20181007_Sun

近所を散策する。

行動範囲も変わりつつあるので,あまり足を踏み入れていないところへ。どこに住んでいても旅行者気分が抜けないので,目新しいルートを見つけるとそっちに行ってみたくなる。

この連休,徳島で「マチ★アソビ」というイベントが開催されている。私が徳島に越してきたのと同じ2009年にスタートし,今は春秋年2回開催となって今回で21回を数える催事となっている。

公式の説明には「”徳島をアソビ尽くす”ことを目的とした複合エンターテイメントイベントです。徳島のシンボルである眉山山頂や、新町川沿いにある“しんまちボードウォーク”、 阿波おどり会館やポッポ街、徳島駅周辺を巻き込み、各エンターテイメント関連会社や人気声優が一堂に会し、さまざまなイベントや展示が行われる一大イベントです。」とある。

気づくとは思うが「人気声優が一堂に会し」とあって,なぜタレントもしくは芸能人と書かないのか不思議に思うかも知れないが,このイベントが徳島にあるアニメ製作会社の声掛けで始まって,イベントの多くがアニメやゲームといったエンターテイメントをベースに企画されたものだからである。そのため,期間中の会場周辺は主にアニメファンやそういったことに関心のある人達が集うといった様相になっている。

とはいえ,徳島を盛り上げたいという気持ちから出発していることは間違いないし,街が賑やかになる手段はいろいろあってよいはずなので,そんなことからマチ★アソビは継続してきた。

徳島という県は,良い意味でも悪い意味でも周回遅れの県だと思う。

いわゆる都会的な要素を他府県に任せたまま自県で持たず,都会化する必要性のない時代に突入したお陰で,いまや不自由なくのんびりと暮らせる場所になっている。唯一の不便は,県外へ移動するコストの高さだけ。

都会的な要素がないというのは,余所行きという感覚をあまり必要としないことであり,改まった感覚や緊張感というものが生起するのに時間がかかるということでもある。

それを長所と捉えるか,短所と捉えるかは,ケースバイケース。

vs東京」のような魅力PRのコンセプトとして利用することもできるだろうし,時には今年の阿波踊り運営で全国に知れ渡った騒動のような事態の遠因になっているのではないかとも思う。

日常生活を送る分には,徳島は大変住みよい土地だし,緊張感があろうが無かろうが関係がない。大都市に出かけたければ,高松,神戸,大阪へと足を伸ばせば済むことだし,出費をいとわなければ東京にひとっ飛びする飛行路線は毎日利用できる。

問題は,それが持続可能なのかという一点だろう。

ほとんど関係ないが,なんとなく『ハマータウンの野郎ども』(ちくま学芸文庫)のことを思い出してしまった。何かしらの再生産が働いているとしたら,この徳島が再生産している価値とは何か。一人で考えても生産的にはならない問いなので,あんまり考えないでおこう。