近況報告

 寂しいニュースに接してから,しばらく日々の慌ただしさに流されて,ブログの更新が滞ってしまいました。いろいろ書きたいこともあったのに,どう書き始めるべきか考えているうちに時が過ぎるといういつものパターンです。

 さて,ブログの名前を「りん研究室」にしました。URLは「rinlab」を踏襲しますが,後期から専門ゼミナールが始まるので,場合によっては「rinsemi」という表記も出てくる予定です。りんラボかりんゼミかで悩むのも面倒なので,ブログの名前は日本語表記の「りん研究室」にします。「りん研究室ブログ」をどうぞよろしくお願いします。

 少し前にChromebookを手に入れました。

 職場がGoogle App for Educationを採用して本格運用を始めたので,本務に関わる環境はGoogleアカウントでまとめられるように環境構築することにしました。

 そして,学生たちも同様ですから,学生向けの情報端末としてのChromebookを使わせるのはどうだろうと関心が高まったのです。

 実際に使い始めて,そのシンプルさに驚きました。

 特定のアプリケーションの利用に縛られるのでなければ,多くの仕事ははChromebook上で作業することができます。起動が素早く,動作も軽快で,システムの管理も簡便なので,変なストレスを感じることがないのは好印象です。

 Windows10も軽快さを取り戻してなかなか評判が良いですが,まだ始まったばかりのOSですし,ウイルス系の話は依然として無視できません。教育機関での大規模利用においてはGoogle Apps for EducationとChromebookの取り合わせに優位性もあると思います。

 今後もノウハウを貯めていく必要があるだろうと思い,Facebookd上にグループを作ったりしました。いろいろ試していく予定です。

 研究室の動向としては,後期から3人の学生を受け取れることになりそうです。まだ確定ではありませんが,特に問題なければそうなります。

 というわけで,3人なら研究室としてiPadを新規導入して常時使わせるという試みを始められそうです。iPadの教育利用を中心としたゼミ活動というコンセプトで進めようかと思います。

 

お悔み申し上げます

 認知科学者として世界的に活躍されてきた三宅なほみ先生が,2015年5月29日にご逝去されたとの報に接しました。信頼できる方々の情報網で流れている報なので,本当だと思います。しかし,だとすれば私たちはとても貴重な人物を失ってしまったことになり,言葉もありません。

 あの時躊躇わずお話しをさせていただいていたなら…そう後悔するばかりです。

 深い哀悼の意を表します。

20140317amm

 写真は,私が最後に三宅先生に一番近づいた時(20140317)のものです。

配属が変わって

 平成27年度が始まって,今日まで慌ただしい日々が続いていました。4月中と5月のGW連休は,なんだかんだといろいろあってブログの更新もままなりませんでした。

 今年度より徳島文理大学 人間生活学部 児童学科に配属されました。昨年度までは短期大学部に配属されていたのですが,諸般の事情で異動となったのです。短期大学から大学へと変わったことになるので,教育研究機関番号で区別している側からすれば所属変更となりますが,私自身は部屋の引っ越しも無いので仕事だけが押し寄せてきたという感じです。

 さっそく新入生の担任を仰せつかり,いろんなオリエンテーション行事に顔を出したり,先日も宿泊セミナーに参加するなど担任業務でくるくる回っていました。本日,ようやく普通の日曜日を過ごしていたところです。

 今年度はまだ始まりませんが,来年度になると専門ゼミナールを受け持つことになります。

 そのため,私の研究室は「りんゼミ」ということになります。

 「りんラボ」でやってきた研究室やブログの名称を変えるかどうかは決めていません。

 最近の私の研究関心が文系寄りに戻っていることを考えると変えた方がよいのではないかとも思います。一方で,アプリ開発や工学的な視点での探究も続けたいと考えているのでラボの名称を残してもよいのではないかとも思います。しばらくは考え中にしておこうと思います。

 さて,来週末あたりからお出かけが増えるので,またバタバタした日々となりそうです。

アプリやサービスをレビューするということ

 日頃,教育と情報のフィールドを眺めていると,様々な製品やサービスに触れることになります。自分に合っているものを選択できるというのが一番よいことなので,基本的には「あるべき」形が一つに定まることはないと考えています。

 しかし,教育関係のアプリやサービスについて評価したり論じる必要もあるため,私なりにレビューの観点を持たなければなりません。とはいえ,これも固定的な観点があるというわけではありません。対象のアプリやサービスの目指しているところで評価するに当たって,次の問いかけを軸にして観点を探していくことにしています。

 「なぜ他の方法や形式をとらず,どんな理由でそのようになったのか」

 この問いかけに尽きます。

 私個人は構造がシンプル(簡潔)で柔軟性があり,飽きのこないデザイン,外部に対してオープンなものであることを嗜好します。その方が利用者側として「分かりやすい」と経験的に感じているからです。

 しかし,もしそうしない理由が他にあるのであれば,その理由を尊重すべきと考えています。つまり複雑なものになった理由が目指すものに照らして納得できれば,そのことを否定はしません。ときに簡潔さと柔軟さは相反要素になりますし,バランスの問題は常に悩ましい論点ですから。

 けれども,ときどきその理由が見えないものにも出くわします。

 他に分かりやすい方法がありそうなのに,そうしなかった例を見ると,その理由を探ろうと試行錯誤したり想像を巡らせるのです。アプリやソフトの場合は,プログラミングのレベルに遡って,たとえば「基本ソフトの制限だから」とか「設計上で別々に扱わざるを得ないから」とか,考えられる理由があります。それが納得できれば仕方ないことになりますし,納得できなければ努力が足りないということになります。それはそのアプリやソフトが何を目指しているかによるわけです。

 ネットサービスの場合も設計やプログラミングの話がありますが,サービスを利用することで,利用者がどのような行動をとって,どう変化したり,どう利用を継続していくのかという利用モデルやユースケースといったものを描いて,それが納得できるものかを検討することになります。たとえば授業支援システムの類いを利用すると先生や児童生徒はどんな行動を強いられたり,どんな学習活動を実現できて,その後もどのようにサービスと関わっていくのかを想像しなければなりません。それが現実的か非現実的かを見極めるわけです。

 教育工学という学問は,まさにそういう研究をしているものということになりますが,実験環境を整えて統計的な調査をするという次元に至らずとも,「なにゆえそうなのか」という問いかけはいくらでも可能です。場合によっては哲学的な問いかけとして考えることもできると思います。

 私のこうしたスタンスは,レビューを文字にすると相手に対して厳しい批判になってしまうことは重々承知しています。ダメ出しばかりしているように読めるのは私の文才の無さゆえですが,しかし,「なにゆえそうなのか」という問いかけはとても大事だと考えます。

 もちろん多くの場合で「なにゆえそうなのか」という問いに答えがないこともあります。考えていなかった,気づいていなかった,分かっていたけどできなかった,そう問う必要はなかったから…そういう答えもあり得ます。ならばそれが現時点での問いへの答えというだけのことです。

 「なにゆえそうなのか」という問いを踏まえて,その後,アプリやサービスがどう更新されていくのかが淡々と評価されていくわけで,悪くなるのか良くなるのかは,その時々の評価結果次第ということになります。

 そう考えると,巷のアプリストアで書き込まれているアプリレビューの内容は,レビューする立場としてもう少し考えてから書いて欲しいと思えるものが多すぎます。「使えね,氏ね」なんてレベルのものはかつてより少なくなりましたが,それでも感情丸出しのものは今も少なくありません。

 プログラミング教育に注目が集まっているような雰囲気もありますが,そのような取り組みの中には,同時に他者のプログラミングに対する視点を育むということも含まれてくると思います。単にプログラミング言語を習得し,ソフトウェアの構造を知るだけではなく,その知識を踏まえてソフトウェアやプログラミングの文化をどう育んでいくのかという考え方や態度の面についても関心を高めていく必要があると思います。

 私自身もダメ出し文章が多いことを自戒しながら,もう少し建設的なレビューを会得したいなと思います。

[memo]教育とICT界隈の素朴概念

 私たちは経験や過去の出来事を通して物事の理解をすることがありますが,そのよう日常的な経験から育んだ考え方を「素朴概念」という風に呼びます。素朴概念は日常の中では通用しているようにみえても,よくよく全体を学んでみると誤解を含んでいた可能性があるというものです。

 教育とICTの界隈で,「そうとも言えるけど実はそうでないこともある」「いま起こっていることの一因はこんなことでもあった」「かつてはそうだったけれども,今はそうではなくなっている」というような事柄をメモっておこうと思います。

授業でのICT活用 → 理解が深まる授業 [× 授業ICT活用 → 学力向上]

ICTを介した他者への依存/他者からの承認の欲求の顕著化 [× ICT依存]

 

因:教員にICT機器を使い倒させて善し悪しを確かめさせていない 果:教員がICT活用に不安で消極的

因:モバイル端末による学習を提供できていない 果:モバイル端末はゲームにばかり使われる

 

今:ソフトウェアによるネットワーク構成の切り替え  旧:物理的なネットワーク配線による構成

 

コスト[学習コンテンツへのアクセス促進 > 有害サイトのフィルタリング対策]

信頼性[クラウドサーバーの保守とデータ保管 > 自前サーバーの管理とデータ保管]

漏えい対策のしやすさ[クラウドストレージ > USBメモリ]