GIGAスクールネットワークとGIGAスクール

あらかじめお断りしておきますが,今回も読むべき内容は何もありませんので,いつもの駄文とご理解ください。

さて,こちらの2つの図をご覧ください。

令和2年度概算要求主要事項1
令和2年度予算(案)主要事項

GIGAスクールに関わる予算説明スライドです。上が令和元年8月に公表された概算要求時のもの,下が令和2年1月に公表された令和2年度予算案に添付された令和元年度補正予算のものです。

関係者の方にとっては涙目になりそうな並びの2つのスライドですが,ご承知の方がいらっしゃるように,概算要求時には「GIGAスクールネットワーク」となっていたものが,補正予算が絡んできたことによって「GIGAスクール」と改名されました。

GIGAスクールネットワークで描かれていた青写真が,GIGAスクールのものより,もう少し緩やかであったということはお分かりいただけるのではないかと思います。

消費増税による景気悪化を回避するために大型補正予算を組むという路線が進められていたわけですが,この10兆円規模を目指した補正予算に「学校に1人1台端末」がいつから項目として上がったのか,これは地方に住む田舎研究者には知る由もありません。

消費税アップが決まれば,それと合わせて景気対策が必要であることは既定路線だったわけで,政治臭覚鋭い議員の人々にとれば,そのために超党派の議員連を作って働きかけを続けてきていたわけだし,規制改革推進会議の場での議題に取り上げられた時から,誰かの腹の中にはGIGAスクールネットワークがGIGAスクールの前座の役目でしかないというシナリオが温められていたかも知れません。

そういう意味では,年末年始から今に至っても続いているGIGAにまつわる関係者の苦闘を,それさえ最初から予想していた人たちもいたのだと思います。

当初予算に盛り込める予算金額枠は,財務省が緊縮財政を路線としている以上,当然限られています。せいぜい全国の中の1万校を整備しようというGIGAスクールネットワークの規模程度です。

全国の学校内ネットワークインフラを一気呵成に整備するような規模(それでも割れば微々たる規模の)予算と,小中学生への1人1台学習端末の整備というそれなりに大きな額の予算を確保するには,今回のように15か月予算というスパンでとらえ補正予算によって確保する他ない…おそらく,そういうストーリーなのだろうと素人解釈で思います。

しかし,補正予算扱いにするからには法律上,その緊急性が問われることになっています。当初の計画になかったものが割り込むのですから,その理由が必要というわけです。

ここで多くの人々が思い当たると思いますが,その理由の一つに挙げられたのがPISA2018の結果とその解釈でした。曰く,デジタル読解力に課題がある。考えられる要因には日本の学校のICT環境や活用頻度が乏しいからではないか。これはまずいぞ,大変だ…といった緊急性です。

その他にも,教育情報化の実態調査はこれまでもずっと国内における整備格差の存在を示し続けてきました。さらに本格実施される学習指導要領は情報活用能力を始めとした資質・能力の育成を前提としたものなのに,学校の教育環境はそれを実践する条件を満たせてないこと。プログラミング体験・教育が本格的に始まることも待ったなしの緊急性に数えられると思います。

経済対策としての即効性と早期着手を必要とする緊急性,さらにインフラ整備事業という性格から来る様々な制約に追い立てられた状況の中で降りてきたのがGIGAスクール構想ということになります。

財政や経済が私の専門ではありませんので,この現実をどのように捉えて付き合うべきか,正直なところ答えを持ち合わせていません。(そもそも全体解釈も専門家から見れば違っているのかも知れません。)

この問題には様々な次元(レイヤー)があって,政治,財政,教育行政,地方自治,学校,教職員,児童生徒,産業界,学術界,市民住民などなど,どのレイヤーで理解したり,批判したり,主張したりすべきかは人や場面で変わり得ます。

莫大な支出が伴うことを肯定するのか否定するのかも,レイヤーが異なれば変わり得ますし,どういうスパンで議論するかによっても違ってきます。

効果があるのかないのか,十分活用できるのかどうなのかという論点も,ICT整備を教具や文具を揃えるという観点で捉えるのか,学校が備えるべきインフラ条件という観点で捉えるかによっても,議論の幅が広がっていきます。

実際のところ,こうした物事の決まり方は酷く乱暴です。

これをもっと丁寧に実現することができないものかと,私たちはいつも考えます。今回の件で苦しんで,文句の1つも2つもたんさん言いたいという人たちの心情も,痛いほど察します。そう思いつつ,いま目の前のこと,協力もしあいながら,理解も示しながら,なんとかやっていくしかない。

でも一方で,こうした酷い事態を招いてしまったのは,この国の在り方をそのまま引き継いでしまったことにも遠因があるわけで,実のところ私たちもその一端を担ってしまっていたことを考えたとき,百も言いたい文句の中に,一つくらいは「だったらこうしてはどうか」と前に進む言葉も入れたいと思いもします。

現実を相手にされている皆さんには,なんら慰めにもならない話で終わりましたが,宛てもないブログで私が書けるのはこの程度のお話でした。

1人1台端末に関する報道

20200123「小中学校にパソコン1人1台 特需を喜べないメーカー」(日経新聞)
20200126「社説:1人1台PC 投資に見合う教育効果あるか」(読売新聞)
20200127「1台27万円? 小中学校に「PCを1人1台」で膨れ上がる予算」(週刊ポスト)
20200130「【動画】小中学校のパソコン1人1台 「1台27万円」のケースも」(NEWSポストセブン)
20200131「差額はどこに?小中学生に元値8.5万のPC配布も「費用1台27.8万円」の怪」(MONEY VOICE)
20200131「Atom搭載の富士通「ARROWS Tab」が1台27万8000円、渋谷区の小中学生向けパソコンは”ぼったくり”なのか」(BUZZAP)
20200201「1台27万円?小中学校に「PCを1人1台」で膨れ上がる予算」(Togetter)
20200201「渋谷区の児童用27万円のパソコンは高いのか?実際に考えてみた」(かえざくらのつぶやき)
20200202「「1台27万円」はぼったくりなのか?」(稲田友@note)

昨年末に閣議決定された経済対策にかかわる令和元年度補正予算案の採決が,この数日に行なわれる予定です。

(2) Society5.0時代を担う人材投資、子育てしやすい生活環境の整備
①学校のICT環境整備 233,043(百万円)
 (イ) GIGAスクール構想の実現 231,805(百万円)
  (i) 高速大容量のネットワーク環境の整備 129,565(百万円)
  (ii) 学習者用コンピュータの整備 102,240(百万円)
 (ロ) その他 1,238(百万円)
  先端的教育用ソフトウェア導入実証事業費 1,000(百万円)
  教育現場におけるローカル 5G活用モデル構築事業費  238(百万円)

教育の情報化分野に関わる私たちにとって,GIGAスクール構想関連の予算が含まれていることもあり,俄然注目度は高まります。

補正予算に関する審議が衆議院予算委員会等で行なわれるにあたって,いくつかの関連報道がなされました。

20200123「小中学校にパソコン1人1台 特需を喜べないメーカー」(日経新聞)
20200126「社説:1人1台PC 投資に見合う教育効果あるか」(読売新聞)
20200127「1台27万円? 小中学校に「PCを1人1台」で膨れ上がる予算」(週刊ポスト)

読売新聞社の社説は「配備されるPCを使ってどのような授業をするのかが、見えていないことである。1人に1台が本当に必要なのか」と問いますが,学校での情報環境の整備問題と授業での適切な活用問題をごちゃまぜに問題構成するのは,良い問いとは言えません。

こうした迫り方による批判視が「配備されたPCを使うこと」自体の目的化を生む圧力となっていることに気付かなければなりません。

週刊ポストの記事は,補正予算案で確保された巨額の予算枠に対する懸念を素朴に表明したもの。端末整備したら終わりにはならなず,いわゆるシャドーコストと呼ばれるものを見込むと額が膨れ上がることを指摘しています。

読売新聞社説と同じく,巨額な予算に対して懸念を感じているわけですが,それ自体の否定というよりは,考えている以上にお金がかかる可能性の指摘という点で違います。もちろん,その可能性も憂慮すべき問題ではありますが。

週刊ポストの記事では,取材協力者として私のコメントも掲載されました。

「端末を配置すると、管理する人件費が一体でついてくる。保守や支援員の人件費を継続的につけるか、初期段階での教員への研修などを通じて教員自らできる体制にするか。いずれかしかない」

週刊ポスト』2月7日号 137頁より

この分野に関する全般的な情報の提供を電話で長時間やりとりさせていただき,コメントはそれをもとにしたものです。

「端末配置に管理人件費が一体でついてくる」という言い方は,呑み込みにくいですが,要するに,人件費として費目が立てられないところにそのコストを入れ込むには端末費用に含ませるやり方もある,ということを語っていただけです。

PCや端末の活用が「従来の学校教育を大きく変える可能性がある」という読売新聞社説の指摘は正しく。学校教育を変えるためのマンパワーを始めとした諸コストは,今までちゃんと掛けてこなかったツケも合わせて,私たちが考えている以上に掛かってしまうかも知れない懸念があるのです。

こうした方向への選択を「うまくはやれないのだから,やはりやめましょう」と回避し現状維持に持ち込むこともできなくはないけれど,令和にまでなって,諸々の世界情勢や時代水準を鑑みた時,妥当だとも言えない。

とすれば,覚悟を持って前に進んで,もちろん掛かるコストも柔軟性と緊張感を持って監視調整していく努力をするしかないのではないかと思います。

今回,ノンフィクション作家の方に取材申込をいただき,東京と徳島で電話を使って情報提供をしました。貴重な体験させていただきました。

ちにみに,記事本文の穏当さに比べると,印刷雑誌の煽り見出しは少々センセーショナルな味付け。週刊誌の売り込み手法として,これは編集部の方々のお仕事なのだと思います。そうした点も興味深いです。

文字入力キーボードを考える

2019年末に,経済対策の一環として学習者1人1台の情報端末整備事業が盛り込まれた「GIGAスクール構想」が急発進しました。

端的には,令和5年度までに全国の児童生徒数だけの台数の情報端末を学校に設置すること(と,ギガレベルの校内ネットワーク整備)が目標です。

モデル仕様

今回の端末整備のために,各都道府県が取りまとめをする際の参考にするモデル仕様が「標準仕様書」として文部科学省から示されました。

どんな端末や周辺機器を整備すればよいのか,おおよその内容が示されていることになります。たとえば端末の種類についてはこんな風です。

【別紙2】詳細仕様
 (1)学習用コンピュータ(児童生徒用)

【解説】
 以下に示す①~③の3種類の仕様から、学習者用コンピュータについて1種類を選択し、必要に応じて変更することが望ましい。また、選択に当たっては、どのような学習用ツールを利用しICTを活用した授業を実現するかについて十分に検討し、使用したいツール側のシステム要件についても考慮すること。いわゆる学習用ツール及びその具体的な活用場面イメージについては、「1(3)いわゆる学習用ツールについて)」を参考にすること。

① Microsoft Windows 端末
② Google ChromeOS 端末
③ iPadOS 端末

従来まで多く導入されてきたWindows端末はもちろんですが,インターネットとクラウドの時代に入りシェアを伸ばしつつあるChromeOS端末とiPadOS端末もモデル仕様に掲げられていることは注目です。

事業を担当している現場では,整備済み端末と新規整備端末との整合性をどうするか,そもそも何を選択すべきなのかといった悩ましい課題に直面して,いろんな結論を下しているところではないかと思います。

端末選択は大変興味深い問題ですが,シンプルに考えれば,使途に応じた選択をすればよいわけであり,むしろ学校でどう使うのか,どう使ってもらいたいのかが明確かどうかがこの問題の難しさなのだと思います。

本ブログでもいずれその件について書きたいと思いますが,今回は別のことを書きたいと思っています。

今回のテーマは,文字入力をするタイピングキーボードです。

モデル仕様の中のキーボード

「標準仕様書」には,キーボードについても書かれています。

各OS端末の仕様にはキーボードについて「Bluetooth接続でない日本語JISキーボード」と書かれています。

そして続く【解説】には次のように記されています。

【解説】
・キーボードについては、日本語キーボードではなくUSキーボードにした場合、より安価に調達できる可能性がある。児童生徒にキーボード入力を指導する際の児童生徒・教師の情報活用能力や負担感を鑑みてUSキーボードに変更しても良い。

・キーボードについて「Bluetooth接続ではない」としているのは、複数端末が教室内でキーボードをBluetoothで接続をした場合に、ペアリングが解除されたり、混線したりすることを避けるためである。具体的な接続方法としてはUSB接続や、SmartConnectorによる接続、元々キーボードを取り外さないノート型・コンパーチブル型の端末を導入するといった方法がある。
(後略)

2点目に関して,Bluetooth接続キーボードが一般的になってきた昨今とはいえ,無線方式における懸念事項を押さえているのは妥当でしょう。

一方,1点目に関して,日本語キーボードではなくUSキーボードを許容するとした文言は,この種の文書としては目新しい記述内容です。

また,「安価」を重視することと,「キーボード入力を指導する際の児童生徒・教師の情報活用能力や負担感」の負担感とは何か,それを鑑みてUSキーボードに変更する理由とは何か,などは曖昧さがみられます。

機種選択はキーボード選択と不可分

実は,どのOS端末を選択するかという問題は,その内側にキーボードをどうするかという問題がかなり大きな部分を占めています。

GIGAスクール構想で整備される情報端末は「可動式端末」(モバイル端末)ですが,この場合,キーボードと組み合わせる形状としては「クラムシェル」「コンバーチブル」「デタッチャブル」の3タイプあります。

「クラムシェル」(二枚貝)タイプ:標準的なノートパソコンのスタイルのもの
「コンバーチブル」(折畳み)タイプ:ディスプレイ部分が360度近く回転し裏返した状態でタブレット形状となるもの
「デタッチャブル」(脱着)タイプ:ディスプレイ部分が脱着できてタブレット形状として単独で使えるもの

iPadOS端末の場合,成り立ちが純粋なタブレット端末なので,正確には「脱着式のキーボードを後付けする」か「外付けキーボードをUSB/Lightningの有線接続するか,Bluetoothの無線接続する」ことになります。

ChromeOS端末は,クラムシェルタイプ,またはコンバーチブルタイプが多いため,端末の選定はキーボードの選定と不可分になります。

Windows端末は,昨今「モダンPC」という名称で2in1タイプのものが各メーカーからたくさん登場しています。デタッチャブルタイプ,あるいはコンバーチブルタイプが多い印象です。もちろん従来からのクラムシェルも根強くあります。

いずれの場合も,機種選択はキーボード選択と強く結びついています。

にもかかわらず,キーボードに関しては,端末本体ほどには十分情報提供されていませんし,十分意識して検討されてはいません。

同時に,文字入力に関する諸問題は,時たまに話題にのぼったりすることはありますが,結果的には各自が解決する問題ということもあり,決着をつけるよりも現状を維持するため触らず置かれてきた部分があります。

しかし,触らず置かれてきたために,選択の余地が次第に狭められてきた状況にあることは問題でもあります。

見過ごされてきたキーボードと文字入力の問題

キーボードと文字入力にまつわる問題にはこんなものがあります。

・キーボードのコスト
・キーボードの情報不足
・キーボードのキー配列
・文字入力方式
・日本語漢字変換

これらの問題について,具体的にはどんな問題や論点があるのか,少しずつ見ていきましょう。

キーボードのコスト

端末を検討する際,本体にキーボードが備わっている製品であれば,価格に含まれていることになりますが,タブレット形状でキーボードがオプション扱いになっている製品は別に購入しなければなりません。

もちろん実際の販売の際には「セット販売」など合算した形で端末購入されることになりますが,予備の購入や故障時の取り換え・修理などが必要となった場合にはキーボード単独のコストについて意識する必要があります。

たとえば,モデル仕様①の代表的製品であるSurface Goは,「タイプカバー」(Type Cover)と呼ばれる純正オプションが存在します。

同様に,モデル仕様③のiPadの場合は「スマートキーボード」(Smart Keyboard)と呼ばれる純正オプションがあります。

モデル仕様①も③も,純正キーボードの単体価格が笑ってしまうほど高いことが分かります。法人向けや一括購入の場合は価格条件が変わるとはいえ,純正オプションのコストの問題は,今一度確認しておいた方がよい点です。

サードパーティー(別のメーカー)のキーボードならもっと安価に買えるのではないか。別に外付けキーボードとして購入し,必要に応じて接続して使うという方法でよいのではないか。という考え方もあります。

確かに電器店や通販で販売されているキーボードには安価なものが目立ちます。しかし,周辺機器メーカーのキーボードの価格も,幅があるとはいえ,必ずしも安いわけではありません。

サンワサプライ社
https://www.sanwa.co.jp/product/input/keyboard/index.html
バッファロー社
https://www.buffalo.jp/product/child_category/keyboard.html#a03
エレコム社
https://www2.elecom.co.jp/peripheral/full-keyboard/index3.html

2000円台もありますが,主要なラインナップは4000円〜5000円程度の価格であることが確認できます。

キーボードは,人間が直接利用する機械部品であるため,使い勝手や耐久性,性能を求め始めれば,求める水準に応じて,いかようにも価格が上昇します。

キー入力が出来ればどれも同じ,と考えることは出来ない機器なのです。

キーボードの情報不足

キーボードはコンピュータを使う際,人間が直接利用する機械部品であることから,こだわりが強くなる部分でもあります。よってタイピングキーボードには,一種マニアックな世界が広がっています。

Happy Hacking Keyboard(PFU)
https://happyhackingkb.com/jp/
https://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/dr_wada.html
REALFORCE(Topre)
http://www.realforce.co.jp/index.html
http://www.realforce.co.jp/features/

そういったキーボードの深い部分の情報についてはまた別にゆっくりこだわっていただくとして,ここで問題にしたいのは商品情報について。

〈盤面情報〉

商品に「日本語キーボード」と表記してあったとしても,キーボードの盤面が実際どのようになっているかをちゃんと写真で明示しているケースがない場合もあります。

たとえば,先のSurface Go純正キーボードの販売サイトを見てもらってもタイプカバーの日本語(Japanese)キーボードがどんな盤面でどんなキートップ表示かを示している写真はありません。出ているのは英語のものだけです。

さらに,モデル仕様②のChromeOS端末の場合は,各メーカーの商品ページを見ても英語キーボードの商品写真ばかりで日本語キーボードとなった商品を正式に掲載しているメーカーは極めてまれです。

HP
https://jp.ext.hp.com/notebooks/personal/chromebook_x360_14/
https://jp.ext.hp.com/notebooks/personal/chromebook_x2/
DELL
https://www.dell.com/ja-jp/work/shop/sfc/sf/chromebook-laptops
https://www.dell.com/ja-jp/work/shop/デルのノートパソコン/new-chromebook-3400-education-ノートパソコン/spd/chromebook-14-3400-laptop
Acer
https://www.acer.com/ns/ja/JP/smart/chrome/
https://acerjapan.com/notebook/chromebook/
ASUS
https://www.asus.com/jp/Laptops/Chromebook-Series-Products/
https://jp.store.asus.com/store/asusjp/html/pbPage.chrome/
Lenovo
https://www.lenovo.com/jp/ja/notebooks/lenovo/lenovo-e-series/c/lenovo-E-series
https://www.lenovo.com/jp/ja/notebooks/lenovo/lenovo-n-series/Lenovo-Chromebook-S330/p/88LGCS31095

日本語キーボードが,どんなキーボードなのかを知るには,何らかの手段で実物を見なければなりません。ネット上のレビュー記事情報も,英語キーボードユーザーが多いこともあって,日本語キーボードを撮影して掲載したものは大変少ない状況です。

ちゃんとキーボードの盤面を掲載していないと,たとえば,こういうキーボードかどうかが分からないという問題があります。

キーボード製品によっては,右側の一部キー幅が狭くなっています。(個人的にはこのような妥協的産物は好きではありませんが,JIS配列の製品をなんとか提供しようとしてくれていることに対しては敬意を表したいと思います。しかし,問題であることは変わりません。)

〈iPadの場合の情報〉

iPadでキーボードを利用する場合には,純正品を利用することが無難ですが,コストのことを考えるとサードパーティ製品を利用したいと考えることもあるかも知れません。

無線接続であればBluetooth接続キーボードから選ぶことになりますが,有線接続キーボードの場合はUSB接続キーボードを選ぶだけでなく,本体と接続するためのアダプタについても考える必要があります。

というのも,iPad本体にはLightning(ライトニング)端子という独自端子のみ用意されているためです。(iPad Proの場合はUSB-C端子ですが…)

カメラアダプタと名付けられていますが,USB機器を接続するために使用できるアダプタです。ご覧のようにコストはキーボード並です。

Lightning端子に直接接続できるキーボードはいくつか販売されています。

Lightning KANA Keyboard(リンクスインターナショナル)
https://www.links.co.jp/item/lightning-kana-keyboard/
電池要らず!iPhone/iPad用有線ミニキーボード(サンコーレアモノショップ)
https://www.thanko.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000002440
【法人向け製品】iOS対応 Lightning 有線キーボード(MS Solutions)
https://www.mssjapan.jp/item/10261218/

これらを利用すればiPadでLightning接続して有線キーボードを利用することが出来ます。ただし,JIS配列キーボードではないため,かな配列が変則的になっている点は問題が残ります。

iPadでかな入力を実現しようと果敢に挑んだ点は高く評価すべきですが,JISかなキーボードの需要が大きくない中では,JISかな配列の実現は妥協せざるをなかったということになります。

現時点でiPadで正しく利用できるJISかな配列キーボードは,Apple純正のスマートキーボード(Smart Keyboard)か,マジックキーボード(Magic Keybord)だけになります。

〈参考〉iPadのキーボード関連情報
Lightning搭載iPadにUSBキーボードに接続して利用する(iPad Wave)
https://www.ipodwave.com/ipad/howto/keyboard_usb.html

キーボードのキー配列

少しGIGAスクール構想の「標準仕様書」の話題に戻しましょう。

これまで明示的ではなかったとしても,文教分野に導入する機器のキーボードは,JIS日本語キーボードを基本に考えてきた伝統がありました。

ところが,GIGAスクール構想の「標準仕様書」では,コスト面や負担感といった事柄を考慮した結果であれば「USキーボード」の導入は可能であるように示唆しています。再掲します。

【解説】
・キーボードについては、日本語キーボードではなくUSキーボードにした場合、より安価に調達できる可能性がある。児童生徒にキーボード入力を指導する際の児童生徒・教師の情報活用能力や負担感を鑑みてUSキーボードに変更しても良い。

JISキーボードとUSキーボードにはどんな違いがあるのでしょうか。

JIS
US

詳細については,ネット上に様々な記事が掲載されているので「JISキーボードとUS英語キーボードの違い」などの検索語で探してみてください。

画像を見比べるだけでも,左右のキーの数や形が異なっていたり,記号の配置が(たとえば@マークに着目してみると)異なることが分かります。

昨今では,ローマ字方式で日本語入力をする人たちが多いため,かな表記が不必要であるとか邪魔であるとの意見が表明される機会も多く(特にネットメディアに関わるローマ字入力ユーザーがそのような論調を個人的意見として流す機会が増えたため),JISかな配列キーボードの必要性や必然性が薄れているように受け止めやすくなっています。

日本語独自の注音記号に特化した「かな」キーボードにコストをかけるより,世界中に流布している「アルファベット」キーボードに人間側が対応した方がメリットが多いのではないか。特に,記号の配置の違いは,日本語とは関係ないにもかかわらず海外キーボードの利用時に戸惑ってしまう問題もあるからです。

その意味でも,GIGAスクール構想の標準仕様書が,USキーボードを許容したことは一つの見識だと思います。

しかし,それは安価であるからという理由で選択すべきではないでしょうし,負担感といった理由は何を持って考えて判断材料とするのか,そのことはちゃんと考えておかなくてはならないと思います。

〈参考〉キーボードのキー配列
キー配列(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/キー配列

文字入力方式

「文章を入力する際には,キーボードが必要である。」

現在の私たちがおおむね合意している考えかも知れません。この文章もキーボードを利用して入力していますし,別の方法で入力することは想像が湧きません。

しかし,何かを実現する方法に,効率性の善し悪しはあっても,手段として正解があるわけではありません。

同じ文章を手書きで綴ることも可能ですし,コンピュータへの「手書き入力」性能も過去から飛躍的に進歩しています。

また,音声入力も現実的な手段になりつつあります。まだ誤認識したものを修正する作業は面倒が残りますが,そうした課題も改善されていくかも知れません。

さて,キーボードから話が離れては意味がありませんので,ここではタイピングによる文字入力の話に戻りましょう。

「ローマ字入力」と「かな入力」の問題についてです。

もはや決着はついていると言われることも多いですが,この問題は,先のキーボードのキー配列にも関わる事柄です。

ローマ字入力は,アルファベットで日本語を入力することにより,世界中に流布しているキーボードで分け隔てなく入力できます。(もちろん,漢字変換処理が別途用意できるという前提付きです。)

これによって,英語等を入力する場合とも利用するキー配置が共通するので,移行コストのようなものが低いかも知れません。

一方で,ローマ字だと読み仮名に対する打鍵数(キーを打つ回数)が多くなってしまうため,キーボード操作の音が賑やかになります。記者会見で鳴り響くタイピングの打鍵音を想像してもらえればよいと思います。

かな入力の場合,50音をJIS規格に準じて配したキーレイアウトで入力しなければならないため,扱うキーの数は多くなることになります。

ただし,かな入力は読み仮名に対する打鍵数は音数に近くなりますし,同じ打鍵数ならば入力できる文字量は多くなります。

それぞれの入力方式には,それぞれの特徴があり,どちらが正しい入力方式であるということはありません。ただ,かな入力に対する風当たりが強くなっている風潮があり,その方式を選択することが難しくなっている面はあります。

注音記号としての「かな」を「ローマ字」として学ぶことや,日本語をローマ字入力できるようになることは,グローバルなツールであるコンピュータを扱う以上,持つべきスキルです。

しかし,そのことと「かな」を大事にすることや,「かな」の持つテンポを味わうこと,またそれを利用して日本語入力する方法を維持することは,両立していてよいのではないかと思います。

スマートフォン端末の日本語入力では,フリック入力という「かな入力」が根強く残っています。そう考えると,今後も多様な方法を試したり身につけたりできるような余地を残す努力が大事なのではないかとも思います。

日本語漢字変換

キーボードと文字入力にまつわる問題を考えてきましたが,最後は「日本語漢字変換」について。

パソコンの世界では,日本語入力フロントエンドプロセッサ(FEP)と呼ばれていたり,現在はインプット・メソッド(IM)や日本語入力システムといった名前で呼ばれています。

今回のGIGAスクール構想の標準仕様書には,キーボードの記述はありましたが,日本語入力システムに関する記述は特にありませんでした。

モデル仕様①②③の各OSは,それぞれ標準の日本語入力システムを持っているため,それを利用するのが前提ということになるかも知れません。

Windows IME
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4462244/microsoft-ime
Google日本語入力
https://www.google.co.jp/ime/
Apple入力
https://support.apple.com/ja-jp/guide/ipad/ipad997da459/ipados
https://support.apple.com/ja-jp/guide/japanese-input-method/welcome/mac

かつては日本語入力システムは「辞書」の品質が重視された時代もありましたが,現在はインターネット上の言語解析成果や機械学習技術の進化によって,漢字変換効率の細かな比較や性能評価はあまり行なわれなくなりました。

使い勝手などの側面でサードパーティ製の漢字変換システムが利用されることは現在でもありますが,無料で利用できるものがある中で,有料のものは淘汰されてほとんど残っていません。

ATOK
https://www.atok.com
Shimeji
https://simeji.me

一部の日本語漢字変換では,小学校の場合で学年別漢字配当にしたがって変換表示される漢字を制限したり,ふりがなの振り方を設定できたり,限定した専用辞書を用意するといった配慮がなされてきました。

学年別配当漢字、常用漢字を自動判別してふりがな設定
https://www.justsystems.com/jp/products/ichitaro/feature2.html#certainlyhelp
Microsoft IME 2012 小学生辞書 学習漢字限定版
https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=41192

教材作成場面で利用することを想定したものであるため,児童生徒用の端末にこうした配慮が必要であるのかは,別問題と思われます。とはいえ,この辺の問題もちゃんと議論された気配はないため,もう少し議論を重ねていくことは必要かと思います。

いずれにしても,日本語入力という部分が各OSの標準機能で処理されることになっているにも関わらず,上記のリンクで分かるように,あまり情報提供はされておらず,私たちもまた十分な議論や検討を加えられていないという現状があります。

〈参考〉手書きインプットメソッド
mazec for School
https://product.metamoji.com/education/mazec.html

言葉を綴る文具

キーボードは,言葉を綴る文具の重要なピースです。

文具を偏愛する人がいるように,キーボードを偏愛する人々もいます。

購入した端末に附属していたキーボードでずっと慣れて使ってきたというパターンも多いと思います。しかし,一方で,手に馴染む万年筆を探し続けるがごとく,打ちやすいキーボードを探し続けることもあり得ることです。

たとえば,自作キーボードを求める人たちもいます。

遊舎工房
https://yushakobo.jp
日本初の“自作キーボード”専門店「遊舎工房」が秋葉原にオープン 店内の様子を速攻レポート(ITmedia)
https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1901/13/news029.html

GIGAスクール構想は,児童生徒数分の大量の情報端末を学校に整備する事業です。そのため,個別のこだわりについて配慮する余裕はありません。コストのことを考えれば,一番安価な選択肢を選ぶだけで精一杯なのかも知れません。

そうであれば,なおさら,そのスタート地点からどれだけ個人の利用に繋げるための配慮や自由度を広げるかについても,同時に考え始める必要があるのではないでしょうか。

大きな事業で実現されることは,あまり理想的だと言えないのが世の常です。

そこからどれだけより良くできるか。そのためのフリーハンドをどれだけ確保できるかということです。

今回のキーボードの問題は,あくまで一つの問題に過ぎませんが,そうした全体の問題を考える手がかりとして,個人アカウントの問題とともに議論を重ねていく必要があると思います。

GIGAをバトンとして

令和2年となりました。
この機会に少しだけ考えておきたいことがあるので,書いてみることにします。

これは教育と情報界隈に関わっている人々の年齢関係グラフィックです。

国の審議会や検討会等のメンバーや研究者,関係著作執筆者を中心にピックアップしたものですが,すべての人々を網羅したものではないことをあらかじめお断りしておきます。

年齢が不明な方は入っておらず,名前順は完全に作業上の流れで派生したものなので意図や意味はありません。幾人か故人も含まれています。2018年の作業したものを補足し形を整えただけなので,情報が古いこともご承知ください。

世代交代が必要

端的にはこの界隈で活躍する人々の世代交代が必要だということです。

世代論が不毛であることは承知しています。しかし,世代を意識しないままの議論も不毛だと思います。

主導権を下の世代に委譲していくことを忘れると,いつまでも下の世代が育たないために場合によってはコミュニティが縮小してしまいます。(上図の作成を通して,そう懸念する自分がいます。)

GIGAスクール構想によって学校の情報環境が整備されることは,この界隈に長らく関わってきた人々の悲願を叶える機会ではあります。上の世代にとっては,自分たちの積み重ねが実ることにも思えるのでしょう。

しかし,上の世代は自分たちが前面に出て活躍することを抑えて,下の世代が前面に出ることを押していく役回りに積極的に加担していくべきではないでしょうか。

生涯現役と役割変化

若い世代だからといって情報や技術が得意ということはありません。

だからこそ,任せて放っておくのではなく,後ろ盾になって挑戦する機会を提供していく必要があります。

ある程度の経験を重ねた者は,次の者の経験を促し支えていく役回りについて考えていくことが大事ではないかと思います。

単に相手を引き上げるだけでなく,相手の声を押し広げていくところまで支えていけるのか。そういう姿勢を考えていくことではないでしょうか。

「人生100年時代」と言われ,生涯現役であることが求められているとも言われますが,それは自分が先頭に立ち続けることだけではないように思います。

先輩学習者として後輩学習者の学習を促していくために,どんな役割変化をすべきなのか。それがこの界隈にも,そして学校にも求められています。

年齢は関係ない

「年齢」「世代」「経験」「先輩」「後輩」とか,言葉を混在させて,少し誤魔化しているところがあると感じた方もいると思います。

最初に掲げた図は,確かに年齢を基準にした世代を表わしたものですが,論じていたことは,どちらかといえば経験年数を基準にした世代のことでした。

一般的には両者は相関する(年齢が高ければ経験も積み重ねている)わけですが,場合によってはそうでないこともあります。ナントカの手習いで年齢を重ねた後に初めて取り組むこともあるからです。

なので,ここでの主張も,年齢を基準に云々したいわけではありません。

もっと,いろんな人々がいろんな形で経験の機会を持てるように,経験を積んだ人たちがもり立てていくことの必要性を考えたい,そう思うのです。

GIGAスクール構想を整えていく機会,そして整えられていく環境も,そのようなことを推し進めるのに,とても役に立つように思います。

学習者と情報環境

全国の学校に高速な校内ネットワークが整備され,児童生徒1人1台分の情報端末が整備されます。「GIGAスクール構想」と呼びます。

2019年末に「GIGAスクール構想」への予算確保が決まり,令和2年度中に小中高校の校内ネットワーク整備と,令和5年度までに学習端末を整備することが示されました。

ネットワークはインフラ

あらゆる学校に水道管や電気線が引かれているように,情報線も整備されて然るべき時代となりました。インターネットが社会的インフラであることは疑いようがなくなっています。

今回のGIAGスクール構想の1つは,全国の小中高校に今どきの校内ネットワークを整備する事業です。通信速度が遅いネットワークも,今回を機会に工事し直すことが求められています。下図の整備率が100%になることが目標です。

今回の整備事業の対象ではありませんが,インターネット接続率の現状は以下の状況です。学校が必ずしも高速ネットワーク接続されているわけではない場所であることが如実に表れています。

一般住民としては,災害等の緊急時に主要な避難場所となる学校の情報インフラがこの状況というのは,(そもそも避難場所の空間としての貧弱さも含めて)非常に不安を感じるものです。

学校のネットワーク整備がもしもの時の住民サービス基盤でもあることを理解して,必要であれば自治体の首長や議員に向けて,整備への賛意を表明していただければと思います。

情報端末は学びの文房具

日本の学校教育にコンピュータが入り始めたのは,1960年代終わりから。

最初は,集団自動教育装置と呼ばれた「KAMECOM-1」が,香川大学附属中学校に実験導入されたのが記録で確認できます。つまり50年も前から学校にコンピュータを導入する試みが始まっています。

国が教育用コンピュータに補助を出し始めたのが1985年度なので,そこから数えれば35年ほど経過しましたが,残念ながら学校のコンピュータ整備も,地域格差の象徴となりました。

世界的電機メーカーを有していた日本がこの整備率であるのは(日本に住んで裏事情を知る私たちはともかく)世界の人たちからすると摩訶不思議な事態です。

35年かけてダメだったことを年末年始に急ごしらえして,このあと3〜4年かけて実現できるのかどうか。正直,どうなるか分かりません。ダメに決まっていると言う人が多いんじゃないかとも思います。

何を言うのかは自由ですが,事業自体は進みますので,政府はもちろん自治体担当者の方々が困難を乗り越えながら対応していることも忘れないでおきたいものです。国の補助が受けられる機会をすべての自治体が活さなければ,地域格差の拡大が進むのですから。

応援したいと思う一般住民の皆さんは,教育委員会に直接コンタクトするのではなく,むしろ,首長や議員,もしくは財務部局へのプレッシャーなどが効果的かと思います。

“学校で用意する”から”家庭で用意する”へ

国の補助は恒久的なものではありません。

“巨大玉転がし”にたとえるなら,転がりにくい初動の押しを国が助けるもので,転がり始めれば,あとは各自治体や家庭で押し続けて欲しいというものです。

最終的には”文具”として情報端末を家庭で用意することが目指されています。Webブラウザから授業や学習で利用するサービスにアクセスできる性能が確保されたものを自前で用意することが理想です。

しかし,そうなるためには,学校や先生達が自分たちの学校教育をそれに対応できるよう作り替える猶予と支援が必要となります。

端末を学校で用意することを続けられるなら,端末に制限を加えて使用頻度を落とせば何とかなります。

しかし,端末を家庭で用意して持参してもらうようになると,端末に制限をかけることは難しくなりますし,使用頻度を落とせば文句を言われることになりかねません。

学校関係者が懸念を感じないわけがありません。願わくは,携帯電話と同様に学校への持ち込みを禁止してくれた方が良いと考える人が多くなるのも,不思議はないように思います。

35年間の失敗は,こうした懸念や禁止意向に対して,納得させるまでの十分な対応が出来てこなかった上,拠り所とすべき理論的根拠の提供も行き渡らなかったことだと思います。

グローバルとイノベーションを必要とできるか

今回のGIGAスクールのGIGAは,Global and Innovation Gateway for Allの頭文字です。

学校にグローバルとイノベーションというキーワードを持ち込もうとする試みであり,今回の事業は,そのための条件整備となります。

新たに持ち込まれる考え方に対して「重要性」や「有効性」を感じられるのか,先生方はどのような「感情」をもつのか,それらを踏まえて,そもそも新しい考え方に取り組む「意欲」が生まれるのかを丁寧に解きほぐさなければなりません。

率直に言えば,平均的な学校の様子を思い浮かべると,グローバルもイノベーションも縁遠いものであり,「重要性」「有効性」を当事者として感じ取ることは難しいのではないかと思います。

そうなれば,新しい考え方を押し付けられる状況に直面した際に,好意的な「感情」を持つはずもなく,そうなければグローバルやイノベーションに対して「意欲」的に取り組むことはあり得ません。

その場合,往々にして私たちは,危機に瀕することを通して,物事の「重要性」や「有効性」を感じ,危機意識を「感情」として,何とかしなければならない「意欲」へと追い込まれて初めて動くことになります。

これが従来の日本的なやり方です。たぶん,ほとんどの人々が暗黙のうちに認めてきた段取りだと思います。

ただ,それが今後も幸せなやり方かどうかは議論が分かれます。前向きに取り組んだ方が,こんなにいいんだということを誰かが示す必要があると思います。

教師から学習者に戻れるか

学校は,教師と児童生徒が授業をする場所から,多様な学習者が集う場所へと変わることが求められています。

よく「学習者中心vs教師主導」という構図を持ち出すことがありますが,この「学習者中心」というのは,教師が学習者に戻ることで初めて意味を持ちます。

学校という場が,先輩学習者と後輩学習者を中心とした場所となれば,それは学習者中心の場所となるわけです。

教師から児童生徒への知識伝達というイメージも,学習者同士の知識共有と創造にイメージを変えていければよいですし,それが世界中をフィールドに展開すれば,あるいはグローバルとイノベーションという考え方が自然と入り込むのかも知れません。

意外かも知れませんが,平成29,30,31年改訂の学習指導要領は,そういうことも視野に入れたものでした。

もし先生達が学習者に戻るとなれば,それ相応の情報環境が必要になります。そのためのネットワークと情報端末も。

GIGAスクール構想は,学習者のための学習環境を確保するための条件整備です。そして,学習者とは,あらゆる人たちのことを指すといってもよいと思います。これは私たち一人ひとりのための取り組みなのです。