20121107 上勝町立上勝中学校出前授業

 徳島県の事業として行なっているデジタルコンテンツ人材育成のための出前授業で、上勝中学校にお邪魔しました。

 今回は動画編集の方法の2回目で、iMovie for iPad の操作方法を実演しながら解説するといった内容。実際に2年生達が沖縄に修学旅行へ行った時の動画や写真を使ってやってせます。

 小規模校なので、全学年あわせても5つのグループができるだけですが、残念ながら動画編集できるiPad 2以降の機種は3台だけ。あとは初代が10台程なので、すべてのグループが試しながらというわけにはいかない状況です。

 こういう道具環境が統一的に揃わないというのは、授業者として一番面倒な問題でもあります。使う素材が異なるのは如何様にも味付けできますが、動画編集したいのに動画編集ツールが動かせないのは、ちょっと次元の違う問題ですね。

 仕方ないので、今回はみんなに実演を見てもらうことにしました。その代わり、私がやって見せても注意は集められないので、2年生の中からアシスタントを急遽募集。みんなの推薦もあってひとり男子生徒が手伝ってくれることになりました。

 これは効果覿面で、やっぱり仲間の生徒が操作して出来上がる作品に興味津々ですし、あれこれ指示(「あっちの写真使えば?」とか)も飛んできて、教室前だけの実演でしたがみんなで編集作業している感じで進められました。

 さすがに次回からは自分たちでも編集したいでしょうから、足りないiPadを用意しないと…と思いますが、とりあえず動画編集の概要は伝わった感じなので、これからどんどん進めていってもらえそうです。

 iPad用のiMovieは、シンプルさを追求したため、Mac用のような凝った編集機能がありません。特にタイトルや字幕を付ける機能は貧弱で、その辺は別に自作のタイトル写真を用意するなど工夫で乗り切るしかありません。

 iPad用の動画アプリ自体も種類は少なく、iMovieとPinnacle Studioという有料アプリか、vimeoなど動画投稿サイト向けのアプリなどくらいです。また、初代で動作するものはほとんど無いと考えてよいです(ゼロではないんですが…)。

 某社がユニークな動画アプリを開発中という情報もありますが、まだ時間も掛かりそうです。

 iPadにおける動画編集は、まだ課題の多い分野とも言えそうです。

iPad miniやって来る

 iPad miniが登場し,りんラボにも1台届きました。
 教育と情報の過去現在未来を見通すのが我が研究室の使命なら,当然1台くらいはやってきます。(もちろん自腹でございますよ ^_^ )
 私の見立てでは,ライトニング・コネクタとA6チップを搭載した第4世代iPadが登場するだけで,iPad miniは来年初頭までとっておくのではないかと思われたのですが,多くの噂情報の通り,この秋の発表・発売となりました。
 最初は,7.9インチのサイズに小さくなるため,UIを見直してくるんじゃないかと思われたのですが,サイズ感については7.9インチまでなら縮小しても大丈夫という開き直りにいたったようで,本当に「小さなiPad」です。
 そのわりには高いとか,Retinaディスプレイを搭載しなかったことを残念がる声もあって賛否が分かれていましたが,販売が始まれば,買う人が買い,買わない人が買わないだけの話ですので,議論も鎮まりました。

 フューチャースクール推進事業や様々なタブレット教育利用研究の成果を見ていると,当然のことではありますが,使途によって適したサイズが望まれるという傾向にあります。
 個別の資料閲覧やWebブラウジング等の場合はiPad程度(10インチ)の大きさでも良いですが,画面のワークシートに書き込みや複数で共有して閲覧する場合はノートパソコン程度(12インチ〜)の大きさが欲しくなりますし,教室から持ち出すなどして外部での記録や特別教室などでの利用にはiPad miniあたり(7インチ)の大きさが手軽ということが,感覚的には共通認識になりそうです。もちろん,重量や背面カメラの有無など様々な条件も加わっています。
 そう考えると「バリエーションがある」ということは歓迎すべきことで,かつそれらが「同等に扱える」ということが重要だと考えると,iPadとiPad miniの取り合わせ,およびiPhoneやiPod touchの組み合わせは,iOSという基盤の上で様々なバリエーションを同等に扱うことが出来るソリューションということになります。
 一方,バリエーションが売りであるAndroidは,Nexusシリーズがその方向性を目指しているようで,Nexus 10やNexus 7そして新しいスマートフォンNexus 4を揃えようとしています。もっとも惜しいのは開発メーカーがバラバラで,Nexus7には背面カメラがなかったりと完全に同等に扱えない弱点も残ります。その辺は早く解決して欲しいものです。
 (追記:そういえば,Androidで統一的なバリエーション展開を目指しているのはGoogleというよりもSamsungのGalaxyシリーズの方かも知れません。もっともそうなるとSamsungのアレンジが加わったり、アップデートに時差が発生するなど,ちょっと面倒なこともあるので,なかなか難しいところです。)

 私は基本的にResouce Enrichedな教育を目指したい人なので,児童生徒1人1台という姿にこだわるというよりは,1グループに1台程度の数で数種類のデバイスを導入するという形でも利活用できる環境を整備すべきと考えます。 あるいは先生が必要なツールを使い分けられる(そうしても破綻しない)環境が実現されることが一番とも思っています。
 iPad miniの登場は,それ自体の善し悪しというよりは,同様に安心して使える機器のバリエーションが増えたという点で歓迎すべきことですし,軽量コンパクトになったことは子ども達にとっても扱いやすくなったという点で評価すべきかなとも思います。

 ただし,これまで先んじてiPadを導入してきた学校や先生にとっては,新しいライトニング・コネクタへの切り替えは悩みの種となりそうです。特に従来のiPadとライトニング化したiPadを同時並行して使う場面では,充電や外部出力,SDカード読み取りなどの作業においてケーブル問題は深刻だと思います。
 ただ,ライトニング・コネクタは,充電や外部出力の際にケーブルがコネクタから外れてしまうという問題を解消してくれるメリットももたらしますので,早く移行できることを願うばかりです。

20121102-03 全日本教育工学研究協議会2012金沢大会

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 11月初めに日本教育工学協会(JAET)主催の全日本教育工学研究協議会が金沢で開催されたので参加してきました。
 日本教育工学協会とか,全日本教育工学研究協議会とか,これと似たような名称の組織に日本教育工学会(JSET)とか,日本教育工学振興会(JAPET)とかありますし,教育と情報分野にかかわる学会は他にもたくさんあります。
 教育の情報化界隈に関心を持つ人間としてそれぞれを気にはしていますが,正直なところバラバラ過ぎて把握し切れません。^_^;
 教育情報化や情報教育のトピックスは,似ているようで違いますし,それぞれ論者によってこだわり,主義主張がありますから,正直なところコンセンサスのようなものがあるようでなく,一般の人々にはあらゆるバラバラなメッセージが届いているというのが実際のところです。健全といえば健全ですが,議論の土台さえバラバラなので意思決定に結びつくのが難しいというわけです。
 日本教育工学研究協議会という場は,「実践者」「研究者」「事業者」が集って研究や取組みの成果を発表し会い,教育工学分野から教育を向上させていこうとする会です。主催団体である日本教育工学協会の略称を取ってJAET大会と呼称することがあります。
 そういう意味でJAETは間口の広い会ですし,全国の都道府県毎にある先生達を中心とした教育工学関係の研究会との関係を持っている点もユニークです。必ずしも学会ではないので性格付けが難しいところもありますが,同じ土台で異業種が交われるのは大事な機会と思いますので,もっと多くを巻き込んで一般の方にもメッセージが伝わるような場になることが大事かなと思います。
 つまり「実践者」「研究者」「事業者」の輪に「生活者」も入るように向かっていけたらいいなと思います。

 さて,そんな日本教育工学協会には,たくさんの理事がいらっしゃいますが,今年度から私もその末席に入れていただくことになりました。
 初めて「理事会」なるものに出席し,ものすごい緊張…。
 ずらっと並ぶ先生方の顔を見ることも出来ず,もじもじしておりましたが,聞いてみたかったこともあるので,いつもの調子で質問したりと,これからたくさんご迷惑をおかけするにあたっての仁義は切ったみたいな感じになりました。
 まあ,何にも出来ないでしょうけど,賑やかしくらいには役立ちたいと思います。
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[FS石川] 20121101 内灘町立大根布小学校への突然訪問

 フューチャースクール推進事業の実証校を訪ね歩いています。小学校10校の公開授業に参加するなどして,実際の学校の様子を見せていただいているわけです。
 教育の情報化の歴史的変遷から見ても,この事業は大掛かりな取組みですから,そのタイミングに居合わせた研究者として視察の機会を逃すわけにはいきません。
 来年再来年になれば,見たくても見られないということもあり,学校を巡っています。

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 石川県内灘町立大根布小学校を訪問しました。本来であれば公開授業の時にお邪魔するのが礼儀ですが,自分が担当している徳島県の実証校と日程が重なり行けなかったので,別の出張で金沢を訪れた機会に表敬訪問した次第です。 
 ところが,訪問した当日は「自由参観ウィーク」期間中。学校が開かれていた日であるのは良かったのですが,それゆえ先生方は慌ただしく動かれていた日でした。
 にも関わらず,教頭先生が校内をご案内くださったり,校長先生ともご挨拶させていただくことができ,お忙しい中で丁寧にご対応くださいました。本当に感謝です。
 見て回った教室のIWBは,いつでもすぐに使えるように電源ONにし,各教室様々な画面が表示されていました。日常的な利用を促す工夫です。
 短い時間ながら,教頭先生からは学校の取組みや今後についてお話しいただきました。この学校でもICT支援員さんが大活躍中とのこと。当日,支援員さんとはご都合でお会いできませんでしたが,後日,別の場所で支援員さんの取組みを聞くことができました。

 というわけで,これで小学校のフューチャースクール実証校10校全部にお邪魔したことになりました。
 最初の方で回った学校などは,その後も実践が進化しているでしょうから,10校見たといってもそれぞれの実態を深く理解しているわけではありません。
 そのことも十分留意しながら,今後も訪問は続けつつ,実証校の様子を踏まえた情報発信をしていけたらと考えています。

研究発表「日本の教育情報化の実態調査と歴史的変遷」

 徳島県FS実証校である東みよし町立足代小学校の公開授業の翌日に岡山大学へ移動して,JSET(日本教育工学会)研究会で研究発表しました。

20121027 日本教育工学会研究会@岡山大学
林向達「日本の教育情報化の実態調査と歴史的変遷
 日本教育工学会研究報告集, 12(4), pp139-146
発表原稿PDF
https://dl.dropbox.com/u/6195338/rin_jset20121027.pdf
(Googleドライブ:https://docs.google.com/open?id=0BxBSvLJGifj0S1RrZ3JRMWs4SGc)同一ファイル
発表スライド
http://www.slideshare.net/kotatsurin/jset20121027
(グラフ:編集利用可能)
コンピュータ整備台数内訳.ai
https://docs.google.com/open?id=0BxBSvLJGifj0SmRDZDJIQ1VON28
コンピュータの周辺機器台数.ai
https://docs.google.com/open?id=0BxBSvLJGifj0UTNubVhrcV9RTkE

 文部科学省が昭和62年度から継続して行なっている教育の情報化の実態等調査について,コンピュータと周辺機器の整備について過去のデータを整理しグラフ化したのと,1985年以降の教育情報化に関する歴史年表をまとめたものです。
 電子黒板や1人1台端末,デジタル教科書といったキーワードで人々の関心が高いはずの「教育の情報化」という領域ですが,実はその実態や歴史を知る手ごろで正確な情報はほとんどありませんでした。
 実態に関しては,毎年調査結果が更新され提示されていますが,文部科学省が出す資料のグラフをコピペするだけでは見えないものもあります。今回はコンピュータと周辺機器に絞って,経年的かつ視覚的にも実態が反映されるようにグラフ化しました。
 歴史に関しては,強いて挙げれば文部科学省「教育の情報化に関する手引」という文書が,教育の情報化の進展に関して解説していますが,それを除けば,年表を掲げて広い範囲を概観しているものは,ほとんど無いと思います。
 まあ,忘れたい過去もたくさんありますでしょうが,逆に,たくさんの取組みをちゃんと繋げて見る努力も必要で,今回作成した年表はそのための基礎資料となるはずです。

 この研究は,もうしばらく集中的に情報収集して,データを充実させていこうと思います。そのあとはライフワーク的に史的記述を進めていければと思っています。
 なお,年表作成にあたっては細心の注意を払って情報の確認をしているつもりですが,紙面スペースの関係上,言葉足らず情報が不足していたり,誤解を招く部分があったり,明らかな間違いもあるやも知れません。お気付きの点ありましたら,ぜひ情報お寄せください。