阿波踊りと引きこもり

 りんラボがある徳島は,12日から阿波踊りで街全体が祭り期間です。とはいえ,盛り上がりは夕方から始まりますし,日中は普通に出勤している人も多いので,会場に近づかなければ,平穏な日常でもあります。
 昨夜は,徳島駅周辺に出かけて,阿波踊りの人の賑わいを感じてきました。残念ながら見る阿呆に留まっていましたが,徳島に住んでいる以上,いつかは思いきり踊ってみたいものです。とにかく,ちょうど街中を流れる新町川の川沿いに軒を連ねる屋台を眺めながらぐるっと歩いて堪能してきました。

 りんラボは,教育と情報を扱っている研究室です。以前の私は「教育」にかなり重心があったので「りんゼミ」という風に名乗っていた時代がありましたが,最近は「情報」や技術系の話題を扱うことがグッと増えたので,「りんラボ」と称しています。
 いまはiPhone/iPadアプリの開発のために,いろいろなデータやプログラムの解析を行なっていたりします。Twitterのログを分析するツールにも興味があって,ログをパースするアルゴリズムのための解析もしたいですが,いまは別のWebアプリケーションの動作を解析する作業にかかりきりになっています。
 それから,教室向けiPadアプリのデザインに困っています。UIデザインも本当なら根本から再設計すべきですが,それは次の機会にするとしても,最も大事な「見た目」のデザインが手付かずなのです。最終兵器のPhotoshopを取り出して,ぐりぐりデザインするしかないみたいですが…,ああ猫の手も借りたい。

 9月18日18:00から,愛知県の金城学院大学で行なわれている日本教育工学会大会でワークショップ「タッチデバイスの教育利用」を開きます。
 このワークショップで目指したいことは,別にある教育関連ブログでも書いたのですが,「ミスディレクション」を減らす手だてを模索することです。
 新しい技術やデバイスを研究対象にしたり,積極的に推進していく過程で起こり得る様々な議論。その際に私たちは多くの「ミスディレクション」に出会います。それは意図的・無意図的に関わらず,私たちをある見方に追いやってしまったり,何かを見落とさせたりする可能性を孕むものです。
 私は,タッチデバイスという今まさに注目を集めている対象を一つの具体事例として,学術研究や世間一般の議論がどう噛み合っていくべきなのか,あるいは私たち個々人はどう振る舞っていくべきなのかを考えたいと思います。
 …というワークショップの高らかな目的に見合う準備もまだまだこれから。まあ,出たとこ勝負が大好きなので,多くの皆様に意見出ししてもらう会になればいいなと単純に考えています。可能であればUstream中継を入れます。

 つい最近,一つ失望したあとに,私はぼちぼち「りんラボ」から「りんゼミ」に戻そうかと考えていました。
 技術もロジックも扱い始めると面白いのですが,それに呑み込まれた人間の在り様に疑問がないわけではなかった。いつしか私も醜さを露にしているのではないか,そう思えたとき,もう一度,思索の世界に戻ることがよいのではないかと感じたのです。
 けれども,人生とは不思議なもので,そう簡単には引きこもらせてくれないようです。縁がないと思っていた事柄に,いつの間にやら巻き込まれていたりします。
 私自身も状況を把握してからご報告したいと思いますが,どうやら「いろいろ文句を言うつもりなら,お前自身がやってみろ」と神様からお鉢が回ってきたようです。
 なるほど,そう来ますか。面白いじゃないの。受けて立ちましょう。
 私はすでに,人生の中で阿波踊りを踊っているようです。

また東京出張

りんラボのブログ更新が滞っているうちに、また東京出張。今回は東京ビッグサイトで行なわれている教育ITソリューションEXPOと東京国際ブックフェアに行く。
とにかく大注目のテーマに関する展示会が開かれるので、これを見逃す訳にはいかないと思った次第である。
もっとも教育ITソリューションEXPOの方は前身の企画が行なわれていたとはいえ、大きな展示会企画に昇格して初の開催。まだ認知度も低いかもしれず、関係者の皆さんのご苦労や不安は何となくだが想像できる。
ま、何はともあれ、いろいろ見ておきたいと思う。

東京出張

 先週後半から東京出張に出ていました。
■学習ソフトウェアの審査
 今回は,学習ソフトウェア情報研究センター(学情研)が主催している学習ソフトウェアコンクールの審査会出席のためです。私も審査員の一人として名前を連ねています。
 今年も50数件の応募作品がありました。学習のためのソフトウェアからWebやDVDなどのコンテンツまで,多彩でした。そのため審査は大変なのですが,なるべく作者の意を汲みながら,創造活動を奨励できるように審査をしています。
 しかし,多様な応募作品を単純な出来の比較で審査することは難しくなっています。これまでも応募作品の種類に応じて開発目的や利用実践を考慮しながら審査していましたが,審査基準として応募要領に明記していなかったので,毎回,審査に時間を掛けていました。
 そこで,来年度は,審査のポイントを分散させて,作品の出来だけでなく,開発意図や実践事例に対しても賞を与えられるように応募要領を変更することが提案され,合意されました。
 近年,AndroidやiPhone/iPadといったデバイスも普及していますので,こうしたデバイス向けアプリの応募もあれば良いなと思います。学情研は学習ソフトウェアの普及を目的とした活動をしていますので,願わくは無料で公開しているアプリの応募が望ましいです。
 これは私個人のアイデアで認められていませんが,開発中アプリの応募を受け付け,その開発意図やアイデアを審査して,開発奨励をするという枠を作ってもいいのではないかと思いました。
 実は,「学習ソフトウェアコンクール」はこの手のコンクールとしては珍しく賞金が出ます。それだけ学習ソフトウェアの開発・普及・利用促進に力を入れているということです。今後ますます多くの方が参加できるよう,コンクールも進化するといいなと思います。

■古巣に寄ったり,本屋に寄ったり
 機会ある毎に,東京の出身研究室には寄るようにしています。たとえ,お土産ひとつを置くだけの行為や,ひと言ふた言の挨拶だけだとしても,覗くようにしようと思っています。
 私にとって,残っている出身研究室はそこしかないし,日常に流されていく私自身の「研究大事」の灯に油を注ぎ足してくれるからです。
 それから,東京に出たら書店を巡るのが定番。古巣に寄った影響のせいか,審査会でいただいた謝金のほとんどを文献資料の購入で使い果たします。あとから考えると,iPhoneとかiPadの購入の足しにすればよかったと気づき,ちょっぴり後悔しています。

■新しいお仕事の依頼
 東京出張の直前に,タイミングよくお仕事の依頼をいただきました。
 教育現場における情報化に関する現状について解説して欲しいという内容。私自身も知識の整理をしたかったので,お引き受けすることにしました。(先日の「エチカの鏡」で長男はお願い事を断れないと紹介されていた。確かに…)
 それで東京出張の空き時間に,さっそく依頼主と会って話をしました。霞が関のビル(といっても官公庁じゃないです)に訪れて,あれこれ情報交換。
 どんな切り口で現状を知りたいのか,だいたいのイメージもわいたので,事実と事実関係を伝えることを基本として,私の考えをご披露することにします。その成果はまた。