準備期間ではない学校教育の始まり

学習指導要領の捉え方が平成29年改訂で根本的に変わったことを,学校教育関係者でさえ実感していないかもしれません。

「資質・能力」や「見方・考え方」という新たなキーワードを使って混み入った理屈が連なっていたり,カリキュラム・マネジメントを学校や教師レベルで展開しなさいと求められてはいるけれども,単にそれはいつものように要求項目が増え,現場の人間がなんとかしなさいと言うための方便だと受け止めているのがほとんどだと思います。

実際,小学校を例に取れば,先行して始まった特別の教科「道徳」に続いて,教科「外国語」の新設,プログラミング体験の導入など,教育内容は単純に増大しています。

授業時数に限ってみても,教科「外国語」の分が時数増加するわけですから,そのしわ寄せが学校行事等に及ぶなど,学校はてんやわんやの状態です。

こうした大騒動は,新たな学習指導要領を従来の捉え方の枠組みの中へハメ込もうとする困難から生じています。

しかし,蓋を開けて試行錯誤を進める中で,やがて分かってくるのは,「従来の捉え方の枠組み」の方を変更しなければならないということなのです。

つまり,学校の守備範囲を変えざるを得ないということです。

学校教育は社会で生きるための準備期間であるという捉え方が堅持されてきました。

そうすることで適切に配慮された教育内容を系統的に学ぶ場を確保し、子ども達が安定的に社会参加に向けての成長を遂げられると考えたからです。これは人権を保障され行使する存在としての市民を育成する意味でも重要です。また、社会から隔離することで子ども達が安心して試行錯誤することも保証できるからです。

しかし、社会生活の準備期間としての学校教育を仮に「K-12」の範囲と考えた場合、その18年間、社会生活をしていないのかといえばそうではなく、すでに市民の一員として立派に社会活動を展開しています。

現実の学校教育は、準備としての学校教育にとどまらず、とうの昔から社会活動を実践している青少年市民を相手に社会教育としての役割を担わざるを得なくなっていたのです。

つまり、準備期間ではない学校教育は始まっていたのです。

このような前倒しが起こっていたにもかかわらず、学校は社会から隔離された状態を保ち、準備教育として良かれと思われることに焦点化を続けてきました。

特に日本の学校教育は、諸外国の学校教育に比べて、社会との結びつきを限定的に絞ってきた傾向が強くあります。

いま、学校にまつわる話題の数々が世間を少なからず驚かせてしまっているのは、裏を返せば学校教育活動が世間と距離をとり続けてきたことの証左であるともいえます。

加えて、何らかの問題に直面した教育委員会がとる対応等が、一般市民が取るべきと考えるものとズレていることが多いのも、教育委員会事務局や学校教育関係者に世間とやりとりできるコミュニケーションチャンネルが持たされてないことに遠因があるように思います。

それもこれも、準備期間としての学校教育を営むにおいて、実社会と直結するようなパイプは必要なく、教育的なフィルタリングを通してのみ関わることが望ましいと考えてきたためです。

これは教育学的には、現在でも有効なアプローチであることは確かでしょう。

ただし、学校教育の教育内容が、現代社会における準備を担うに相応しいものであるならば…です。

変化の緩やかな時代ならば通用していた方法も、情報が常にアップデートされ、知識活用そのものが学習活動であると考えられるようになった現代においてはもう、通用しないのです。

教育内容を習得・探究するだけに留まらず、活用を見通す必要をうたったのは平成20年度改訂からでした。

この助走が、平成29年度改訂の学習指導要領において、学校から実社会に向けた働きかけという形で本格的な走りとなります。

これは学校教育自体を反転させる試みです。

日本的に理解を促すのであれば、児童生徒達の社会活動を学校教育の場に前倒しすることだといえます。

そこにはもちろん準備期間としての学校教育活動も存在するとは思いますが、そうした期間は短めに区切って、実践的なプロジェクト活動として知識の活用を促し、さらなる習得や探究をも引き出していくような姿が求められているといえます。

そのためにはまだ、教職員や児童生徒、学校にとっての武器となるリソースが足りません。人手もたくさんいるでしょう。

そして、何より、学校教育に関わりうる人々の学校教育に対するマインドセットを変えることからスタートしなければならないと思います。

昨今の学校における1人1台学習端末も、学校教育に対するアップデートされた認識からすれば、遅すぎたとはいえ、至極当然の措置であり、それも足がかりにしながら学校教育を反転させていかなくてはなりません。

誰が反転させるのか?

ここまでは、実社会と距離をとりながら、学校教育関係者が学校教育を担ってきた流れにありました。

保護者も地域社会も,準備期間を担う学校教育を専門家である関係者に任せ,子どもたちを預けてきました。そして必要に応じ,協力者として関わる形を取ってきました。

平成29年度改訂の学習指導要領は「社会に開かれた教育課程」と位置づけられています。

このことの意味は,準備期間ではない学校教育の始まりをあらためて宣言し,学校の教職員や児童生徒を実社会の一員として対等に扱うことを通して学びの世界を社会に広げていくことだといえます。そこでは協力者という立ち位置とまた異なる関わりが必要だと考えられます。

けして新たな教育理念が導入されたということではなく,これまで理念として人々が語り思い描いていたものを,学校教育への実際的な関わりとして具体化し実践していくことなのだろうと思います。

今回の学習指導要領がそうした学校教育のアーキテクチャの大幅アップデートだとすれば,私たちは用意された環境のもと,実社会に結びついた学習活動という様々なアプリのインストールによって動かしていくことが求められているともいえます。

さて次は,社会の側にいる私たちのターンです。

 

変わらざるを得ない学校教育の守備範囲

平成29,30年改定の学習指導要領にもとづく学校教育への移行が準備され,段階的とはいえ来年度から本格実施となります。

私自身はもともと,教育内容研究の学徒としてこの道に紛れ込みましたので,研究対象として学習指導要領改訂を追いかけてきました。

ちょうど平成元年改訂の「新しい学力観」に始まり,平成10年改訂「生きる力」,平成20年改訂(21世紀に対応する生きる力の深化)を経て,平成29年改訂「資質・能力(コンピテンシー)」を同時代的に眺めてきたことになります。

個人的所感になりますが,学習指導要領は常に「新しさ」を盛り込んで改訂されてきました。とはいえ,いわゆる法的拘束力をもつ存在として,自由闊達な教育の創造を促すというよりは,それに従うことによって新しさを出していく傾向を引きずってきたのだと思います。

学校関係者の献身的な努力によって,これまでは「新しさ」への追従もなんとか体面を保っていたわけですが,今後の学校教育を学校関係者だけの努力で運営していくことは限界に来ています。

まして平成29年改訂は,学習指導要領の捉え方自体を根本的に変更しました。

単に「新しさ」を追従するだけのやり方では,学習指導要領が目指しているもの自体を台無しにしかねないのです。

これからは,外部の地域社会の人々とも関わりを増やしながら,努力のエネルギーを創造的な方へ向けていくことが求められています。

しかし,学習指導要領には創造的な方向が「具体的に何を目指すのか」までは明記していませんから,それを学校関係者が地域社会を巻き込んで考えていかなくてはならないという課題が立ちはだかります。

そのような課題に取り掛かる経験した学校関係者は正直多くありません。

教師教育(教職員研修)や教員養成の領域も,この課題に立ち向かうためどうすればよいのか,これまでの取り組みの見直しを迫られているわけです。

過日,PISA2018の調査結果が公表されました。

様々な報道や分析が飛び交い,PISA読解力の順位低下に注目してデジタル・スキルの弱さを指摘するものや,報道記述の紋切り調を論難するもの,様々な要因が絡みあった結果だと考えるものなど,様々です。

私はたまたまタイミングよく,OECDのPISA調査結果発表カンファレンスの様子を動画ストリーミングで視聴していました(録画を見ることができます)。

OECD事務総長のグリア氏によって概要が発表された後,OECDの教育・スキル局長であるシュライヒャー氏が調査結果について解説をし,よき変化のあった国々の責任者が招かれてコメントをしています。

発表会ですので,調査結果の順位や点数の分析に言及していることは当然なのですが,むしろ,そこで語る人々の熱量は「よりよき日常生活」のために結果をどう受け止めて何に取り組むのかに多く注がれていました。

動画内に写る登壇卓にも記されている言葉ですから,OECDのキメ文句だとは思いますが,「BETTER POLICIES FOR BETTER LIVES」という言葉を彼らは臆面もなく強い口調で訴えるのです。

シュライヒャー氏も分析結果を背景とともに紹介しながらも,基本はこれからの時代に各国の教育が何を目指すのかが大事であるとの姿勢は崩していませんでした。『教育のワールドクラス』に著されている通りです。

アプローチは様々あるにしても,基本的には子どもたちのウェルビーイングを高められるよう「教師」が専門性を発揮できるようにする必要があり,そのためのサポートを各国がポリシーとして位置づけていくことを重視しているのです。

では日本の子どもたちや私たちの「ウェルビーイング」とは何なのか?

人生の満足感や質を高めるとか,人生の満足感や質を高めることを促す教育学習活動とは日本において一体何なのか?

教育に関わる人間どころか,一般市民でさえ,まともには語り合えていないテーマについて,学校教育関係者は専門性なるものを発揮して取り組まなければならない…と言われているのです。

情報時代の学校をデザインする』を著したライゲルース氏たちは,学習者中心の教育への転換のために6つのアイデアが必要だと論じています。

1. 達成ベースのシステム
2. 学習者中心の指導
3. 21世紀型スキルを含む広がりのあるカリキュラム
4. 教師,学習者,保護者およびテクノロジーの新たな役割
5. 調和ある人格を育む学校文化
6. 組織構造,選択,インセンティブ,意思決定のシステム

6つと言いながらも中身は多様な内容です。率直に言えば,新しい私立学校をつくるでもない限り,6つを実現するのは容易ではないと思います。

しかし,強いて何から取り組むことが公立学校の教職員に可能なのかと考えると,「4」の新しい役割を認識することからではないかと思います。そこから「2」を再構築し直したり,「1」を導入したり,やがて「3」や「6」が必要になって,「5」が生まれるとイメージしつつ,実際の順番にこだわらないことが必要なのでしょう。

大事なのは,学校設置者である教育委員会や基礎自治体の全部局,地域社会全体が当事者としてコンセンサスを持つことです。必要があればコミットできる状態をつくることでしょう。

人々が分断したまま,慣例的に自動化された手続きによってだけ運用されるような地域社会には「ウェルビーイング」は生起しないということです。

もちろん,日本のムラ社会的な仕組みは,郷に入っては郷に従うことで得られるメリットがたくさんありました。その善さをすべてスポイルすべきとは思いません。それがウェルビーイングの選択肢としてコンセンサスを得られるのなら,納得できる持続可能な方法で目指せばよいと思います。

ただ,やはり時代が進み,世界的な視野を必要とする世の中になってきて,なんの見直しも再検討もなしに従来の仕組みを継承することは難しくなっている。それが学校教育の守備範囲を変えざるを得なくなっている事情でもあると思います。

少し前にもてはやされた「反転学習」という取り組みがあります。

授業でやっていた習得学習と家庭に持ち帰っていた課題学習を「反転」させて,家庭で動画教材などを活用して習得学習してもらい,授業で課題を取り組みながら教師や仲間の学習者との協働学習を深めてもらうというアイデアを出発点にした学習形態です。

しかし実際には,名前ほどキレイに反転したやり方の取り組みはハードルが高く,その上,話題を集めた当時は動画教材の活用などがワンセットで取り上げられがちであったため,敷居の高さを感じさせてしまいました。

先行して取り組んだ学校や教員の方々は,事前の教材研究や準備の大変さを乗り越えて,蓄積された学習教材リソースを元手に現在も順調に取り組みを進展させているのですが,その山を越えられなかった人々や世間の関心はサーッと引いてしまった感はあります。

日本での「反転学習」の現実的な受容のされ方は,反転ではなく,「前倒し学習」と呼ぶべきもので,もしかしたら,そのようにネーミングを変えて理解の浸透を目指すべきだったのではないかとも思われます。

学習を前倒すことによって,何を実現させようとしているのか。

そう考えた時,平成29年改訂の学習指導要領が目指している「社会に開かれた教育課程」とは何か。延いては社会とともにある学校教育の姿というものを新たに描かざるを得ない理由も見えてくるのかも知れません。

だいぶ長くなりました。続ける前に一区切りつけたいと思います。

PISA2018調査結果関連

2019年12月3日,日本時間17:00にPISA国際学力調査の結果が公表されました。

関連情報をメモしておきます。

PISA (OECD)
http://www.pisa.oecd.org

20191203 "PISA 2018 Results" (OECD)
http://www.oecd.org/pisa/publications/pisa-2018-resultshtm.htm

20191203 "PISA 2018 Database" (OECD)
http://www.oecd.org/pisa/data/2018database/

20191203「『OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)』の結果について」(国立教育政策研究所)
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html#PISA2018

20191203「萩生田文部科学大臣コメント」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/detail/1422960.htm

20191129 "PISA 2018: A Sneak Preview (in Japanese):EduSkills OECD" (YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=rGq8Fqf-cek

20180219「PISA2018の新調査、日本は不参加…1つの指標による順位付け懸念」(ReseMom)
https://resemom.jp/article/2018/02/19/42989.html

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20191203「日本の読解力が低下、OECD調査で15位」(共同通信)
https://this.kiji.is/574507334526878817

20191203「高校1年の読解力、15位に低下 OECD調査、上位層と差」(共同通信)
https://this.kiji.is/574525138869077089

20191203「「読解力」15位に後退 日本、理数は高水準維持―OECD18年国際調査」(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019120300928

20191203「国際学力調査、パソコン解答に戸惑いも 授業で操作経験少なく―文科省」(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019120300961

20191203「「読解力」15位に急降下、「数学」「科学」トップレベル維持…PISA」(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/20191203-OYT1T50212/

20191203「日本の15歳、自由記述苦手? 国際調査で読解力低下」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASMD343J9MD3UTIL012.html

20191203「日本の15歳「読解力」15位に後退 デジタル活用進まず」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52905290T01C19A2CC1000/


20191203「日本の15歳、読解力が15位に急落 国際学習到達度調査」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191203/k00/00m/040/132000c

20191203「PISAが問うのは「行間を読む力」 AI時代こそ必要に」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191203/k00/00m/040/142000c

20191203「段落がない文章に誤字・脱字… スマホ依存の影響指摘も」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191203/k00/00m/040/138000c

20191203「新聞の要約 英語読解にも効果 試行錯誤する教育現場」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191203/k00/00m/040/146000c

20191203「PISA1位は中国の都市部 アジア勢がトップ3独占」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191203/k00/00m/040/191000c

20191203 "Japanese 15-year-olds rank high in math, sciences, but reading down: PISA exam" (The Mainichi)
https://mainichi.jp/english/articles/20191203/p2a/00m/0na/014000c


20191203「PISA調査 日本の読解力低迷 、読書習慣の減少も影響か」(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/191203/lif1912030037-n1.html

20191203「PISA調査 日本の15歳、読解力15位 3年前より大幅ダウン 科学・数学的応用力はトップレベル維持」(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/191203/lif1912030033-n1.html

20191203「PISA調査 ネットニュースやブログから出題 情報の信憑性評価する力問」(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/191203/lif1912030041-n1.html

20191203「PISA調査 日本、家庭の経済的格差など最小 広く教育が浸透か」(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/191203/lif1912030042-n1.html

20191203「PISA調査 デジタル機器、8割「授業で利用せず」 ゲームやチャットでは使うけど…」(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/191203/lif1912030040-n1.html

20191203「PISA調査 広島大大学院の難波博孝教授 読解力低下、活字離れが要因 電子書籍の読書教育を」(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/191203/lif1912030048-n1.html


20191203「(PISA2018)国際学力調査 読解力が顕著に低下」(日本教育新聞)
https://www.kyoiku-press.com/post-210466/

20191203「(PISA2018)「求められる読解力の性質、変わった」OECD」(日本教育新聞)
https://www.kyoiku-press.com/post-210484/

20191203「(PISA2018)情報機器の授業利用 加盟国最低」(日本教育新聞)
https://www.kyoiku-press.com/post-210481/


20191203「【PISA2018】数学・科学はトップクラス 読解力は低下」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191203_06/

20191203「【PISA2018】順位低下の読解力 日本は自由記述に課題」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191203_05/


20191203「日本の15歳、読解力と科学的リテラシーが低下…PISA2018」(ReseMom)
https://resemom.jp/article/2019/12/03/53663.html


20191203「3分でわかるキーワード 日本は? 「学習到達度調査」」(FNN)公開終了
https://www.fnn.jp/posts/00428299CX/

20191203「日本の15歳 読解力が低下、OECD調査で8位→15位に」(TBS NEWS)
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3846668.html

20191203「国際学力調査 日本 課題の読解力で15位 前回より下がる」(NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191203/k10012200591000.html

20191203「OECD学力調査“読解力”日本は11位に」(日テレNEWS24)
http://www.news24.jp/articles/2019/12/03/07555121.html


20191203「社説:デジタル時代の読解力とは」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52915630T01C19A2SHF000/

20191204「【主張】国際学力調査 情報に溺れない読解力を」(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/191204/lif1912040005-n1.html

20191204「社説:PISA調査 読解力低下に歯止めかけたい」(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20191203-OYT1T50294/

20191204「社説:国際学力調査 自分の考え育む授業を」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14281401.html
 
20191204「社説:国際学力調査 読解力育む土壌豊かに」(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2019120402000118.html


20191204「学力調査の順位下落 授業のデジタル化の遅れが影響か」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASMD314TJMD2UTIL05T.html

20191204「国際学力テスト 日本の読解力急落、15位 数学・科学は上位維持」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191204/ddm/001/100/141000c

20191204「クローズアップ:国際学力テスト 読解力急落 「PISAショック」再び」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191204/ddm/003/100/107000c
 
20191204「18年国際学力テストPISA 日本の高校生、読解力低下 正しい情報探し苦戦 複数資料の検証も」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191204/ddm/010/100/037000c

20191204「18年国際学力テストPISA 日本の高校生、読解力低下 清水静海・帝京大大学院教授、浅沼茂・立正大特任教授の話」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191204/ddm/010/100/039000c

20191204「読解力 転落ショック…国際学力調査 SNS世代 読むより「反応」」(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20191204-OYT1T50094/

20191204「OECDが見抜いた!日本の「読解力」過去最低に」(日刊工業新聞)
https://newswitch.jp/p/20252

20191204「情報「使いこなす力」を 国際学習到達度調査PISA」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14281438.html

20191204「日本の子どもの読解力が急落 学習にデジタル機器「使わず」」(FNN)
https://www.fnn.jp/posts/00428318CX/201912040005_CX_CX

20191204「子どもの読解力向上には デジタル機器活用や読書が鍵」(NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191204/k10012201051000.html

20191204「情報「使いこなす力」を 国際学習到達度調査PISA」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14281438.html

20191204「学習でのIT機器活用、加盟国で最下位 「利用せず」大半」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52912550T01C19A2M13700/

20191204「【PISA2018】読解力の課題 中教審教育課程部会が検討」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191204_03/

20191204「【PISA2018】授業中のデジタル機器の利用 日本は最下位」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191204_04/

20191204「【PISA2018】デジタル時代の読解力に遅れ OECD局長」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191204_05/

20191204「中国が読解力・数学・科学の3分野でトップ-OECDの15歳学力調査」(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-04/Q1YZP2DWX2PS01

20191204「[スキャナー]「情報探し出し」苦手な日本の15歳」(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20191203-OYT1T50303/

20191204「【PISAショックとか言うな!】読解力低下をどう受け止めるか」(Yahoo!ニュース個人)
https://news.yahoo.co.jp/byline/senoomasatoshi/20191204-00153583/

20191204「読解力 後退続き15位 OECD高1調査 情報真偽見極め苦手」(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/565084/


20191205「詳報 OECD生徒の学習到達度調査(PISA)2018」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/close-up/cu20191205/
 
20191205「社説:PISAで読解力低下 長文に触れる機会作りを」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191205/ddm/005/070/044000c

20191205「(PISA2018)読解力低下 ICT環境整備の遅れのツケ回ってきた」(日本教育新聞)
https://www.kyoiku-press.com/post-210535/

20191205「日本、PISA読解力ランキング「過去最低」これだけ改革して、なぜ…? 「読書離れ」は止まったはずなのに」(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68901
【海外報道】

20191203 "The best students in the world, charted" (QUARTZ)
https://qz.com/1759506/pisa-2018-results-the-best-and-worst-students-in-the-world/

20191203 "Only 9% of 15-year-olds can tell the difference between fact and opinion" (QUARTZ)
https://qz.com/1759474/only-9-percent-of-15-year-olds-can-distinguish-between-fact-and-opinion/

20191203 "Teens from China's wealthiest regions rank top of the class in global education survey" (CNN)
https://edition.cnn.com/2019/12/03/asia/pisa-rankings-2019-intl-hnk/index.html
【中国】

20191204「国际测评显示 -- 中国中学生阅读、数学和科学方面表现优异」(人民日報)
http://world.people.com.cn/n1/2019/1204/c1002-31488216.html
【韓国】

20191203「読解分野「12年連続」下落…「韓国の中高生、生活満足度低い」」(朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/12/03/2019120380241.html

20191203「科学の授業を理解していない韓国の中学生、1年で2倍に」(朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/12/03/2019120380083.html
【シンガポール】

20191203 "China pips Singapore to top spot in Pisa education ranking" (The Straits Times)
https://www.straitstimes.com/singapore/education/low-income-students-here-do-better-than-their-peers-overseas

20191203 "15-year-olds in Singapore have a greater fear of failure than those abroad" (The Straits Times)
https://www.straitstimes.com/singapore/education/15-year-olds-in-spore-have-a-greater-fear-of-failure-than-those-abroad

20191203 "Pisa: It's OK to be No. 2 in academics, Singapore should focus on student well-being" (The Straits Times)
https://www.straitstimes.com/singapore/education/pisa-no-2-in-academics-is-ok-but-spore-should-aim-to-top-student-well-being

20191203 "3 in 4 Singapore students fear failure, higher than global average: OECD study" (TODAY)
https://www.todayonline.com/singapore/3-4-singapore-students-fear-failure-higher-global-average-oecd-study

20191203 "Singapore's 15-year-olds rank second globally in reading, maths and science: Study" (CNA)
https://www.channelnewsasia.com/news/singapore/singapore-s-15-year-olds-rank-second-globally-in-reading-maths-12147856

20191204 "Pisa 2018: Singapore slips to second place behind China but still chalks up high scores" (The Straits Times)
https://www.straitstimes.com/singapore/education/pisa-2018-singapore-slips-to-second-place-behind-china-but-still-chalks-up-high
【台湾】

20191203「PISA評比 大陸3冠王 台灣數學、科學退步」(聯合報)
https://udn.com/news/story/6885/4203640

20191203「PISA 2018調查公布 台生閱讀素養全球17名」(蘋果新聞)
https://tw.news.appledaily.com/life/realtime/20191203/1672216/

20191203「PISA成績公布 台灣學生閱讀全球第17、進步6名」(自由時報)
https://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/2997477
【UK】

20191203 "Pisa tests: UK rises in international school rankings" (BBC)
https://www.bbc.com/news/education-50563833

20191203 "Pisa tests boss: Wales education system 'lost its soul'" (BBC Wales)
https://www.bbc.com/news/uk-wales-50592611

20191203 "Education: Why have Wales' teenagers under-performed?" (BBC Wales)
https://www.bbc.com/news/uk-wales-50587348

20191203 "Why immigration is a big factor in Pisa performance" (tes)
https://www.tes.com/news/why-immigration-big-factor-pisa-performance
【US】

20191203 "U.S. Students Fail to Make Gains Against International Peers" (THE WALL STREET JOURNAL)
https://www.wsj.com/articles/u-s-students-fail-to-make-gains-against-international-peers-11575360000

20191203 "U.S. students continue to lag behind peers in East Asia and Europe in reading, math and science, exams show" (The Washington Post)
https://www.washingtonpost.com/local/education/us-students-continue-to-lag-behind-peers-in-east-asia-and-europe-in-reading-math-and-science-exams-show/2019/12/02/e9e3b37c-153d-11ea-9110-3b34ce1d92b1_story.html
 
20191203 "Looking for Post-PISA Answers? Here’s What Our Obsession With Test Scores Overlooks" (EdSurge)
https://www.edsurge.com/news/2019-12-03-looking-for-post-pisa-answers-here-s-what-our-obsession-with-test-scores-overlooks
【オーストラリア】

20191203 "PISA results: How did system get this so wrong?" (THE AUSTRALIAN)
https://www.theaustralian.com.au/nation/pisa-results-how-did-it-all-go-so-wrong-for-aussie-kids/news-story/ce038c6ac5183de0d2dc0a72cb87de70
【フィンランド】

20191203 "Pisa star Finland falls down rankings" (tes)
https://www.tes.com/news/pisa-star-finland-falls-down-rankings
【エストニア】

20191202 "Pisa rankings: Why Estonian pupils shine in global tests" (BBC)
https://www.bbc.com/news/education-50590581
【ブラジル】

20191203 "Brasil fica abaixo da média em ranking mundial que avalia a educação" (Correio Braziliense)
https://www.correiobraziliense.com.br/app/noticia/eu-estudante/ensino_educacaobasica/2019/12/03/interna-educacaobasica-2019,811078/brasil-fica-abaixo-da-media-em-ranking-mundial-que-avalia-a-educacao.shtml
 
20191203 "Brasil é um dos países mais desiguais na educação, mostra Pisa" (Estado)
https://educacao.estadao.com.br/noticias/geral,brasil-e-um-dos-paises-mais-desiguais-na-educacao-mostra-pisa,70003111898

学校教育におけるアカウントを考える

学校における1人1台情報端末のための予算確保が進行しています。

基礎自治体や都道府県・政令都市の自治体は,学校で多数の情報端末が常時稼働する状況に対応できるよう,学校教育のハードウェア(校舎等の施設設備や機器等の備品に関わる環境整備),ソフトウェア(今後の学習活動および情報環境の運用に必要なスキルまたは体制)を見直していく必要があります。

このブログでは,1人1台情報端末と合わせて,1人1アカウントの整備が必要であると主張しています。

しかし,1人1アカウントと言う場合の「アカウント」とは何を指しているのか。また,それを実現するにはどうすればよいのかについては,現実のサービスに依存する点も多く,あまり明確にはしませんでした。

とはいえ,そこまで強く主張するのであれば「学校教育におけるアカウント」とは何であるべきか,どうあるべきかについて考えを巡らして整理する必要はあります。

このブログで「アカウント」と呼称しているものは何を指しているのか。

実は,幅を持たせるために曖昧なままに使用していました。考えられる対象は以下のものです。

  1. メールアドレスの登録(メールアカウント)
  2. ネットワークストレージサービス(例:Dropbox等)の使用権利登録
  3. アプリケーションソフトウェア(例:Word, Excel等)の使用権利登録
  4. クラウドサービス(例:G Suite等)の使用権利登録
  5. 個別の情報端末管理のための登録(例:Apple ID等)
  6. 学習サービス等利用認証のための登録(例:まなびポケット)

これらを「アカウント」という言葉でひっくるめて考えていたことになります。

【1. メールのアカウント(メールアドレス)】

メールアドレスの所持は,インターネットを本格的に利用するために必須といえます。

社会的な活動(たとえばビジネス)を積極的に展開する際には,他者からの連絡を受付ける方法として,従来の電話やファックスに置き換わるほど重要となっています。

これまでの学校教育は,教職員に個別メールアドレスを割り当てることを重視してきませんでした。

「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」では「教員のうち、メールアドレス付与人数」として調査がなされていますが、教職員87万人に対して付与人数59万人となっており、約6割には付与されているものの全員に付与されているわけではありません。

多くの場合,「学校の代表メールアドレス」が用意され利用されていますが,教職員個別のものはあまり利用されていないようです。

そのため,学校の先生が学校外の協力者と連絡を取る場合,電話・ファックスか,「個人で取得したメールアドレス」を利用するというパターンになっています。

教職員個別にメールアドレスを付与して活用している自治体もあります。

先進的な取り組みをしている自治体は独自に整備しているため,市町村レベルで発行している場合もあれば,都道府県レベルで発行している場合もあり,その実現方法もバラバラな状況です。

学習指導要領が「社会に開かれた教育課程」を標榜し,今後の学校教育が地域社会との繋がりを今まで以上に強めることが期待されている流れにあります。にもかかわらず,個々の教職員が基本的な連絡ツールとなっているメールアドレスを付与されていない状態は,この時代のICT整備としては不十分といわざるを得ません。

メールアドレスを具体的にどのように運用すべきか(外部に公開すべきかどうか等も含めて)は,それぞれの教育委員会や学校で検討すべきことだと思いますが,メールアドレス整備は必須と考えるべきでしょう。

・メールアドレス整備は,教職員の異動を踏まえて「都道府県単位」で整備する
・教職員には,対外用,校務用,授業用,児童生徒と同ドメインなど複数使用を検討する
・児童生徒は,学習に用いるソフトやサービスの利用のために整備する

【2. ネットワークストレージのアカウント】

教職員は校務関係の文書保存,児童生徒は学習活動の成果保存を主な目的としてネットワークストレージ(クラウドストレージ)を利用することが考えられます。

学校内に「ファイルサーバー」を用意する形式と,学校外の「クラウドストレージサービス」を使う形式が考えられますが,ネットワーク環境が十分整備されることを前提とすれば,クラウドストレージを利用することにはいろいろメリットがあります。

校務用と学習用で分けて考えなければなりませんが,クラウドストレージを使うと,自分が所有している複数の端末からデータを読み書きできたり,同じグループに所属しているメンバーと共有することが容易となり,校務や学習で便利に使えます。

具体的には「OneDrive(Office365)」「Google Drive(G Suite/Google for Education)」「iCloud Disk(Apple)」「Dropbox」といったクラウドストレージサービスが存在します。

このうち「OneDrive」と「Google Drive」は【4.】で触れるクラウドサービスの一部として提供されているため,その他のサービスと連携して利用することが可能です。

「iCloud Disk」はApple社の情報端末を導入した際に利用できる独自のストレージサービスであり,複数のApple製機器を連携させる場合などに便利になっています。

「Dropbox」はクラウドストレージに特化したサービスであり,様々なアプリやソフトと幅広く連携していることを特徴としています。

・クラウドストレージは,障害発生時のためのバックアップ用ファイルサーバーと組み合わせて導入する

【3. アプリケーションのアカウント】

これは従来から「使用ライセンス」と言われているものとほぼ同じことを指しています。

オフィス業務用ソフトウェアとして知られているWord, Excel, PowePointといったOfficeソフトは,使用ライセンスを購入することが前提となっています。

昨今では,サブスクリプションという形式(Office365)で契約し使用ライセンスを確保するようになっており,さらにクラウドサービスとの融合が進んでいるため,【3.】は【4.】に含まれるようになっています。

・様々なアプリケーションを利用するための登録に必要となるのでメールアドレス整備はやはり必要
・Office365はアプリケーションソフトは強いが,クラウドサービスはまだ弱い

【4. クラウドサービスのアカウント】

ここ数年で,インターネット上のWebサービスがかなり実用的なレベルに達してきました。

クラウドサービスとして知られているのは「G Suite(Google)」でしょう。

主なサービスだけでも「検索」「Gmail」「マップ」「カレンダー」「ドキュメント」「スプレッドシート」「スライド」「フォーム」「サイト」「フォト」「Keep」「ドライブ」「翻訳」「クラスルーム」といったものが用意され,Webブラウザから利用できます。

アカウントを持っていれば,Webブラウザの動作するいろんな端末から利用が可能なのです。

もちろん,すべてのサービス機能を利用する必要はありませんし,必ずしも,すべてのサービス機能が万能でよく出来たツールということではないのも事実ですから,「G Suite」で完結するのではなく,必要に応じて他のサービスと組み合わせることになると思います。

Googleほどではありませんが,オフィス系のサービスを中心としたものであれば「Office365」もクラウドサービスの一つといえます。

・G Suiteは多様なサービス機能を包含したオールインワンなクラウドサービスで便利である
・個別のサービス機能に特化したクラウドサービスも様々あるので,適宜利用可能にすること
・教職員は教師用アカウントだけでなく,児童生徒学生用アカウントも同時付与されるのが望ましい
・都道府県レベルで整備することで,アドレス変更することなく教職員の異動による移行作業が可能

【5. 個別情報端末管理のアカウント】

昨今の情報端末は,ほとんどが管理運用のためのアカウント登録が求められます。

Windows端末(Surface等)の場合はWindows10上でマイクロソフトアカウントの登録を求められます。Apple製端末(iPadやMac等)の場合はApple IDというアカウントの登録を前提としています。ChromeOS端末(Chromebook等)の場合は,Googleアカウントの登録が必須となります。

こうした端末管理のためのアカウント登録によって,情報端末の設定情報がバックアップ保管されたり,情報端末同士のやり取りがスムーズ化されたり,情報端末の位置情報をもとに所在を特定することができたりもするのです。

個人利用として端末を導入するのか,組織(法人)利用として端末を導入するのかによって,端末管理アカウントに対する扱い方はガラリと違ってくるため,ここで細かな検討を加えることは避けます。

一括導入される「学校における1人1台情報端末」を管理するのは誰なのか?

個人個人の教職員・児童生徒に完全に管理を任せてしまうのか,それとも,端末機器自体の管理は学校や教育委員会が行ない,教職員・児童生徒はその上で自身の利用する範囲だけを管理するのか。

そういったことも端末を選択することと同時に決定しておかなくてはなりません。

・Apple IDは情報端末と結びつきが強いため。端末機種を超えた利用を前提したい場合には使えない
・マイクロソフトアカウントはOffice365アカウントとして,端末機種を超えて利用することはできる
・Googleアカウントはクラウドを前提としているので,端末機種を超えて利用するのに向いている

【6. 学習サービス等認証用のアカウント】

ここまでのアカウントは,いずれもメールアドレスをベースに考えることができるものでした。

ネット上の学習サービスを利用する際,その登録や認証を簡便化するための仕組みがあります。その技術が「OpenID」と呼ばれるものです。アカウント登録は一つだけ,そのアカウントを他のサービスの認証にも利用できるようにするものです。

たとえば,すでに「Googleアカウント」や「Office365アカウント」を登録してあれば,その登録情報を利用して,対応している個別のサービスを利用開始できたりします。あらためて新規登録する必要がありません。

さらに,この「OpenID」技術を利用すれば,一度ログインするだけで提供元が異なる様々なサービスを切り替えるだけで使えるようにもできます。これは「シングルサインオン」と呼ばれたりします。

たとえば「まなびポケット」というサービスは,このシングルサインオンの仕組みを利用したもので,まなびポケットのサービスにアクセスするだけで提携している異なるサービスを一つのメニュー画面から自由に行き来できるようになります。

本来であれば「まなびポケット」が認証サービスを外部にも開放してくれると,様々なサービスがそれに対応することができるようになりますが,いまのところそうなっていません。

・ログイン手続き(アカウント認証)を簡便化するための仕組みがGoogle,Office365にはある
・教育用クラウドプラットフォームを標榜するものは,学びポケット以外にもClassiなどもある

以上のように「アカウント」という言葉が指すものはいろいろあります。

これらのアカウント機能の多くに対応しているものは何かを検討した時,候補としてあがるのは「Googleアカウント」または「Office365アカウント」ということになります。

この2つのクラウドアカウントは,すでに大学や一部の地方自治体で導入実績もあり,そういう意味で選択肢として挙げても問題は少ないと考えます。

さて,こうしたクラウドアカウントを導入するには,どうしたらよいのでしょうか。

そもそもクラウドアカウントを現存するサービスに依存することは問題ないのか等,いろいろ考えなければならないことがありそうです。

・誰がどの範囲で契約し,付与したアカウントを管理運用していくのか?
・クラウドアカウントの契約先を切り替えることは可能なのか?
・蓄積したデータの取り扱いを民間企業に任せてよいのか?
・卒業していく児童生徒,退職していく教職員のアカウントとデータをどうするのか?

などなど…。

ここでは,「誰がどの範囲で契約し,付与したアカウントを管理運用していくのか?」について,少し考えてみたいと思います。

【誰がどの範囲で契約するか?】

1.

学校設置者単位(市町村の基礎自治体単位)で整備するといった考え方もあるかも知れません。しかし,アカウントは被雇用者に対応するものであることから,雇用主体レベルで整備することが妥当に思います。

教職員の多くは県費職員として雇用され,その後,赴任する学校の基礎自治体に異動することになりますが,幾度かの異動によってアカウントが変わってしまっては,連絡ツールとしてのメールアドレスを維持することが難しくなってしまいます。

都道府県レベル以上でメールアドレスを発行管理することで,異動の際もアドレス変更なしに移行が可能ですし,小規模な基礎自治体の管理運用負担を軽減することができると考えられます。

今回,進行している「学校における1人1台情報端末」の整備が,都道府県レベルの広域一括入札などで進められるのであれば,アカウント整備も合わせて進めることがよいのではないでしょうか。

2.

もう一つ考えられるパターンは,国レベルでアカウント整備することです。

その場合,国レベルでこうした業務を行なう組織や部署を設置する必要があると考えます。

たとえば韓国にはKERIS(韓国教育学術情報院)とよばれる組織があり,韓国国内の教育向け情報サービスの運営やサーバー管理などしています。日本でいうところの国立情報学研究所のような組織です。

日本にもかつては,その業務を担えそうな「メディア教育開発センター(NIME)」とよばれる組織が存在していましたが,2009年3月に廃止されてしまいました。

国立教育学研究所は,GIGAネットワーク構想で注目されている学術ネットワークSINETを管轄している組織でもありますが,この機会に国立情報学研究所内に日本全国の教育関係アカウントを管理運営するような部署を新設するというのもありではないかと思います。

そうすることで将来的に地方に補助しなければならない予算を抑制することができるかも知れません。

【付与したアカウントを管理運営するにはどうするか?】

1.

アカウントの付与を都道府県レベルで行なう場合,多くの場合は契約したクラウドサービス側が技術的には運用し,事務的な管理や手続きなどは都道府県の教育委員会が基礎自治体と連携して行なうことになるかも知れません。もちろんその事務手続きをどこまでアウトソーシングするかは入札仕様や契約によって変わると思います。

現実的には,代理店や支援サービス事業者が,アカウントの事務管理を代行するのだと思います。これは情報端末の保守などと併せて行なわれるかも知れません。

2.

うまく設計すれば,アカウントの発行管理は都道府県レベルで行ないつつも,管理権限委譲の仕組みで,個別の市区町村(基礎自治体)レベルでアカウントを管理することが可能かも知れません。

この辺は,都道府県単位で基礎自治体の連絡協議会を立ち上げて連携していくことが必要になります。

これも学校における1人1台情報端末の整備の際に連携しておかなければならないとすれば,アカウントに関しても対象を広げて連携していくことにすべきでしょう。

以上,まだ大変ラフな状態ですが,学校利用を前提とするアカウントについて考えてみました。

ここからさらに論点を洗い出したり,洗練した上で,細かい議論を積み重ねる必要があると思います。いずれにしても,情報端末だけでなく,アカウントのことを考えるだけでも,もっと自治体同士が情報共有を行ない,自分たちが関わる学校教育でどうしていくべきかの議論を繰り返していく必要があります。