教育用メッセージングサービス

 教育用SNS(教育向けのFacebookのようなもの)が様々登場し始めており,持続的な学習活動を支えるツールとして注目されています。

 文部科学省と総務省の新たな連携事業もクラウドサービスの教育利用を前面に出していますので,こうしたサービスがこれから数年の重要トピックスになるのは間違いありません。

 もう一つは,教育用IMサービスがそろそろ目立ってきそうだということ。

 「ClassDojo」という教育用SNSは「ClassDojo Messaging」という機能を今年3月ごろから開始しています。そして米国8月13日にiOS用とAndroid用のアプリをリリースして,スマートフォンから手軽にメッセージングできるようになったようです。

 ClassDojoでは保護者が教育に参加するツールとしてアピールしているようですが,こうしたメッセージング機能を学習者とのコミュニケーションに活用することも直に検討されるでしょう。コミュニケーションツールとしてのLINEの台頭を見ていると,そのことを無視するのは難しいからです。

 多くの教育用SNSが学習者同士のダイレクトメッセージ機能を採用していません。ダイレクトにやりとりできるのは先生とだけです。学習者同士の無用なトラブルを避けるためでもありますし,そもそも学習者のやりとりを共有するのが目的ですから,やりとりはSNS上の平場に書き込むことが基本という考え方です。

 しかし,先生や保護者から見えないところで友だちとコミュニケーションしたいという欲求は普遍的なものですし,教育用SNSを利用する一方でLINEを並走させて本音トークが展開するのも当然起こりえます。

 現状,メッセージングサービスに対して,完全に後手に回った学校教育は対応に苦慮しているといったところですが,今後は,SNSやメッセージングサービスをどう扱って,必要ならどう味方につけるかを考えなければならないのだと思います。

 もっとも,ただでさえ慌ただしい教師の仕事が,保護者とのコミュニケーションにおける「既読」呪縛でさらに悩ましくなるなんてことは避けたいところ。つまり,こうしたツールの利活用以前に私たちのコミュニケーション現況が如何に歪であるのかを認識することから始めなければならないかも知れません。