリッキーな手法を用いなければならないというのが「今日の日本の特殊事情」ではあるのですが,もっと先に,私たちが暮らす世界の中の私たちにとって生き甲斐となるものに対するアプローチ自体が学びという活動になる,そういう地平があるように思います。

現実的な問題を解決する必要はあるものの,「持ち込み禁止」見直しの動きは,次の世代が自分たちの世界を考えて模索する機会を提供するという点で前向きに受け止めるべきでしょう。